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episode36『魔女と魔法少女』

episode36

『魔女と魔法少女』



[part1]


雪の平原。雪は止み、空は暗く……緑色のオーロラが巨大なカーテンを生成していた。それはとても美しかった。


ツカサ「…………」


黒い三角帽子をソラに託して今は金髪ロングの髪が風になびいている。


ツカサ「この辺なら……」


ツカサは意志、そして覚悟を決めた。


ツカサ「『クモリ』。居るんでしょ?出てきなさい……?まだゲームは終わってないわよ?」 


周囲の反応は風のみ。ツカサは腕を胸に手を当てる。


ツカサ「『ここ』に居るんでしょ?………………早く……出ろ!」


「うはー、バレてーら……」


少女の声がツカサにははっきりと聞こえた。そして……彼岸花の形をした魔法陣をツカサの前方に展開、そこには白い三角帽子で黒いロングパーカー、ロングスカートの少女……いや、アベンドのクモリが立っていた。


クモリ「迷える善人を救いにやってきた 晴れときどき 『クモリ』!」


ツカサ「…………」


クモリはツカサを見つめて笑みを浮かべる。


クモリ「やぁぁっぱ来たんだね……そんなボロボロなのに……」


ツカサ「……そうよ。あなたの為にわざわざ……よ?」


クモリ「で?どうする?先輩?私をボコボコにするの?……効かないのに〜?あはははは!!」


ツカサは咳き込み口から吐血をする。しかし、すぐに態勢を整える。


クモリ「てかさー?執着やばくなーい?そんなに私をぶちのめしたいの〜?……キモ」



クモリ「帰れば……助かったのに〜」


クモリはケラケラ笑う。


ツカサは……もう一切動じなかった。


ツカサ「もう……時計の針は……戻らない…………」



ツカサ「(低い声で)…………舐めんなよ……クソガキァ……」



ツカサはゆっくりと右手を前に差し出す。完全に決意に満ちた表情をしている。



クモリは先程までの歪んだ表情から無になる。



クモリ「…………やっと、本気になったね……」



クモリはツカサの決意で察した。もう彼女は進むことを選んだことに……。


クモリは魔法少女のような彼岸花モチーフのステッキを手にして念じる。すると辺り一面、積雪から真っ赤なカーペットのような彼岸花に変貌する。しかし、再び空は悪天候になり、吹雪へ。


クモリ「…………」


クモリは口と瞳を閉じていたが、やがて両方とも開いた。


クモリ「ゲームを終わらせよう……」




[part2]



先手を取ったのはツカサ。かざした手から黒い球体を生成!それは重力の塊、つまりブラックホール。


ツカサ「潰れろ!!」


小さなブラックホールに空間ごと圧縮され、クモリは吸い込まれる!……が彼女はステッキを振りかざし、それと同時にツカサ周囲に重力を発生させ、地面に叩きつけた!!


ツカサは地面に吸い込まれるように彼岸花達に埋もれる!!そしてクモリはステッキを横に振り払い、ツカサが伏している地面から鋭利のある白い彼岸花を生成されて串刺しにする!!


グサッ!!


全身か棘のような白い彼岸花がツカサの身体を貫いた!!彼岸花に鮮血が染みわたる!


ツカサ「ぐっ!!」


大きく吐血をし、自身が発生させたブラックホールが消えた。クモリはニヤニヤと笑いながら近づく。


クモリ「跪いたねーハハハ!」


ドゥン!!


非常に重厚か音が空間に響き渡る。発現元はツカサ。そして自身諸共を空間をひしゃげる!!


クモリには必中した。ツカサ中心から周囲にクレーターができるほどの圧力を与える!!


クモリ「……!!?」


クモリは思考が停止する。気がつけば身体の半身を失い、赤いノイズと彼岸花を撒き散らしている。ツカサは……。


左腕と左半面の顔が消失する……傷口から血飛沫を放ち、周囲を汚した。


クモリ「せ、先輩……死ぬ気?」


ツカサは不敵な笑みを浮かべる。


ツカサ「それがどうした……関係ない……」


容赦なく右手から高速の黒い弾丸を生み出し、大量にクモリへと降り注いだ!!クモリは横に躱しながら身体を再生させることを優先したが数発被弾する!


ツカサは負傷したまま重力を真横に発生させてクモリを磁石のようにツカサへと無理矢理密着させる!そして……。


ツカサ「跪けっつてんだろぉが!!!ガキがぁ!!」


右手で何度もクモリを地面に叩きつける!!それこそ身体ごと損傷させるぐらいに。


ガンッ!ガンッ!ガンッ!ガンッ!ガンッ!


クモリはツカサの殺意に適応できずに何度も地面にひれ伏せられて圧力で身体がぐちゃぐちゃになる!


ツカサ「テメェの!!」


ガンッ!


ツカサ「せいで!」


ガンッ!


ツカサ「わたしは!!」


ガンッ!


ツカサ「地獄に!!」


ガンッ!


ツカサ「堕ちた!!」


ガンッ!


ツカサ「のよ!!」


ガンッ!


ツカサ「わかってのか!!」


ガンッ!


ツカサ「ガキがぁ!!」


ガンッ!


クモリの身体から大量のノイズと彼岸花で溢れ返る。クモリは……どこか寂しそうな表情をする。


クモリ「…………」


クモリ「……そうだよね」


ツカサは涙を流し、泣き叫びながらずっと手をかざす。


ツカサ「クモリ!!言え!!……『ごめんなさい』を言え!!!じゃなければ殺す!!惨めに……!!ぐちゃぐちゃにしてやる!!!」


クモリ「…………」


ツカサの身体が再生し始める……しかし血とノイズが身体から発している。


クモリ「……そっか」


クモリ「……もう」


クモリ「…………先輩……は……」


クモリはどこか諦観な表情だった。ツカサは叫びながら手を天にかざして巨大な黒い球体を生み出す……!球体はみるみる内に大きくなり、周囲の彼岸花が球体へと吸われて圧縮されていく。


ツカサ「……そう……なら!」



ツカサ「存在ごと消えろ!!!!」



ツカサはクモリの面を見つめる。最期の表情を見る為だ。


…………その顔は。


ツカサ「…………!!」


クモリは……優しそうな笑みを……浮かべていた。



突如!ツカサとクモリに幻聴が!


ツカサ『名前……ね……』


ツカサ『どうしようかしら……?』


ツカサ『……白いから……シロ……』


ツカサ『……安易ね……もっと』


ツカサ『……雪?……雪のように……白いから』


ツカサ『…………』


ツカサ『……ユキ……』


ツカサ『…………』


ツカサ『…………なんか……安易すぎる……』


ツカサ『そうね……もうちょっと捻りたいわね……』


ツカサ『……白……白い……ねぇー……』


ツカサ『………せっかくの15歳の誕生日プレゼント……来年はわたし……ダメかもしれない……』


ツカサ『………………』


ツカサ『…………白、曇り空……曇り空の色……』


ツカサ『……クモリ……クモリ……』


ツカサ『……クモリ!!』


ツカサ『……いいじゃない?……上出来よ……わたし……』


ツカサ『はぁ……どっちが長生き……できるかしら?……』


ツカサ『……クモリ』



ツカサ『……あなたはわたしより……生きなさい……』


 


ツカサ『……絶対によ?』



ツカサ『……絶対に!!』


ツカサの声に少し笑みを感じた。




ツカサとクモリは走馬灯のように過去の記憶が入ってくる。


ツカサがずっと籠を見つめている光景。

ツカサが優しそうな表情をしている光景。

ツカサが嬉し泣きをしている光景。


再び、過去の記憶。


ツカサ『クモリ……クモリはこんなに小さいのに……あなたにも……命が……あるのね……』


ツカサ『……生きてるのよね?』


ツカサ『……ホンッと無邪気ね……』


ツカサ『人間達は……ソレどころじゃ……無いのに……』


ツカサ『……そろそろご飯の時間ね』



ツカサ『…………あなたが……いるから……わたしは…………』



ツカサ『まだ……生きてられる……』



ツカサ『…………ずっと……一緒……よ?』






ツカサは操っていた重力を止めた……。



ツカサ「…………クモ……リ?」


ツカサ「まさか……?……あなた……なの?」


クモリはずっと黙っている。彼女の目元からノイズのような涙を流している。



するとまた幻聴。



ツカサ『親族……だけじゃなくて本家まで?……そう……ミンナ……裏切るの?』


ツカサ『……そう……わたくしを道具のように使って一族を支配する目論み?わたくしを騙すつもり?』


ツカサ『まったく、不遜ですわ……』


ツカサ『ミンナ……跪きなさい』



ツカサ『もう、いいの……あの子さえ……いれば……それだけで……いい』


ツカサ『クモリさえ……いれば……クモリ……さえ……』





そして……ツカサはあの出来事を思い出した。





身体が崩れるように地面に倒れて、ツカサが泣き叫ぶ。


ツカサ『馬鹿野郎ォォォォォ!!!!』


ツカサ『あぁぁぁぁぁあああああーーーー!!』


ツカサ『やめてぇよ!!お願いぃぃ!!…………いかないで……!!!?』


過去のツカサは何かを手に抱えていた。ソレの何かはあまりにも小さすぎて……見えない


彼女は地面を手を押し付ける。


ツカサ『殺して……殺して!!!?わたしを殺してよーーー!!!』


ツカサ『…………ゆるして…………!』


ツカサの隣には『ひしゃげた鳥籠』が置かれていた。その鳥籠に何枚かの白い羽が散っている。





ツカサ「ああぁぁぁぁぁーーーーーー!!!」


現在のツカサは崩れるように地面に倒れた。溢れてくる涙と……罪と……後悔……。


クモリは……笑みを浮かべながら……涙を流している。


ツカサ「……クモリッッッ!!」


ツカサ「ああぁぁぁぁーーーー!!」


嗚咽を漏らす彼女……過去の記憶を…………全て…………取り戻す……。



ツカサ「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっーーー!!!」



クモリ。



ツカサの15歳の誕生日プレゼントに授かった。




一羽の。




白い文鳥。





クモリ「…………」


クモリは口を開いた。



クモリ「…………遅いよ……」



ツカサ「…………ご……めん……ね」



ツカサはクモリを抱きしめた。





クモリはノイズとなってゆっくりと消滅していく。吹雪はずっと降り注いでいる。彼岸花は…………もう……ない。




ツカサ「…………もう……いいの」




ツカサ「わたしはもう……」




ツカサ「裁かれる……必要は……ない」




ツカサ「…………自分で」






ツカサ「……決着を……つける」





吹雪は止みそうになかった。




episode36

END

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