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第6話:綻び始める歯車

第6話をご覧いただきありがとうございます!

南と佐藤の強い絆が生まれる一方で、水木桃の個人的な私怨と横暴が、ついに銀行の業務そのものや組織の中枢にまで悪影響を及ぼし始める展開です。

大きく動き出す不穏な歯車をお楽しみください!

水木桃による私的な嫌がらせと、それに屈しない佐藤さんの攻防が続いてから数週間。

水木銀行のフロアには、以前とは違う種類の緊張感が漂い始めていた。それはもはや、一人の新入行員に対する個人のいじめという枠を超え、組織全体の歯車を狂わせる不穏な歪みとなっていた。


ことの発端は、桃が自分のプライドを満たすために強行した、ある中堅企業への融資見直し案件だった。

佐藤さんが担当し、厳正な審査を経て「優良案件」として稟議が通っていたその企業に対し、桃は突如として「信用に足らない」「私の独断で一時凍結とする」と横やりを入れたのだ。理由は明白だった。その企業の経営陣が、かつて佐藤さんを高く評価し、桃からの度重なる引き抜き工作を遠回しに拒絶したことへのあてつけだった。


「待ってください、水木さん。この案件はすでにコンプライアンス上の基準もクリアしており、銀行としても重要な取引先です。個人的な感情で止めていいものではありません」


経営企画部のフロアで、佐藤さんは珍しく強い口調で桃に詰め寄った。

周囲の行員たちが息を呑み、作業の手を止めて二人のやり取りに視線を注ぐ。


「個人的な感情? 失礼ね、佐藤さん。私は次期経営陣の一人として、銀行の不審なリスクを排除しているだけよ。それとも何かしら? あなた、この会社となにか個人的な癒着でもあるわけ?」


涼しい顔で嘲笑を浮かべる桃。その言葉には確たる証拠などなく、ただ権力を傘に着た言いがかりに過ぎなかった。しかし、「水木グループの御令嬢」という絶対的な肩書の前では、どんなにまっとうな論理もかき消されてしまう。


結局、その案件は強引に凍結され、取引先は突然の梯子外しに激怒した。長年築き上げてきた信頼関係は音を立ててヒビ割れ、他の競合他社へ乗り換えの動きが出てしまったのだ。


銀行にとって、顧客の信頼と信用は何よりも重い。

それまで「水木家の令嬢だから」と、上層部や他の幹部たちも桃の我儘や横暴を目をつむり、見ないふりをしてきた。だが、実害となって銀行の利益や信用を損なう事態に発展したことで、組織のなかに隠しきれない亀裂が走り始めた。


「聞いたか? あの経営企画部の令嬢、自分の私怨で主要な取引先を怒らせたらしいぞ」

「いくら何でも、やりすぎだろ……。銀行を自分の遊び場だと思ってるのか」


給湯室の陰や、休憩スペースのあちこちで、行員たちの間に静かな、しかし確かな不満のざわめきが広がり始めた。かつては恐怖と忖度で誰もが口を閉ざしていたが、組織の中枢にまで傷がつき始めた今、その恐怖は「このままで本当に大丈夫なのか」という不信感へと変わりつつあった。


その日の夕方、私は残務処理を終え、佐藤さんのデスクに書類を届けていた。

佐藤さんは窓の外の薄暗くなった空を見つめながら、静かに息をついた。


「組織というのはね、江崎さん。どれほど頑丈に見えても、一箇所の狂った歯車が全体を蝕み始めると、音を立てて崩れていくものなんだ。彼女は自分の権力が永遠に続くと信じ込んでいるけれど、それは一番危ういことなんだよ」


佐藤さんのその静かな横顔に、私は強く頷いた。

桃は相変わらず傲然とフロアに君臨し、自分がすべてを支配していると思い込んでいる。けれど、その足元はもうすでに崩れ落ちるための砂地になっていた。


理不尽な暴君の独裁は、やがて組織全体を巻き込む大きなうねりとなって、彼女自身を追い詰めることになる――。

嵐の前の静けさのような緊張感の中、私たちは確かな反撃の時が近づいていることを感じていた。

ズムサタ 第6話をお読みいただき、ありがとうございます!

桃の私怨による横暴が、ついに銀行の主要取引先を巻き込む実害へと発展し、組織全体に不穏な亀裂が走り始める展開を描きました。


次回、第7話「守るべきもの、壊れるもの」では、変わらぬ絆で結ばれた南と佐藤の姿と、いよいよ追い詰められていく桃の焦りを描いていきます。


次回もお楽しみに!ブックマークや評価、感想などもぜひよろしくお願いいたします!

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