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幻想日誌:魔動物として召喚された男の物語  作者: 森野昴
第5章 初めての町の外
78/155

5-16 合間の時間

サブタイトルと少し表現の変更をしました。

 空中で回転している2つの黄色い魔独楽石まこまいしは、そのまましばらくぶつかり合いをしていた。その内の一つが急に回転を止め、ころりと地面に転がる。


 見た感じでは、その落ちた魔独楽石に傷とか割れとかは、なさそう。同じような硬さの2つの石が激しいぶつかり合いをしていたと思うんだけど。


 もう一つの石は、しばらくの間、空中で高速回転していた。時間が経つにつれ、その石も次第に回転が緩やかになり、最後はゆっくりと下に降り、これも転がる。


「むう。ハンデを付けたとはいえ、この俺が初めてのやつに負けるとはな」


 デトルは少し肩を落として言った。


「いや。だが凄いな。従魔候補の坊主! もう、そのまま参加できるそ!」


 気を取り直したデトルは、これでもかというくらい、こちらの頭毛をくしゃくしゃにぜて、かかかと笑う。


 んー。これは、カークもよくやるんだけど、この頭の毛ってくしゃくしゃにされやすいのかな。これもルークに聞いてみたい事項の一つだよ。


 このくしゃくしゃ頭は一振りさえすれば、元通りに戻るから問題はないどね。


 そう思いながら、ぶるりと一度頭を振る。


 そんなこちらを、ちらりと見ながら、クリスティーノが問う。


「それじゃあ、ラケルタ君が対戦に使用する石は、どれにするかな」


「ま。今回のは、まぐれの可能性がある。それに依頼者に渡す可能性があるもんが壊れるのも何だな。それで初心者向けの基本的なもんから見繕いたい。どの石が良いのか? デトルとやら」


 それを受けてカークがデトルに聞いた。


「初心者向けの基本的なもんなら、今使った単色の黄色が特に癖がないのでお勧めだな。より強いもんを使いたいのならメトルの言う黄色の針入りだろう。針入りは回転が速くて硬い石だが少し癖があるので初心者には扱いにくい。だが、この坊主なら針入りも十分扱えると俺は思う」


「ふむ。そうか。ものは試しだ。使わせるとするか。採取したルチル入りの魔独楽石は相当数ある。ラケルタ。その袋に入っている黄色の針入りを使うと良い」


 あ。はい。


 こちらが持っている袋から魔独楽石を取り出す。そう。この袋には数が多い種類の魔独楽石が入っている。袋からデトルと同様な菓子箱のような木箱が出てくる。


 デトルから分けてもらった箱だから当然だよね。袋からこれらの箱を取り出し、一番手前にあった箱の蓋を開ける。


 黄色の針入りね。うん。いっぱいあるよ。それだけで埋まっている箱があるくらい数が多い。なので、黄色の針入りで埋まっている箱を表に出す。


 そしたら、その箱をサマラさんが覗きに来た。


「あら。坊や。黄色の針入りを使うの? せいぜい頑張りましてよ」


 釣り目勝ちの目を細め、険しくこちらを見つめるサマラさん。彼女は、取り付く島がない冷たい感じの美人系。なので美人な女性でも、そういう目で見つめられると、かなり怖い。


 うーん。こうゆう感じの女性は苦手だよ。お手柔らかにお願いします。


「サマラさん。この子、おびえているじゃないの。もっと優しくできないの?」


「よろしくて。この坊やは魔動物なのでしょう? 解りはしないわ」


「魔動物でもだめですぅ。従魔保護法に引っかかりますぅ!」


「ほほほほ。ないわ。このようなことでは、かすりもしないわよ」


「あのねっ」


 ん? 怖いという感情が、顔に出てしまったかな。これは苦手なだけで、こちらの身体が、がたがたと震えている訳ではない。


 マーリンさん。気持ちは嬉しいよ。でも、サマラさんの言う通りだと思う。言葉の上では励ましてくれているしね。


 そうこうして準備をしていると。


<そろそろ開始しますので、参加される皆さまは中央まにお集まりください>


 あれ。スピーカー?


「おう。新しい魔道具か」


「ナーガラ帝国魔道具省製の拡声魔道具だよ。とても便利なんだ」


 へえ。これもナーガラ帝国の魔道具なんだね。凄いな。


「だけどこれは、まだ試作段階のものでね。場所を選ぶようなんだ。僕の執務室でも使用できたら良かったのだけど、変な雑音が入って駄目だったよ」


 あ。まだ開発段階なんだ。完成したらどんなのができるのだろう。ここのは仕組みが違うだろうしね。興味があるよ。


「ラケルタ君が興味深そうにしているね。この対戦に興味があるのかな」


「いや。俺は拡声魔道具のことだと思うぞ。な。ラケルタ。そうだろ?」


 こちらはかさずカークの顔を見て「チ」と声を出す。


 そして、にっこりと笑う。


 どちらも興味があるけど、今回の場合はカークの言う通りだよ。うん。


「ほう。ラケルタ君の興味の持ち方は、君と似ているようだね」


 それから、広げていた魔独楽石を袋に入れ直し、男性5名、女性2名、そして、ミルマノとこちらの魔動物組2体は中央に向かった。


 そう。魔動物側のミルマノは相変わらず、無表情になってだんまりを決めている。クリスティーノの執務室にいる時は、結構いろいろな表情を見せていたんだけどね。ここの雰囲気が気に入らないのかな。


 楕円形の中央に集まる。見れば、30名ばかりいるようだ。その内、魔独楽石をいじっている人間は10名ほど。魔独楽石投げは、ここの監督員の全員が遊ぶものでもないようだ。観戦をする人間のほうが多いようだね。


 魔独楽石投げのルールは、いろいろとあるとのこと。ここでは回転停止や落下の他に、中央に円形の輪が描いてあって、この円柱の外から出たら負けという追加のルールがある。


 そう。その描かれた円に沿ってごく薄い円筒が魔道具によって投影されている。魔独楽石がこの円筒に触れたら、すぐに判る仕組みになっているとか。


 この遊びは、さっき練習でしたような1対1で行うこともあるけれど複数で一度に投げることのほうが多いとのこと。


 最初の予定では15名だったので、5名ずつ3組だったとのこと。だけどこちらが急遽きゅうきょ入ることになったので、4名ずつ4組で行うこととなった。


 こちらは4番目の組。最後だね。


 あ。うん。ちょっと苦手なサマラさんと一緒の組。


 ん。そろそろ1番目の組の対戦が始まるみたい。


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― 新着の感想 ―
[良い点] ラケルタの頭髪が首を振ってファサ〜っとしている様子を想像してちょっと吹きましたw
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