表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
18/25

第十八話「偏向」

音が、消えた。


 都市の中心。


 人の流れが、ゆっくりと歪み始めている。


 犬塚信乃は、立ち尽くしていた。


 《実行:開始》


 表示は変わらない。


 だが——


 体は、すでに動いている。


 手をかざす。


 見えない“線”が、都市に走る。


 それは、浸食の軌道。


 このまま進めば——


 人が消える。


 記録が書き換わる。


 世界が、静かに壊れる。


 「……止めろ」


 呟く。


 だが、止まらない。


 ——止められない。


 ならば。


 歪める。


 信乃は、意識を集中させた。


 軌道を、“ずらす”。


挿絵(By みてみん)


 人の流れから外す。


 空白へ。


 誰もいない場所へ。


 強引に。


 抵抗が走る。


 頭の奥が、焼けるように痛む。


 システムが、修正しようとする。


 正しい軌道に戻そうとする。


 「……やらせるか」


 歯を食いしばる。


 その時。


 別の“力”が重なった。


 炎。


 影。


 光。


 仲間たち。


 全員が、同じことをしている。


 気づいたのだ。


 止められないなら——


 “被害を減らす”。


 軌道が、歪む。


 本来なら人がいたはずの場所を外れ、


 建物の隙間へ。


 地下へ。


 空へ。


 浸食が、拡散する。


 だが。


 “薄まる”。


 完全な消失ではない。


 不完全な現象へと変わる。


 スマートフォンが、激しく震える。


 《異常:偏向検出》


 《補正:試行中》


 追いつかない。


 修正が、間に合っていない。


 その瞬間。


 信乃は、確信した。


 “抗える”。


 完全ではない。


 だが——


 歪めることはできる。


 視界の端。


 伏姫が、立っていた。


 わずかに——頷く。


 肯定。


 次の瞬間。


 彼女は消えた。


 実行は、続く。


 だが。


 “結果”は変わった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ