表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30歳エンジニア、異世界へ  作者: 玉玉G


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
14/18

第十四話:例外処理(デリート・プログラム)

最強の力を覚醒させた銀髪のエルフの少女・セリア。彼女はかつて自分を絶望の淵に突き落とし、故郷を滅ぼした悪徳密猟組織「ルナ・ノワール」への復讐を誓っていた。健二のサポートを受け、ついに仇敵の本拠地へと足を踏み入れたセリアの、容赦なき神速の剣撃が炸裂する――。

高級美術品店『月影堂』の地下室。

そこは、檻に入れられたエルフの子供や女性たちが、恐怖に震えながら泣き声を上げる地獄のような場所だった。


「おい、明日の朝までに、ヴァン・デル・バルク商会へあと5匹納品だ。王都の結界が少し不安定になってるらしいからな、魔力の高いやつを選べ」


ルナ・ノワールの密猟者たちが、酒を飲みながら下卑た笑い声を上げている。

その時、地下室の頑丈な鉄扉が、何の前触れもなく*――スッ……*と、音もなく内側から「透過」するようにして開いた。


「誰だァ!?」


密猟者たちが一斉に立ち上がり、武器を構える。

現れたのは、安物のスーツを着た怪しげな男と、信じられないほど美しい、しかし凍りつくような殺気を放つ銀髪のエルフの少女だった。


「セ、セリア……!? なぜここに、お前は辺境に売られたはず――」


「お前たちが、このシステムの『バグ』か」


健二は相手の言葉を遮り、冷酷にスマートフォンを突き出した。画面には、地下室にいる密猟者全員の「生命ステータス(HP)」が緑色のバーで表示されている。


「な、何を言ってい――」


「黙れ。お前たちに、釈明の猶予コンパイルエラーは与えない。セリア、やれ」


健二が画面を力強くスワイプした。


【コマンド実行:広域ステータスデバッグ(デバフ)】

【対象:ルナ・ノワール構成員全員】

【効果:筋力(STR)・俊敏(AGI)を『1』に強制固定】


「が、はっ!? 体が……重……っ!?」


密猟者たちが一斉に、まるで体に数トンの重りを乗せられたかのように床へ倒れ込み、這いつくばった。指一本動かすことすらできない。呼吸をすることすら困難な、絶対的な「システムの支配」。


「な、何をした……っ、バケモノめ……!」


身動きの取れない敵のリーダーの前に、セリアが静かに歩み寄る。彼女の手には、健二のスマホから実体化された、まばゆい光を放つ白銀の聖剣が握られていた。


「ルナ・ノワール。我が故郷を滅ぼし、同胞をモノのように扱った罪……ここで完全に、消去デリートいたします」


「ひ、ひぃっ! 待て、待っ――」


――閃光。


一切の慈悲のない、音速の剣撃が地下室を駆け抜けた。

かつてセリアを絶望の淵に叩き落とした密猟者たちは、悲鳴を上げる間もなく、その肉体をただの「塵(消去データ)」へと変えられていく。


檻の中にいたエルフたちが、呆然とその光景を見つめていた。

すべての処理を終え、剣を収めたセリアは、すっきりとした、しかし涙の浮かんだ目で健二を振り返った。


「健二様……ありがとうございました」


「いや、まだこれは『フロントエンド(前哨戦)』だ、セリア」


健二はスマホの画面を見つめ、不敵に笑う。密猟者たちを消去したことで、その上位サーバー――つまり、エルフを買い取っていた大商人『ヴァン・デル・バルク』への通信ログ(証拠)が、完全に健二の手元に掴まれていた。


「次が本番だ。この誘拐ルートのデータを王都の防衛システム(アイギス)に直接叩き込んで、あのドヤ顔商会ごと、王都のシステムを盛大にクラッシュさせてやろうぜ」


セリアへの復讐を遂げ、次なるターゲットである「王都の大物」へ照準を合わせた健二。

30歳エンジニアのハッキングは、ついに王国の絶対的な根幹へと牙を剥く――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ