第十五話:不正アクセスのログ開示
悪徳密猟組織「ルナ・ノワール」を壊滅させ、故郷の仇を討った銀髪のエルフの少女・セリア。健二のデバッグ能力によって最強の力を覚醒させた彼女は、捕らわれていた同胞たちを優しく救い出す。しかし、これは前哨戦に過ぎない。次なる標的は、エルフを売買していた王都の大商人。セリアの次なる戦いが幕を開ける――。
月影堂の地下室で、灰となって消え去った密猟者たちの跡を見つめながら、健二は捕らえられていたエルフたちを檻から解放していた。
「お、怯えなくていいですよ。不法占拠されていたオブジェクト(檻)は全て正常化しました」
いつもの締まりのない営業スマイルでエルフたちを安心させつつ、健二は彼らの首にはめられていた隷属の魔導具をスマホの画面フリック一発で初期化していく。
セリアが優しく同胞たちを抱きしめ、安全な場所へと誘導するのを確認すると、健二はスマホの画面に表示された**「ルナ・ノワールからヴァン・デル・バルク商会への出荷ログ」**を指先で弄り始めた。
「さて……。この密猟組織の親サーバーを潰したことで、商会側には『納品エラー』の通知が届いてるはずだ。だが、本当に面白いのはここからだぜ」
健二はセリアの掲げる盾の裏にスマホをホールドし、王都の防衛ファイアウォール『アイギス』のソースコードを再び呼び出した。
以前は鉄壁に見えた国営システムだが、ヴァン・デル・バルク商会がエルフの魔力を流し込んでいる「勝手口(秘密のポート)」の暗号は、先ほど密猟者の端末から引っこ抜いたアクセスキーで完全に割れている。
【システム接続:王都防衛ネットワーク『アイギス』内部コア】
【管理者権限(Root)の一時的な取得を試みます……成功】
「よし、ポート開放。ここに、さっきの『エルフ密猟・売買の全取引ログ』と『生体バッテリー施設の座標データ』を……**王都のすべての『通信用魔導碑』へ一斉にブロードキャスト(強制全画面表示)**するパッチを当てる」
健二はいつになく冷酷な手つきで画面をタップした。
「隠蔽されたクソコード(闇の仕様)はな、開発者ごと白日の下に晒して炎上させるのが、一番確実なデバッグなんだよ」
――エンター(確定)。




