表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
14/25

第十四話「名」

夜。


 静寂。


 犬塚信乃は、一人で座っていた。


 目の前には、スマートフォン。


 画面は開かれたまま。


 《解析:完了》


 その表示が、動かない。


 息を吸う。


 嫌な予感がする。


 だが。


 目を逸らすことはできない。


 指が、動く。


 画面に触れる。


 情報が、流れ込む。


 断片。


 映像。


 音。


 すべてが混ざり合い、


 一つの“像”を結び始める。


 森。


 祠。


 珠。


 そして——


 あの“女”。


挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


 今度は、はっきりと見える。


 顔。


 目。


 静かにこちらを見つめている。


 恐怖はない。


 だが——


 逃げられない。


 声が、響く。


 どこからでもなく。


 内側から。


 『——名を』


 言葉ではない。


 だが、意味は伝わる。


 “呼べ”。


 信乃の喉が、わずかに震える。


 知らないはずだ。


 だが——


 知っている。


 なぜか。


 最初から。


 その名だけは。


 口が、勝手に動いた。


 「——伏姫」


 その瞬間。


 世界が、静止した。


 時間が止まり、


 音が消え、


 すべてが凍りつく。


 “あちら側”が、反応する。


 上空の層が、歪む。


 観測者たちの“視線”が、


 一斉にこちらへ向く。


 異常。


 想定外。


 そんな気配が、伝わってくる。


 スマートフォンの画面が、激しく点滅する。


 《警告:干渉発生》


 《原因:未定義》


 《名称:——伏姫》


 名前が、表示される。


 初めて。


 “システムの側に”。


 その瞬間。


 彼女が、微かに笑った。


 救いのようで。


 終わりのような。


 次の瞬間——


 すべてが、切断された。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ