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加藤の右目へGO  作者: どすこい姉妹
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〆さばVS炙りイカ

気が付くと俺は病室に居た。点滴を打たれている……。何があったんだ?そう、さっきまで文化祭で歌っていた。一曲目で加藤に演奏中、割と本気めのキスをされ、動揺し気持ちが高揚してアンコールをされた時に一年の時に作った「〆さば」を歌った。アレ?歌い切ったか……?


遠くから父さんと母さん、花奈の声がした。

「だーから、炙りイカじゃないってー」

「息子が歌ったのは〆さばよ」

「昨日食ったのは炙りイカだよな?」

どうやら、俺達が演奏した「〆さば」と昨日食べた炙りイカがごちゃ混ぜになって居るようだ。


『あ、お兄ちゃん目覚めてる!』

父さんと母さん、花奈が病室に入るなり大きな声で言った

「俺…どうしてここに?」


「アンタねー、緊張してご飯要らないって言って出てったじゃない!お昼食べたのかと思ったら、パンケーキ焼くのに夢中でお昼も食べてないって聞いたわ。低血糖になって倒れたのよ!ほら、加藤くんも心配して来てくれたのよ!」母がそう言うと、後ろの方に加藤が申し訳なさそうに立っていた。


「加藤…ありがとう…俺、お前の曲でステージに立てて…すげー気持ちよかった。もう、思い残す事は何も…ない…。」

俺はそう言い残すと、昨日一睡も出来ていなかった事を後悔しながら眠りについた。


俺はそのまま一晩眠り、翌朝退院した。

幸いにも次の日は振替休日で学校は休みだった。一日中ダラダラと過ごし、ご飯を3杯おかわりして1キロくらい肥ってしまった。

退院した直後ということもあり、家族は風邪をひいた時のように優しく接してくれた。だが、当の本人はもうピンピンしており、その優しさが少し気持ち悪く思えた。

加藤には、起床した直後に謝罪の連絡を入れたのだが返事は夕方まで返ってこなかった。

「大丈夫、気にしていない」とのことだが、返事の返ってくる時間の遅さが加藤の怒りを彷彿とさせる。

やはり、明日直接謝罪しよう。バンドメンバーにも一言謝りたいところだ。ヴォーカルの俺が途中で倒れたことにより、最後まで演奏出来なかったのは俺の責任だ。


翌日、いつもより早く家を出た。

「早く加藤の顔を見たい」

俺はそう思ったら、そのまま口に出た。

「お兄ちゃん何か言った?」

妹が隣で怪訝そうな顔でこちらを見る。

「いや、気持ちの良い朝だなぁ。」

俺は吹けもしない口笛で誤魔化した。学校までの距離が嫌に遠く感じた朝だった。

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