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異世界ギルドは当然歩合制  作者: Whale
君に捧げる
15/20

起きうることはいつか起きる ーside アレックスー

ああ、頭の中を記憶が駆けめぐる、走馬灯ってやつか、その中で俺の記憶の大半を占めるのが、ミラだ、俺の幼馴染みで一番大事な人。この世にはもう居ない。あいつは…あいつは…俺が…殺したんだ…ミラ…。力は仲間と、愛するもののために使うのよ?だったけな……。


ーーーーー「おーい。おはよう!アレックス!」

「ああ、ミラ、おはよう」

「早速だかピクニックに行くよ!着替えて!」

「今何時だか知ってるか?」

「もちろんだとも。」


これはそのままの今じゃなくて皮肉なんだよ、朝の二時に突然押しかけてきて、人を起こすやつがいるかよ。家が隣ってだけでよ、変な噂まで立つし、こいつなんなんだよ。


「あのな、今は朝の二時だ、俺は眠い、それに明日は普通に学校だ、あと窓から入ってくるな、夏場は暑いから開けてるだけだ。」

「うぅーけちー。せっかくこんなナイスバディの幼馴染みの美少女が夜遊びにさってあげてるのにっ!」


心底うぜえ、そもそも、自分のことを美少女っていう美少女はこの世には存在しねえ、お前は精々上の中くれーだ。


「クソうぜぇ。帰れ、アホ。」

「えーそんなこと言っちゃっていいのかなー?」

「殺すぞアホ。」

「だってさー流星群がこんなに綺麗なんだよ?アレックスの頭だけめがけて隕石が落ちてきたら大変じゃない?だから、起きてないとね?ね?」

「ったくしかたねーな、昔から一度言い出したらとまんねーんだからよ。」

「わーい!」


仕方なく俺はいったんこいつを部屋から追い出して着替え始める、さすがに十五にもなって一緒の部屋で着替えるのはまずい。


「お待たせ、んじゃいくぞ。」

「えへへー」


こいつは基本クソうぜぇがたまに良いやつだ誕生日は毎年祝ってくれるし、今日は、ってかいつも、少し、いやかなりおかしいが遊びに誘ってもくれる。別に友達が居ないわけじゃないが仲間は居ない。あれだ。いわゆるお年頃ってやつだ。


「…………それでねーあのねーって、聞いてるの?アレックス?」

「ああ、聞いてるぞ、ブス」

「うわ!女の子にそんなこと言うなんて!ひどい!だから彼女とかできないんだよ!」

「おめーもだろ?生まれてこの方告白されたことすらねーんだろ?」

「えへへー残念でした!なんと!格好いい先輩に真剣な、はいここ重要だからね真剣なお付き合いを申し込まれました!ドヤ!」


俺がこいつを異性として意識していなかったが普通に黙っていれば可愛いし、この性格をたまたま気に入るやつがいてもおかしくない。でも俺は納得ができなかった。


「おい、もう返事はしたのか?」

「まだだけど?」


俺は意を決す。


「なあ、ミラ、俺と結婚してくれ。」


ミラが泣き始める…やばい、急なことすぎでいきなり求婚してしまった。起こらせたか?


「はいっ!」

そんな声で答えが返ってる、いやいやいやいや、まてまて、その格好いい先輩はどうしたんだと聞いたら、そんなの居ない、と言われた、何でも友達に聞いた方法らしい。


「えへへーこれで私たちは夫婦なのです!」

冷静に見れば可愛いな、でもまて、夫婦はええよ、そもそも法的に結婚できるのすら来年だし。アホなのかこいつは色々と。


「ちょっとまて、俺は求婚してしまったが、すぐに結婚するつもりはない。」


あそこまで驚いたあいつの顔を見たのは久しぶりだったが、星が綺麗だったせいで詳しくは覚えてない、本当は恥ずかしすぎて顔を直視できなかったからなんだが。


ーーあれから五年の月日が流れた。俺はレンガ職人として、ミラは、俺の妻になっていた。


「ただいまーミラー」

「お帰り、あ、な、た。お風呂にする?ご飯にする?それとも…お風呂でご飯にする?」

「普通にご飯で」

「うぅ、妻がボケたのにそれは酷くないですか?」

「はは、じゃあ、風呂でおまえ、なんつってな?」


顔を赤くするミラ、急いでキッチンへ駆けていく。


ーー「ねえ!ピクニックいこう!ピクニック!」

「お前今何時か知っているか?」

「朝の二時よ?」

「俺は眠い、よって寝る。」

「えーあなたが私に告白した日は来てくれたじゃない!」

「その日のことは蒸し返すな、恥ずかしい」


仕方なく俺は着替える。ああ、こいつにはかなわねーな。


ーーーーーそれからまた幾千の日々が過ぎた。俺たちは三十を超えていた。子供も出来て充実した日々を送っていた。その日までは……。


「ラルフはまだ帰ってこないのか?」

ラルフとは今年七歳になる息子の名前だ。

「なんかねー近所の子供たちと遊びに行ってくるっていってたけどさすがに遅いわね。」


「ミラおばさーん!」

玄関から子供の声が聞こえる、恐らく言っていたその子供たちだろう。


「どうしたの?それよりラルフ知らないかしら?」


んっ、と言う風に一枚の紙を渡してくる、それを見るとミラは震えだし……


「おい?どうした?なにが……」


今でも鮮明に覚えている。


お宅の息子は預かった。返して欲しくば金貨百枚を用意して近くの公園の噴水まで一時間以内にもってこいらそこで引き替えだ。万が一自警団や軍にでも伝えてみろ……俺は異能者、とだけ言っておく……。


そう書かれていた。ミラはすぐさま走り出す、彼女は異能持ちだった、ただしその異能は強力すぎるが故代償が大きく人生で一度、俺のために使って以来もう何十年も使っていない。


「まて、ミラ!」


異能者同士の争いにその時はまだ一般人だった俺が手出しするわけにもいかず、唯々その背中を見ることしか出来なかった。


公園で対峙する、ミラと誘拐犯、やつの隣にはラルフがいた。


「よお、金は持ってきたか?」

「その子を!返して!」

「金と引き替えだ、とっとと出せ!」


もちろん一時間以内にお金を準備出来るわけもなく、ミラは力づくで取り返そうとする。まあまず負けないだろう、ミラは代償すらなければ最強だ。


彼女の異能は相手を一瞬で絶命させる、文字通り一瞬だ、特別なプロセスや道具も必要ない。意識があるだけで発動できる、ただし見返りとして、奪った者の本来の寿命の半分、自分も失うことになる。


昔俺を野良犬から助けたそのせいで、ミラは見た目より三歳ほど歳をとっているようにみえる。だか今回はどうだ?危険すぎる……。


「やめろ!ミラ!!!」

「ねぇ、アレックス?力はね仲間と愛するもののために使うのよ、わかった?」


昔みたいなお姉さん口調でそうただす、それと同時にミラは息絶える…。享年三十、早すぎる死だった。


「う。いったいなにがおきた…」


やつはまだ生きていた。ヨボヨボの体でミラが命をかけて守ろうとしたその命を絶やそうとやつは子供の首を絞めようとする。


クソが!クソが!クソが!クソが!ミラが!ミラが!命をかけて守ろうとした!命を!


俺の体を怒りが支配する。


ミラを!ラルフを!守れる力が!あれば!その力があれば!こんなことに!


ーー異能を手に入れるには二つの方法がある。

 一つは先天的な者、全人口の約十五%の人間は先天的に、異能を持つ、対して二つ目の方法、それは後天的に手に入れる方法。強い思いに対して極希に発現する。最もこれは例の神の気まぐれの仕業であることを誰も知らない。


ーー体が突然火照る、熱い!熱い!熱い!それと同時に手元に大きな盾が現れる…


守る力を…俺は…手に入れた!


「クソッタレエエエ!!!!」

俺は力任せに突進し、やつから子供を離す、そしてやつの命がつきるまでひたすらに殴る殴る殴る。




ーーーーー「ミラ、君を守れなくて…ごめん…俺はこれか人を守れるような人になるため鍛錬に励むよ。そして…いつか君みたいに大事な仲間をこの手で守る!あの時は…俺が…無力だったんだ…あんなことが二度と…ないように…。しばらくはお墓参りにもこれないけど、できるだけ早く君に俺の成長を報告しにかえってくるよ。その時はまた、話し相手になってくれるかな?俺のたった一人の…大切な人…。」


俺は子供の就職が決まったその日家を売り払い、しばらくの生活のための僅かな金以外、ラルフに渡し、傭兵となった。護衛専門の傭兵へと……。




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