03 【あの子たち】
リンの家にて 多田貴翔
「貴翔にはやっぱりその服が一番似合うね。うん、保証するよ」
「そ、そうか……?」
鏡の前に立ち、貴翔は不安そうに言う。
貴翔は今リンの兄の服を着ていた。リン曰く貴翔の服装は派手だったらしい。
ヨレヨレの白いTシャツ(薄く汚れている)にヨレヨレの茶色い半ズボン。
「でもいいのかよ。勝手にリンの兄貴の服、僕が着て」
「いいのいいのぉ。どうせ兄貴は家にしばらく帰ってこないしね。ていうか、私もあともうちょっとでこの家ともおさらばだし」
意味深な台詞を呟いたがリンは気を取り直して、
「じゃ、行くか。【あの子たち】に会いに」
扉を開けた。
森の中 多田貴翔
「なぁ、【あの子たち】ってどこに住んでんだよ? もう結構歩いてるけど」
「もううるさいな……。あともうちょっとだから…………あっ」
先ほどからずっとこの調子だったリンの声が一瞬だが、喜びを帯びた。
「え、ナニ。着いたの?」
貴翔は周りを見回したが特に人の気配がしない。周りは木だけだ。
「だれもいないけど」
ちょっと嫌味っぽく言ってみたが、リンは得に気にしなかったようだ。だが反対に、リンは貴翔に嫌味っぽく返事した。
「あんた、もしかして気付いてなわけ? 【あの子たち】はずっと私たちを見てる。ここに来たのはここが【あの子たち】の核だから」
【あの子たち】の核? 貴翔はいまいちというか全然リンの言葉が理解できなかった。だが、一つ考えられることがあった。
「まさかリンお前、僕をからかってるのか!?」
確かに貴翔は昔からからかわれ気味だったが、こんなからかわれ方は初めてだった。こんな――――核というカッコイイ言葉を使ってからかわれるなんて。
「はぁ? 君、まだ気づかないの。【あの子たち】はずっと私たちを見てる」
そういわれた瞬間、突然たくさんの【視線】を感じた。
――――ナニコレ……? この【視線】はなんなんだ…………
「…………やっと気づいたか。紹介しよう【あの子たち】だ」
影ができた。
上を向くと、たくさんの【木】が貴翔たちに群がっていた。




