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心の余白  作者: 柑橘みかん


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3/4

人生

# この人生で良かったと思える日が、やっと来た。


私は、恵まれていた方だと思う。

両親がいて、兄弟がいて、近くには親戚もいた。

義務教育を受け、高校へ進学し、看護学校へ進んだ。

国家試験にも合格し、ストレートで看護師になった。

経歴だけを見れば、どこにも問題のない人生に見える。

でも、私は長い間、本気で人生をやり直したかった。

失敗を全部消して、もう一度最初からやり直したい。

そんなことばかり考えて生きていた。

私の人生で最初の大きな転機は、両親の離婚だった。

母は私と弟を出産したあと、うつ病になった。

その流れで宗教に深く関わるようになり、私たち子どもも一緒に教会へ通うようになった。

父だけが、その輪の外にいた。

祖母が亡くなったとき、母は宗教上の理由から葬儀で手を合わせられなかった。

それがきっかけとなり、両親は離婚した。

子どもだった私は何もできなかった。

でも、大人になってから何度も考えた。

もし私がもっと賢かったら。

もっと周りを見られる子だったら。

二人の間を取り持てたのではないか。

そんなことを考えても意味がないと分かっていても、何度も思ってしまった。

高校卒業後、私は深く考えずに看護学校へ進学した。

「手に職があれば困らない。」

そのくらいの理由だった。

専門学校の三年間は、あまり楽しい思い出がない。

看護師にはなれた。

でも社会に出てから、専門卒では進路が限られることを知った。

「もっと勉強して大学へ行けば良かった。」

そう後悔した。

ただ、この後悔だけは今からでも取り返せる。

大学へ進学することに、年齢は関係ないと思っている。

一番大きな後悔は、そのあとだった。

新卒で入職した病院を半年で辞めた。

仕事よりもプライベートを優先し、現実から目を背けた。

奨学金も、クレジットカードの支払いもできなくなった。

そこから借金生活が始まった。

この選択だけは、何度やり直したいと思ったか分からない。

今も返済は続いている。

債務整理を経て、個人再生まで進み、ようやく人生を立て直せそうなところまで来た。

でも、「あの半年さえ違っていたら」と思う夜は、何度もあった。

看護学生の頃から始めた夜の接客業も、私の人生を大きく変えた。

出会えた人たち。

今でも大切な友人。

得たものはたくさんある。

でも失ったものも少なくなかった。

昼間の社会人として働く感覚を取り戻すまでには、とても長い時間がかかった。

だから私は、毎日のように過去へ戻っていた。

「あのとき、こうしていれば。」

「この選択をしていたら。」

寝る前に何度も人生をやり直す妄想をした。

夢の中では救われる。

でも朝になれば、現実は何も変わっていない。

そんな毎日だった。

同級生は言う。

「今が一番幸せ。」

尊敬している配信者は言う。

「五年前の自分、その調子。」

私は、その感覚が分からなかった。

ずっと何かを得ようとして、何かを失っている。

ずっと人生を間違えている。

そう思っていた。

でも、最近ようやく気持ちが変わってきた。

「今が一番若い。」

そう思えるようになった。

過去は変えられない。

でも、未来なら変えられる。

今頑張れば、未来の私は「この人生で良かった」と思ってくれるかもしれない。

そう思えるようになった。

理由はいくつかある。

結婚したこと。

もし人生をやり直していたら、今の夫とは出会えなかったかもしれない。

そう考えると、過去を消したいとは思えなくなった。

そして、今の職場に出会えたこと。

人間関係にも恵まれ、看護師という仕事が好きだと改めて思えた。

少しずつ、今の人生が好きになってきた。

だから私は、これからは過去ではなく未来を見る。

「あのときこうしていれば。」

そう考える人生ではなく、

「未来の自分が喜ぶ選択をしよう。」

そう考えながら生きていきたい。

この人生で良かった。

いつか心からそう言える日を目指して。


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