第二十四話:天才魔導士の「不具合(エラー)」
健二の圧倒的なハッキング技術の前に、完全敗北を喫した中央魔導院のエレノア。
涙目で机に突っ伏し、残された煽りログに悶絶する彼女でしたが……その胸の鼓動は、健二が描いた「美しいコード」への興奮で高鳴るのを止められずにいました。
悔しさを怒りに変えて、天才少女が選んだ手段は――まさかの「リアル突撃(物理デバッグ)」!?
世界の滅亡をハッキングで止めようとする健二と、その健二を血眼になって追いかけるエレノア。
すれ違う天才エンジニア二人の、世界の命運を賭けた(?)大騒動がここから始まります!
一方その頃、中央魔導院のエレノアは、涙目で机に突っ伏していた。
「う、ううう……! 最悪……! 最悪よぉっ……!」
最高権限のパスワード(刻印)を奪われ、メインサーバーに侵入され、おまけに『バックドアの設置に成功しました』という煽りログまで残された。彼女の人生の中で、これほどの敗北と屈辱はなかった。
「ケンジ……! どこにいるのよ、このバグ野郎……! 姿も見せないで、システム越しに私を玩具みたいに弄んで……っ!」
エレノアは真っ赤になった顔を上げ、壊れた魔導盤の残響を睨みつける。
だが、怒りの奥で、彼女の胸の鼓動は激しく高鳴っていた。悔しい。死ぬほど悔しいのに、あの男が仕掛けてくる「術式の書き換え(コード)」の美しさに、どうしても魅了されてしまうのだ。
「認めない……。あんな、世界の理を平気で無視するような不規則な文字列、私が絶対にデバッグして消去してあげるんだから……!」
エレノアは煤けたローブを乱暴に脱ぎ捨てると、引き出しから一振りの「演算用魔導短剣」を取り出し、ベルトに差した。
「もう魔導院のシステムは使えない(汚染された)。だったら……私の足で、王都中を直接スキャン(捜索)して、その端末ごとあんたを捕まえてやるわ!」
王宮の天才少女エレノア、ついに健二を直接デバッグ(物理)するために、魔導院を飛び出し街へと駆け出していく。
世界の崩壊を招く「致命的なバグ仕様」に気づいた健二と、
彼を血眼になって追いかける、プライドをズタズタにされた天才美少女ハッカー。
王都を舞台にした、世界の命運を賭けた(?)第3章『デスマーチ・リファクタリング編』が、ここに幕を開ける――。




