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破綻した理論

話が……進まない


「………………はぃ?」


リューネは俺の返答に小さな口がポカンと開いていた。まるで予想外の事が起こったかのように



「……知ら、ないんですか?」

「ああ、知らん」

「……ホントに?」

「嘘つく必要があるか?」


疑い深く何度も確認を取ってくる

少しそのしつこさに呆れながらも飄々と返してみせた。




「…………っっ⁉︎な、んで?」



絞り出した言葉と共にポロポロと先程ようやく収まった筈の涙が両目から溢れて床を濡らす

しかも、量がさっきよりも多い


「………はぁ、マジかよ」


仕方ないのでもう一度泣き止むまで待つ事にした




…………泣かれたのは予想外だったな





「原初のお話は、ご存知です?」

再び泣き止んだリューネが語ったのは一つの昔話俺たちから聴くと神話の様な物だった

要約すると


この世界が出来たのは神が、空や山や海を作り

妖精神の眷属が森を作ったから

そこに降り立った神の祝福を受けて神から産まれた最初の人間が『原初の王』と言われている


原初の王は人間が繁栄する為に自らの力を分け与え『能力』を作り出して子孫に残した

その能力の中に『能力を作り出す力』

『能力を消去する力』 『能力を反射する力』

が存在すると言われている


子孫は作り出す力で様々な能力を与えて

失敗作を消して行ったり反抗するものには

自らの能力で溺れる様に反射させた


そうして、子孫が生き絶えて人間の世界は出来た



「………なら、その原初の王が持っていた力の一部を持っている訳?」


コクリと頷きながら内容を話した


「私は、能力を消去する力でした」


「消去ってのは、どれくらいの?」


「えっと……発動させたら能力による攻撃は全て私に触れた瞬間霧散します。あと、私が触れたら発動している能力が全て解除されます」



…………何?そのチート


この能力主義の世界で能力が全て効かないとか最強チートにも程があるだろ⁉︎

しかも、切り替えができるなら都合のいい時だけ

切っておけば回復や転移は出来る



「……成る程な、お前の能力が物凄い事はわかった。でも、根本的な事は聞いてない」


「…………?」


コテンと首を傾げるリューネに


「何で俺に能力を打ち明ける時にあんな顔してたんだ?酷い顔だったぞ」


と聞いてみた


これは素直に疑問だった事で、そんなに強力な能力なら戦争や魔族との決戦で上手く使えば切り札になり得るものだ。その事は神話くらいになっているなら誰でも知ってる筈だ


それでもあの扱いだったから疑問だったのだ


リューネは再度不思議そうな顔をして


「え……?だって気持ち悪いですよね?」


今度は、俺が口を開ける番だった


「全ての能力を消去する力ですよ?こんな呪われた怖い力何て要らないです!!!」




「みんな私を化け物とか忌み子とか言うんですよ?……当たり前なんです。私だってこんな力欲しくなかったのに」



そんな事、と口にしようとしたがスッと閉じた

大きな力はそれだけで良くも悪くも多くの人に影響を与える

(行き着く先は神か化け物か……)

今回は後者だった様だ。

無論、俺らの世界だったら神の子として祭り上げられたのだろうが、こっちでは化け物扱いらしい


おそらく、体の傷や痣は町の人に付けられたものだろう。能力が効かないなら直接痛めつければいい。殺されていないのは一応どんな力があるかわかったものじゃないからタブーとされているだけだと推測出来る



ああ……何て、何てくだらない

本当に意味不明でふざけた世界だな


実害を受けた訳でも無い

何か不当な事を働いた訳でも無い

ただ、昔話に出て来た力だから怖いと

そんな理由で遠ざけ、傷つける

本人もそれを当然と思っている



「馬鹿なのか?お前」


「え………?だって!!!」


「お前は、町の奴らに何かしたのか?」


「いえ…何も」


「なら、何故そんな不当な扱いを受ける?」


「それは!この呪われた力が」


「それは嘘だな。呪われたと言ったな?

それはどんな呪いだ?他人を不幸にするのか?周りに被害が出るのか?」


「…………それ、は」


「はっきりと言うが、それはただの被害妄想だ

くだらない価値観、偏見が生んだ酷い誤解。

聞くに耐えないレベルの理不尽な話だ」



おそらくだが周りの、特に大人にも問い詰めればすぐにボロが出るだろう

当然だ、破綻した理論だから


「じゃあ!!!あなたはどうなんですか?

こんな能力を消す力、気持ち悪いですよね?」


……こいつ、まだ言ってんのか?



「気持ち悪い訳あるか。その考え自体が間違ってる事に気付け」








この後…本日三度目の大洪水が起こった
















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