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MONDE ー光を鳴らす物語ー  作者: ぽちな
第二部 音の礫ー第一章 休息
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48.メンバー探し

「情報共有しながら、各自メンバー探してみよう」


NO(ノウ)は、さっさと自分の片づけを始めている。


「OK!」


じんも納得したような笑顔を浮かべて、コードを丁寧に巻いている。

はるかは、そんな皆を眺めながら、眉間に皺を寄せた。


「うー、うー」


(誰か入ってくれるかな……私、いるのに……)


「おい、大丈夫か? 唸ってるけど……」


哲央てつおが心配そうな顔で覗き込んできた。


「えっ、あー……うん」


遥は適当に返事をした。


「……ならいいけど。来た時は、ご機嫌だったのに」


「あ! そうなんだよ! 私ピアノ習うんだ」


遥は、思い出したようにポンと手を叩いた。


「ピアノ!?」


哲央は「ピアノ」のノで、大きく口を開けたまま止まった。

遥は、それを見てクスっと笑った。


「もっと和音とか作曲のこと、できるようになりたいの」


「そんなにやって大丈夫かよ?」


言いながら眉を寄せる。


「まあ、金銭的にはキツイよ。でもね、止められないんだ」


遥はギターをケースに仕舞った。視線を上げ、哲央の目をしっかりと見た。


「やりたいって気持ち。止められないの」


「すごい。すごいよ。遥は」


「そんなことないよ。まだ何も習得してないもん」


肩をすくめてみせた。


「尊敬する。俺も、もっとドラムを頑張らないとな」


哲央は、スタジオのドラムに視線を移した。


「てっつんのドラム。私、大好きだよ」


遥は哲央に笑顔を向けた。

それを見た哲央は、白い歯を見せ笑った。


「ありがとう!」


「僕も練習するぞー!」


帰り支度の終わった陣が加わった。


「練習はまた毎週やっていく。誰かギタリストを見つけたら、練習の時に連れてこよう」


NOの言葉に陣と哲央は頷いた。遥だけは、胸のざわつきが邪魔して頷けなかった。




**中古楽器店**


数日後、遥は御茶ノ水の楽器街に来ていた。

中古キーボードを取り扱う専門店に入り、そっと八八鍵キーボードの値段を見た。


(うーん。中古でも、値段は色々だなあ)


「すいません。八八鍵のものが欲しいのですが、よくわからなくて……」


遥は店員に話しかけ、予算を言っておすすめのものを購入した。



自宅に帰った遥は、ローテーブルの上にキーボードを置いた。


(スタンドも買ったけど……置く場所がない)


遥は狭い自分の部屋を見渡した。壁には初めて買ったベース、自分のギター、そしてユキのギターが並び、床にはケーブル類が無造作に置かれていた。


「うー」


(最近、うーしか言ってないかも。うー)


「まあ、ちょっと弾いてみようかな」


遥は一人、言葉を口に出しながら、キーボードのスイッチを入れた。

ピアノ教室の体験授業で習ったCコードを思い出しながら鍵盤を押してみる。

思い切り指の腹が沈み込んだ。


「わ! 軽い!」


(ピアノと全然違う……)


驚いて指を離した。思わず指先を見つめた。


(ふにって感じだ、柔らかい)


もう一度、鍵盤を押す。

重さを感じることなく、鍵盤が沈んでいった。


ドレミファソラシドと鍵盤を押した。


(今はまだ、これ以上わからないや。レッスンが始まったら、本多先生に教えてもらおう)


遥は、そっとキーボードをケースに戻した。



**新メンバー**


スタジオ練習の日。

NOに連れられて、ギターを持った男性が現れた。

長袖シャツから覗く腕に、稲妻のようなタトゥーが見えた。


「こちらシンラくん。バンドを探してるって聞いて、声を掛けてみたんだ」


NOは、笑顔で遥たちに紹介した。

ギターを出していた遥とシンラが、ばっちりと目が合った。


遥は心臓がドキっとした。


「えっ? 女の子いるの?」


シンラが驚いたように、NOに聞いた。


「ああ、うちの下手しもてギターだ」


NOは、笑顔のまま頷いた。


「だってヴィジュアル系だよな?」


「そうだよ」


「俺、無理。誘ってもらって悪いけど……」


(あー……)


遥はギターの調整をしながら、シンラとNOに背を向け唇を噛みしめた。


「はい。じゃあ、さようなら!」


陣が怒ったような声を出している。


「そっか。仕方ないな。ここまで来てくれて、ありがとう」


NOがそう言った後、扉が開く音がした。

遥が振り向くと、シンラが出て行くところだった。


扉が閉まり、スタジオはまた四人になった。


「気にすんなよ。遥は遥だよ」


哲央が遥の横にきて、背中を軽く叩いた。


「……うん、大丈夫だよ」


遥は笑ってみせた。


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