冒険者ギルドと適正試験
「………意外と上手くいったな」
門番が居た時には警戒こそしたが、嘘話でトントン拍子に進み、結局偽名すら使わずに済んだ
「ルランとか言ってたな、この町。そこそこ広いし此処で情報や装備を整えるのが最善だな」
そう、この町は町にしては門番が居たり建物が多かったりと栄えている。それならば、しばらくこの町に滞在してこの世界の事をさりげなく聞いて回るしかない。
「………まずは、身分証明を確保する為に冒険者ギルドへ行くか」
門番が言うには身分証明をしたいなら冒険者ギルドや商人ギルドなどへの登録が最も簡単であると教えてもらった。便利だな、あの門番
という訳で、早速冒険者ギルドに足を運んで見る事にした………問題が無ければ良いが
「……此処が冒険者ギルドか」
驚いた、俺は本当に心から驚いた。
何故なら
「完全に、テンプレじゃねぇか⁉︎」
日本で見た、アニメなどと殆ど変わらん
外装も内装も、木材と石を中心に組まれた素朴な感じで中はカウンターが3つ、大テーブルが複数、
壁に貼り付けられた依頼書、たむろするゴツい大男達にやけに少なく女。そして、受付は全員女性、正にテンプレである
その光景を見た俺は若干テンションが下がった
理由?勿論、テンプレにはテンプレがありそうだからである。せめて問題事には発展しないで欲しいものだ
腹を括って開いたカウンターの前まで行ってそこで書類整理をする受付嬢に話しかけてみた。
「すいません、冒険者登録をしたいのですが?」
……問題ない、筈。敬語なんて今更すぎて歯が浮きそうだが耐えるしかない。
目立つのは正直ごめんだ
「……え?あ、はい!冒険者登録ですね?」
おい、まて。何で一瞬間が空いた?
「えっと……まずはお名前を教えて下さい。」
名前、俺がネックにしている部分の一つだ
俺の名前は多分知ってると思われる
王国が世界的に勇者を売り出したんだから間違いない。なら本苗は使わずに偽名を言うべきだ
「『レイジ・シャルー』です」
『レイジ・シャルー』この偽名は、とある人からとったもので前はゲームの名前何かに良く使っていた、馴染みのある偽名だ。
「はい、レイジさんですね?とりあえずこの水晶玉に手を置いてもらって、契約書にサインして、後は適正試験を受けるだけですね」
「……はぁ⁉︎適正試験とかあるの⁉︎」
試験⁉︎この世界の常識とかだったら分からんぞ
「………?はい、軽い戦闘を見せてもらうのですが?何か問題でも?」
あ、そっちか。
「いえいえ?何でも。というか、この水晶は?」
目の前にある大きな水晶は中で青い光が渦巻いて、そのグラデーションが織りなす光は、また綺麗で少し薄暗いギルドでより一層輝いていた
「これは、明罪の水晶と言って罪のある人がかざすと赤くなる魔道具です」
成る程な、これで犯罪者を登録させない様にするっていう魂胆か。
その後無事、水晶と契約書をクリアして
適正試験に入る事になった。
「では、地下の闘技場少々お待ちください。」
そう言われて、地下にあるという闘技場に向かう事にした。
「すいません!誰か適正試験をやっていただきたいのですが!」
適正試験は実は基本的には冒険者が務めている
ギルドマスターがやる場合もあるが、それは特例で冒険者が実力を試して、ギルドマスターがそれを判断するというシステムである
「……ぷっ、あんな田舎者の相手なんてやらない、やらない。」
「というか、あいつ戦えるの?すぐに逃げそう」
「水晶の事も知らない奴、落とせばいいのに」
しかし、呼びかけに返ってきたのは無知な少年への侮蔑と嘲りだけだった。
「あーーハイハイ俺やるわ。」
そんな中、手を挙げたのは
「うわぁー出た出た、初心者潰し」
「あいつ、終わったな〜運の無い奴」
「やりすぎんなよ〜また怒られるぞ〜」
と周りからも言われる紛う事なき初心者潰しの
「……さてさて、やりますか」
Cランク冒険者のベルガーであった
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