プロローグ
次話から本編です。
暗がりの中に、一条の光。
吸い込まれそうになる程美しく優しい光が、明るく辺りを照らす。
光は、やがて力尽きたかのように、暗がりの中へ消え溶けてゆく。
すうーと、気配と場面が遠のき変わる。
何処からか遠く。
鮮やかな青緑色と紅色を纏う、朧げな影。
遙か彼方からと思えるくらい微かに、何かが呼ぶ。
優しく誘う、穏やかな呼びかけ。
再び、すうーと、気配と場面が遠のき変わる。
一条の冠羽と四条の長い尾羽とを優雅にたなびかせて。
大きな白い鳥のようなものが、頭上を通り過ぎてゆく。
んー。眩しい。
今は家の布団の中。
もぞもぞと起き出して目にしたのは、一応床の間に飾る小さな鏡餅。
朝日の差し込み加減なのか、クルリと丸い輪郭が光る。
そうか。今日は、正月の二日目だった。
すると、何だか妙なあの夢は、今年の初夢か。
とはいえ所詮、初夢も普通の夢と変わらない。そんなものだろう。
あれ。
昨晩は結構食べたはずだが、もう腹が減っている。
おせちの見た目は、贅沢で豪華だけど、旨いと思うのは最初だけよね。
なので今日は、普通に朝飯を作って食べようか。
その後、色々とごたごたとして、この初夢のことは忘れてしまっていた。
よろしくお願いします。