第十三章:ルート最適化と過去のログ
密猟組織『ルナ・ノワール』――それはセリアの故郷を滅ぼし、彼女を奴隷へと落とした元凶。ヴァン・デル・バルク商会との闇の繋がりを突き止めた健二は、組織の王都支部である骨董店へと足を進める。認証コードをクラックし、結界を突破。囚われたエルフの救出と復讐のため、健二とセリアの電撃戦が幕を開ける。
「……待てよ、このエルフたちの供給源(仕入れ元)のデータ、どっかで見覚えがあるな」
ヴァン・デル・バルク商会の地下に繋がる魔力パケットをさらに深く解析していた健二は、エルフたちの「個体識別ログ」に残された、ある共通の魔術刻印に目を留めた。
それは、歪んだ三日月の形をした不気味な紋章のデータ。
「健二様、その紋章は……!」
セリアがスマートフフォンの画面を凝視したまま、息を呑んだ。彼女の美しい指先が、怒りで白くなるほどに強く握りしめられる。
「知ってるのか、セリア」
「はい……。忘れるはずがありません。我がエルフの故郷を襲い、王族であった私を捕らえ、あのグラン・バザールの奴隷市場へと売り飛ばした、大陸最悪の密猟組織『ルナ・ノワール』の紋章です……!」
繋がった。
王都の鉄壁のファイアウォールを維持するために、エルフを誘拐し、生体バッテリーとして納品している闇の調達屋。それこそが、セリアの人生を狂わせた張本人たちだったのだ。
「なるほどな……。つまり、ヴァン・デル・バルク商会は、その密猟組織の『最大の上客』ってわけか」
健二は静かにスマホの画面をタップし、組織の拠点の位置情報を検索した。王都の防衛網の『勝手口』から逆流したパケットは、王都の裏路地にある、一見ただの高級美術品店を指し示している。そこが、ルナ・ノワールの王都支部。エルフたちを監禁し、商会へと出荷する「一時保管倉庫」だ。
健二は、いつものヘラヘラとした営業スマイルを完全に消し去っていた。
「セリア、俺は昔から、他人の作った不具合を押し付けられるのが大嫌いなんだ。ましてや、俺の大事な資産(嫁)の初期設定(過去)を勝手に書き換えて、傷モノにしたクソ開発者どもだぞ?」
健二は立ち上がり、ポケットにスマホを滑り込ませた。
「組織ごと、一括削除だ。セリア、お前の復讐の仕様書、俺が今からコードに起こしてやる」
「……はい! 健二様!」
セリアの瞳に、歓喜と絶対の忠誠が宿る。
二人は静かにカフェを立ち、王都の薄暗い裏路地へと足を進めた。




