04 魔法
森の中 多田貴翔
木、木、木、木……。たくさんの木。
貴翔たちの周りにはたくさんの木たちが群がっていた。そしてその木たちは命を持つかのようにうねうねと動いていた。
「これが……【あの子たち】?」
震える声で貴翔がリンに訊く。リンは少し怒ったような様子で貴翔の質問に答えた。
「これ、とは失礼だぞ。貴翔を助けてくれた命の恩人だ」
「でもでも……これって…………」
――――まるで魔法みたいじゃないか
貴翔はそういいたかった。だが、言えなかった。そしてたった今確信した。貴翔は本当に魔法の国に来てしまったのだと。
――――西谷、お前の考えはあってたよ。魔法の国はここにある…………!
麗樹にはきっと今の貴翔の声は聞こえていないだろう。だが今の貴翔は心の中でそう叫ぶことしか出来なかった。
――――西谷……お前はどこにいる? 僕は、ここにいるぞ。だから……返事してくれよっ…………
届かないはずの言葉を心の中でとなえる。
『諦めろ…………』
頭上高くから低いしわがれた声が響いた。
「だれ!?」
隣でリンが怪訝な顔をする。
「お前……一人で何しゃべってんの?」
「リンは……聞こえないの、この声が」
おかしい。確かにに聞こえたはずだ、声が。いったい…………?
『そのものには聞こえんのだよ。わしまで存在が薄い【魔族】の声がな。まぁなぜかそなたには聞こえているようだが』
やっぱり聞こえる。空耳なんかじゃない。確かに聞こえた。
「あなたは誰ですか? さっきのあれは……どういう意味ですか? それに【魔族】って」
『おうおう……そんなにたくさんしゃべるな。【魔族】についてはそなたのつれに訊くがよい。で、さっきのあれは……ん? 少々面倒じゃな。時間を止めるか』
「貴翔、さっきから何一人でしゃべって……」
カチンッ
『音がした。
そして…………
すべての時が止まった』
「みんなが固まった!?」
いらいらした表情のリン。
たくさんの木。
『ってそなたは阿呆かっ。さっきおもいっきしナレーションが、すべての時が止まったっていってたじゃろうが』
「いやいやっ。それはおもいっきし貴方の発言ですよね!? 『』ついてましたからねっ。僕、気付いてましたからっ」
『ではなぜその通りにしなかったのじゃっ』
「なんか言われた通りするの、むかついたんです」
『ひどい!?』
よくわからない会話を一通り終えると、【声】が突然とだえた。
「…………どうしたんです?」
『いや、昔を思い出してのぉ。あのころはわしも元気だったのだが……、今は完全に年寄りに……。あの頃はそなたみたいな生意気な小僧など一発で…………』
「はぁ……」
いきなり愚痴りだす【声】。
そんな【声】に貴翔は戸惑った。
『そなたは【魔法】を信じておるか?』
弱々しい、小さな、【声】。
一瞬、間が空いた。
だが、貴翔の答えはたった一つだけだ。
「貴方は知らないかもしれませんが…………」
大きく息を吸う。
「僕、将来の夢は魔法使いになることなんです」




