イヤホンとテトリス
かっこいいバンドの練習を後に加藤はバイトがあると言い、そそくさと先に帰ってしまった。俺は加藤の紫のパンツを脳裏に焼き付けニヤニヤと一人で下校していた。
百円ショップで買ったイヤホンで音楽を再生しようと携帯を開くと加藤からの連絡が入っていた。
「今日のパンツ…忘れてくれ」との文字が並んでいた。相当に恥ずかしく後悔したのだろう。「ふぇぇ~藤原は、そんなの無理だよ~」とだけ返しておいた。
音楽はハードロックが好きだ。然し、音質があまり良くないのでドラムやギター、ベース、ボーカル…つまり全てがガサゴソと聞こえて原曲を台無しにしてしまっている。
…俺は父さんが働いた金を母さんが管理して月々、少しずつ金を貰っている…つまりお小遣いを貯めて買った、確か三千円くらいのイヤホン…花奈に返して貰おう…。と、加藤のパンツを思い浮かべたまま決心した。
家に帰り、ボケ担当しか居ない家族の食事の会話を無視してひたすら食べていた。食べ終え食器を片していた花奈に声を掛けた。
「花奈、前に貸したイヤホン、返してくれない?」
「あぁ、アレね。ごめんごめん、お母さんにもっと良いの買って貰ったから返すわ」
案外アッサリ…って、え?話が違う…わよ?面倒になる事を予測して「あ、うん」と返した俺は金玉付いてるのかと疑問に思った。
自室に戻り、三千円のイヤホンで泣きながら音楽を大音量で聴いていた。
気を紛らます為に、テトリスをやった。テトリスは割と得意な方だったから、かれこれ三十分も続いてしまったから止めることにした。
携帯見ると花奈がツイッターで「さっき部屋覗いたら、泣きながらイヤホンで何か聴いてテトリスしてたんだけど、キモい」との投稿が。拡散されてるぞ…。泣いた。そして覗くなよ。
加藤からメールで「バイト終わった。藤原面白いな、そして学園祭、三日後だな…」
ツイッター見てるのかよ加藤。学園祭、通称『学祭』が三日後だった事に口をあんぐり開け驚いた。テトリスなんぞしている場合では無かった。




