EP.FNー09 世界を塗り潰す闇ーTABOOー
終わらん。予定が消化できん。
EP.FNー09
「トイレに行きたい。」
そう俺が言うと若干ながら高まっていた緊張感が霧散した。主に、おっさんの。見た目通りの腹芸ができない脳筋なのだろうか?
「トイレかよ………。それならーー。」
と、言いかけたおっさんは急に口を噤む。あ、おっさんも気付いたようだ。因みに、お兄さんはとっくに気付いている。今、俺に外に出られたら不味いことに。
なんせ、この部屋を取り囲むようにして(おそらく)武装した冒険者がいるんだ。俺が外に出たら即刻バレる。まぁ、もうバレているが……。おそらく、むこうも武装集団を使うのは最終手段ーーというか、一種の保険だ。あまり切りたくないカードだろう。それを逆に利用したのが今の俺。
「……い、いや。トイレは後に……してくんねぇかな?」
おっと、おっさん。その言い方はダメだ。それじゃあ、俺にこの部屋を出たら何かありますよ、と伝えることになる。
「…………………。」
お兄さんは何も言わない。否、「言えない」なんだろう。なんせ、俺はトイレに行きたいと言っただけ。外を確認させたくないのなら、俺に違和感を覚えさせない言い訳を用意する必要がある。
よく分からんが、宰相というのは結構な重役なのだろうし、偏見かもしれないが腹黒い連中がウヨウヨいる貴族社会の一員だ。そういう環境で生き抜いてきたさしものお兄さんもまさか、「お花摘みに向かう女の子を呼び止め、後回しにさせる」ナイスな言い訳は思いつかないだろう。というか、思い付いたら人として引く。ドン引く。
この辺で「おたくらが来るまでずっと我慢してたんだ。」とか言って、お兄さんを更に追い詰めたくなる。が、
《御主人様。それ以上は不味くないですか?》
ナビィがそれを呼び止める。
まぁ、その通りだ。「武装集団で無理矢理」って手は、彼らにとってあまり切りたくないカードではあるが、切れないカードではない。そして、その彼等は、片や冒険者ギルド支部長。片や宰相とかいう職に就く貴族。切るべきタイミングを見誤る彼らではない。
というか、俺のやっていることって、その選択肢以外を消す行為。自分で自分の首を絞めていることに他ならない。タイミングを見誤ったらこっちが詰む。
まぁ、俺がこの街に入って一、二時間程度で集めた連中で俺がどうにかなるとは思えないが、その時は確実に人死にが出る。
これは、少年を助ける際に実感していたのだが、やはり、俺には戦闘はむかない。現代日本に生息する学生(18歳)に剣術とか無理だ。ハッキリ言って自分の高過ぎるステータスに物を言わせてのゴリ押しとしか言いようがない、それはそれは酷い物だった。魔法の方は俺の意思に従って半ば自動的に発動していたからどうにかなったが、あれはONとOFFしか出来ない代物だ。最低ランクの魔法を使ってもレベル差で最悪相手が死ぬ。そもそも、俺がレベルカンスト勢でも、むこうが俺より弱い保証は無い。相手のステータスを盗み見るような魔法やスキルを保持していたらと思うが、後の祭り。その辺はナビィが持っていることを期待しよう。
それに何より………俺はおそらくもう……………。
いや、この話はしないでおこう。この状況で関係の無いこと考えるのは不味い。
まぁ、つまり、相手に「力づく」をさせるのはこちらにとって致命的なのだ。
むこうに流れだしていた話の主導権を取り敢えずトントンにまで戻せた。もともとこちらは話の主導権を握りやすい立場にあるのだ。そう考えるとこの結果は上々だ。
「だぁーーー!!面倒クセェ!おい、嬢ちゃん!もう、変な腹の探り合いはなしだ!単刀直入に聞く!テメェ、何もんだ?」
おっと、おっさんが痺れを切らせてドストレートを投げてきた。俺はちょっと、「今、トイレは全部清掃中だ!後にしろ!」と、いう苦しすぎる言い訳で知らず知らずの内にお兄さんを追い詰めることに期待していたんだが。胆力が足りねぇんじゃねぇの?
というか、まだ「腹の探り合い」なんてしてなかったぞ。どっちが話の主導権を握るか、という状況だったんだが……。それに、あの馬鹿馬鹿しい掛け合いも計算尽くだったのか!?本気でアレで主導権握るつもりだったの?マジ?
ま、まぁ、良い。おっさんの発言は俺が待っていたものだ。これで、主導権は完全にこっちだ。証拠にお兄さんが一瞬、顔に渋面を作っていた。
そらそーだわな。なんせ、あのおっさんは単刀直入に聞いちゃったんだから。これでここでの会話は「教えてもらう側」と「教えてあげる側」による会話になった。否、もとからそうだったんだが、お兄さんはおそらく言葉巧みに「教えてあげる側」の俺を答えないといけない状況にしたかったんだろう。ま、そんなものに引っかかるつもりはなかったけど。
それもこれも、このおっさんがその空気を作り出す前にこの「もらう側」と「あげる側」の関係を浮き彫りにしてしまった。
まぁ、おっさんはおっさんで「力づく」で答えないといけない状況を作り出すつもりなんだろうけど……。おっさんは気付いているのだろうか?
「立場を弁えろよ、おっさん。」
ーー手札のカードは場に出さない限り何の意味も持たないということを。
「『教えてください』だろ?」
ーーその瞬間、この一室は完全な闇に閉ざされた。
ども、ハルです。
スンマセン。また、連続投稿は遅れます。前話で消化しきれなかった分を今回でもできませんでした。
言い訳という程のものではありませんが、自分は今作を作るうえでかなり行き当たりばったりな状況です。以前の後書きのナビィちゃんの一件で皆さん知ってると思いますが………。
ある程度の大筋はできているから投稿ストップになるような致命的なことにはならないと思います。が、それは骨組みが出来ているだけで、肉付けが十分ってわけではないんですよね。なんで、肉付けは執筆以前からある「こんなことしたいな〜」を執筆中に思いついた「こうすればいいんじゃね?」で繋ぎ合わせて完成というプロセスを踏みます。なんで、今回のように急に次回が気になるようないい感じの締めが出来て、ここで終わろう!!となっちゃうんですよね〜。
お前、そんなんで大丈夫か?と思った貴方!自分も結構不思議に思っているんですが、なんやかんやで出来てるんですよ!!不思議。
これ、本当に大丈夫なのかね?なんせ、投稿4部目で大幅変更しちゃいましたもん。不安だわ。
ま、まぁ、アレです。第二、第三のナビィちゃんを出現させないように頑張ります。応援のほどよろしくお願いします!では、次回で!!
連続投稿………何時になるかな………(ボソッ)




