47 メンバー確認と主義主張
二人の人物のカミングアウト発言があります!
「やっぱり、金色のカードの持ち主を探すには、四国会議の時しかないですよね。まあ、持ち主の全員が会議の関係者とは限らないでしょうけど。」
ジョージが言った。
「確かに会議の関係者とは限らないが、確率は高いだう。とは言え、そもそも金色のカードの持ち主がそう多いとは考えにくいのではないかね。」
レアム先生の意見になるほどと、皆思った。
「今わかっている金色のカードの持ち主は、我が国ではリュカ殿下とエキナセア様とノアの三人。
エンチャント皇国でリアム様ですよね。それほどいないと仮定すると、我が国は多分もういませんよね。
そうすると、エンチャント皇国であと二人、ストリームライン共和国とアグリ連邦共和国でそれぞれ二、三人くらいいると考えればいいのですか?」
アメリアが言った。
「エンチャント皇国に、金色のカード持っていそうな方が、リアム様以外にいらっしゃるとお考えですか?」
リッカルドが尋ねた。しかし、リアムが頭を振った。
「今までいなかったし、今回の審査でも、我が国から金色のカードの持ち主は出ていないね。銀色のカードですら十人ほどかな。」
「そうなると、一つの国から二、三人というのも多すぎると考えるべきでは? 大体、
『船頭多くして船山に上る』
という諺があるように、援助する者は多いほうがいいのだろうが、上に立つ者が多いと、そもそも纏まらなくなるだろう。」
リアム先生の言葉に皆が頷いた。
「私が思いますには・・・」
エドモントが珍しく言いにくそうに話し始めた。
「ノア君には申し訳ないのだが、もしかしたらノア君はストリームライン枠なのではないか、と思うのですが。母上の方の関係で。」
「なんだと。ノアが我が国の人間ではないと言うのですか。」
ディルが立ち上がり、怒りで顔を真っ赤にしながら叫んだ。エキナセア達仲間も、信じられないという顔をしてエドモントを見た。
そう言われるのが予想がつくから言い淀んだ訳なのだが。
ノアも、師匠、第二の父とも言えるエドモントを方を見た。
エドモントはとても困ったような顔をした。今まで、彼のそのよう顔を見たことがない。
「おいおい、エドモントさんを苛めるなよ。エドモントさんがノア君の事を実の息子のように思っていることはみんな知っているじゃないか。」
レアム先生が助け船を出した。
「知ってますよ。だからこそ、何でそんな事を言い出したのかがわからないんですよ。」
ジョージが言った。すると、エドモントは深呼吸を一つしてからこう言った。
「そもそも私は、昔から無国籍主義者なんですよ。大陸は一つ、そこにある国は一つでいいと。アニー様とエミィ様の教えを学んで以来ね。
だから、人の国籍がどこかなんて、私にとってどうでもいい事なんです。私はノアがどこの国の者だろうと関係がない。私はノア自身が好きだし大切なんです。あなた方は違うのですか?」
反逆を受け、若者達は怯んだ。しかし、ディルが最初に復活し、こう叫んだ。
「僕だってそうですよ。僕なんか、ノアの国籍どころか、性別だって関係なく大切だし、大好きなんですから。」
「「「「「・・・・・」」」」」
エドモントの無国籍主義者宣言のみならず、ディルまでカミングアウトしたので、会議室の中はシーンと静まり返った。
もっとも、ディルの件の方は、身近にいる者達は、薄々気付いていた事だったのだが。
「ええと・・・・」
リュカ王子が話の展開についていけず、質問をしようとしたが、エキナセアにわざとらしい笑顔を向けられて、怖くなって口を開くのを思いとどまった。
そして、リュカ王子以外にも、騎士三人と御者二人が戸惑っていた。
『俺達、本当にこの場所にいていいのか? 内容が凄すぎるんだが、聞いていていいのか? まさか後で口封じとかされないよな。』
そんな騎士達に気付いたエキナセアが、立ち上がって彼らに近づいた。彼らは目の前に立ったエキナセアを見て、ビクッとした。
「ギーさん、ロッドさん、マークスさん、ベンジャミーさん、マックスさん。
ずっと立ちっぱなしでお疲れでしょう。座ってください。
私、久しぶりにアメリアさん達に会えてはしゃいでしまって、気が回りませんでした。ごめんなさい。」
エキナセアがこう言うと、彼らはとんでもありませんと首を勢いよく振った。
「私達は護衛ですから、お気を使わないで下さい。」
すると、エキナセアは驚いたように大きく目を見開いた後、振り向いてエドモントに向かって言った。
「エドモントさんともあろう方が、説明不足ですよ。ギーさん達、ご自分達を護衛でこの場にいると思っていらっしゃいますよ。」
「えっ?」
エドモントも驚いた顔をした。そしてその後、失敗したという顔になって、エキナセアにこう言った。
「これは失礼しました。リアム様からの呼び出しがあまりに急だったものですから、ついうっかりいたしました。」
そして、改めてギー達の前まで歩を進めると、優しい顔でこう言った。
「護衛をしてもらうために、あなた達をここに来てもらった訳ではないのですよ。そもそもこのトールキャッスルは、世界で最も安全な場所ですから、護衛なんて必要ないんですよ。」
「それではなんのために、我々をここへお連れになったのですか?」
「なんのためって、それは勿論会議に参加して、意見を言ってもらうためですよ。」
「「「はあ?」」」
三人はあまにも予想外の答えに、すっとんきょうな声をあげた。
『意見を言えだと? この俺達に? この偉い方達の前で? そんな事馬鹿げている!』
「何を驚いているんですか? あなた方は八月の第一回フィリアガーデン会議から参加しているメンバーじゃないですか。」
とエキナセアも言った。
「第一回の会議に参加していなかったディルが、図々しく意見を言っているのに、皆さんが遠慮する必要なんて全くないんですよ。
会議では身分とか家柄とか、そんなものは全く関係ないし、必要ないんです。大切なのは有益な意見や情報を発表する事なんですよ。」
「エキナセア、それはあんまりだ。僕だって、第一回目から参加したかったのに。僕はメンバーじゃないの?」
大きな図体をしながら、ディルが情けない声を出したので皆が笑った。
「あら、ごめんなさい、ディル。言い方が悪かったわ。貴方もアメリアさんも、レアム先生も、そして屋敷に今日も残って裏方をしてくださっているアリーチェさんも、最初からメンバーですわ。当然でしょ。」
エキナセアはとてもとてもいい笑顔で言った。ギー達も笑い返し、そして素直に椅子に腰掛けたのだった。
エキナセアのおかげで、暗くなりかけていた会議室がまた明るくなった。自分の事を根が暗いと思い込んでいるが、実のところ、エキナセアはムードメーカーなのだ。
『やっぱりエキナセア(お嬢様)は凄いな。』
と全員が思った。




