表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/6

04 魔法

森の中  多田貴翔

 木、木、木、木……。たくさんの木。

 貴翔たちの周りにはたくさんの木たちが群がっていた。そしてその木たちは命を持つかのようにうねうねと動いていた。

「これが……【あの子たち】?」

 震える声で貴翔がリンに訊く。リンは少し怒ったような様子で貴翔の質問に答えた。

「これ、とは失礼だぞ。貴翔を助けてくれた命の恩人だ」

「でもでも……これって…………」


 ――――まるで魔法みたいじゃないか


 貴翔はそういいたかった。だが、言えなかった。そしてたった今確信した。貴翔は本当に魔法の国に来てしまったのだと。


 ――――西谷、お前の考えはあってたよ。魔法の国はここにある…………!


 麗樹にはきっと今の貴翔の声は聞こえていないだろう。だが今の貴翔は心の中でそう叫ぶことしか出来なかった。


 ――――西谷……お前はどこにいる? 僕は、ここにいるぞ。だから……返事してくれよっ…………


 届かないはずの言葉を心の中でとなえる。


『諦めろ…………』

 頭上高くから低いしわがれた声が響いた。

「だれ!?」

 隣でリンが怪訝な顔をする。

「お前……一人で何しゃべってんの?」

「リンは……聞こえないの、この声が」

 おかしい。確かにに聞こえたはずだ、声が。いったい…………?

『そのものには聞こえんのだよ。わしまで存在が薄い【魔族】の声がな。まぁなぜかそなたには聞こえているようだが』

 やっぱり聞こえる。空耳なんかじゃない。確かに聞こえた。

「あなたは誰ですか? さっきのあれは……どういう意味ですか? それに【魔族】って」

『おうおう……そんなにたくさんしゃべるな。【魔族】についてはそなたのつれに訊くがよい。で、さっきのあれは……ん? 少々面倒じゃな。時間を止めるか』

「貴翔、さっきから何一人でしゃべって……」


 カチンッ


『音がした。

 そして…………

 すべての時が止まった』


「みんなが固まった!?」

 いらいらした表情のリン。

 たくさんの木。

『ってそなたは阿呆かっ。さっきおもいっきしナレーションが、すべての時が止まったっていってたじゃろうが』

「いやいやっ。それはおもいっきし貴方の発言ですよね!? 『』ついてましたからねっ。僕、気付いてましたからっ」

『ではなぜその通りにしなかったのじゃっ』

「なんか言われた通りするの、むかついたんです」

『ひどい!?』

 

 よくわからない会話を一通り終えると、【声】が突然とだえた。

「…………どうしたんです?」

『いや、昔を思い出してのぉ。あのころはわしも元気だったのだが……、今は完全に年寄りに……。あの頃はそなたみたいな生意気な小僧など一発で…………』

「はぁ……」

 いきなり愚痴りだす【声】。

 そんな【声】に貴翔は戸惑った。


『そなたは【魔法】を信じておるか?』

 弱々しい、小さな、【声】。

 一瞬、間が空いた。

 だが、貴翔の答えはたった一つだけだ。


「貴方は知らないかもしれませんが…………」

 大きく息を吸う。

「僕、将来の夢は魔法使いになることなんです」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ