加藤の彼女
「おまたせー」ドタドタと足音を立てて妹が居間に入ってきた。
「それにしても、お兄ちゃんにあんなイケメンの友達が居たとはねー。」
妹が意味深な笑みを浮かべる。
「イケメン!?」
黄昏ていた母が何故かその言葉を聞いて反応した。
「母さんまで…」
「そう、さっきコンビニ行く途中に、帰ってくる途中のお兄ちゃんが、イケメンのお友達と歩いてたの!」
「花奈、その人をお兄ちゃんに紹介してもらいなさい!」
母が立ち上がり半ば叫ぶように言った。
「そ、そうだよ!紹介してよ。」
母の狂気じみた反応に動揺しつつ、妹が詰め寄る。
「あのなぁ…。お兄ちゃんあいつとは最近喋るようになっただけで、まだそんなにあいつのこと知らないんだよ。だから、彼女とかいるかも知れないし…」
「じゃあ、聞いてよ!」
「それじゃあ、聞きなさい!」
言い終わるか否かのタイミングで母と妹が同時に言う。
こうして明日、加藤に恋人が居るか居ないか聞く羽目になった。
次の日の朝。
「カトー。チョットキキタイコトガアルンダ。」
緊張し過ぎて怪しい外国人みたいになってしまった。
「え?なに?」
怪しげに俺を見る加藤。
「カ、カノジョトカイルノカ?」
「居ないけど…。」
最早変な物を見る目で、俺を見てくる加藤。
「ソウカ。チョットキニナッタダケダ。」
そう言って立ち去るのが精一杯だった。
なんで俺こんなに緊張してるんだ…。




