悩める藤原
悩める藤原
次の日。学園祭の準備もあり、忙しない教室内を俺は死んだ目で見ていた。
メイド喫茶だとかは割りと無難な出し物だし、転んでも痛くない感じは程々にある気がした。
加藤の彼氏候補と言う不確定な人物が気になるが、聞くに聞けずにいる。しかし、加藤の恋愛感情を動揺せず淡々と話す姿は素敵であった。
そんな、三年目のクラス替えをしてから出会った加藤との学生生活は平凡で、ある日突然、予期せぬ所で刺激を与えられ詰まらぬ事が嫌いな自分にとっては心地が良いものであった。
心地が良いだけでは気が済まぬ事もあるが、最近の思考の中心部である加藤の事が気になって仕方が無い。
加藤が恋する人が気になる…。
部活動へ一緒に向かう加藤に聞こうか悩みに悩み、また喉仏から振り絞り声が出そうになる。
いや…駄目だ。でも同級生の況してや友達の恋の悩みを聞くのは“友達”として当然では無いだろうか…?
「加藤…」
「あ?」
駄目だ!加藤が喧嘩腰だ!でもここで止まったら…。
「あのさ、えーっとね、この間、放課後ティータイムしたじゃないですか。気になる相手っていうのは誰なのかな~って。思いまして。」
何となく伝えたい事が言えた気がする。
「…馬鹿」と一言。
色々、何が馬鹿なのか問いたがったが、部室へ着いてしまった。
「お、おう…」と独り言のように言って部室の微妙な色のドアを開いた。




