16.古い図面は希望になります
ラズマイト伯爵家の新しい領主館には、屋根がなかった。
正確には、ある。
ただし、ところどころ空が見えている。
「星がよく見えますわね」
イデアは朽ちかけた長椅子へ腰を下ろしながら、頭上を見上げた。
夜になった廃教会の礼拝堂は、昼間とはまるで違う顔をしている。
屋根の穴から覗く夜空。
崩れた窓から入り込む冷たい風。
祭壇の前では、小さな焚き火が揺れていた。
教会の中で火を焚くことには多少の抵抗があったが、暖炉が使える状態ではなかったので仕方がない。床は石造りで、周囲の枯れ草や腐った木材はすでに片づけてある。
何より、火がなければ寒かった。
王都を出た頃には春の盛りだったが、小ラズマイトは山に近い。日が沈めば、風にはまだ冷たさが残っている。
「寝台から星を眺められる館は、人間の貴族に人気があるのでは?」
アルゼルが、祭壇の近くに立ったまま優雅に微笑んだ。
村人たちが帰ったため、今はもう大きな外套を脱いでいる。
長時間強く畳んでいた白い翼は、ようやく窮屈さから解放され、背後でゆったりと広がっていた。
もっとも、昼間の片づけで羽根の先には埃がつき、白い衣にも土と木屑が残っている。
それでも本人の立ち姿だけは、まるで王宮の広間にでもいるようだった。
「屋根が壊れているのと、天井へ窓を作ってあるのとでは大違いですわ」
「物事は捉え方ですよ」
「では、雨が降っても同じことをおっしゃってくださいませ」
「その時に考えましょう」
「嫌な逃げ方ですわね」
イデアは礼拝堂を見回した。
オルドたちが帰ったあとも、日が暮れるまで二人で片づけを続けた。
腐った木片。
枯れ葉。
鳥の巣。
割れた長椅子。
何に使っていたのか分からない古い木箱。
まだ到底きれいとは言えないが、少なくとも入口から祭壇まで、何かにつまずかず歩ける程度にはなった。
礼拝堂の左右には、かつて聖職者たちが使っていたらしい小部屋がふたつずつ、合わせて四室あった。
どの部屋も長年放置されていただけあって、すぐに使えるような状態ではない。入口に近い一室は壁の一部が崩れ、もう一室には古い木箱や壊れた棚が積み重なっている。
反対側の奥にある部屋も床や壁の傷みがひどく、片づけだけではどうにもならなさそうだった。
その中で、祭壇に近い側にある一室だけは比較的壁がしっかりと残っていた。屋根にはいくつか穴があり、隅には埃も積もっているが、四室を見比べれば一番ましである。
ひとまずそこを片づけ、イデアの仮の寝室として使うことになった。
残る部屋も、直せば執務や書類の保管、荷物置き場として使えるだろう。今すぐすべてを修繕する余裕はないが、伯爵の仮住まいとして考えれば、少なくとも場所だけは足りている。
問題は、屋根と壁と床と窓と扉だった。
つまり、場所しか足りていなかった。
アルゼルは礼拝堂で夜を過ごすという。
「本当に、眠らなくても平気ですの?」
「ええ」
「一睡もしない?」
「必要ありません」
「疲れもしない?」
「身体を酷使したり、神性を使い続けたりすれば疲労はしますが、人間のように毎晩眠る必要はありません」
イデアはしばらくアルゼルを見つめた。
「でしたら、夜のうちに掃除を進めてくださる?」
「私を夜間労働へ駆り出すおつもりですか?」
「眠らないのでしょう?」
「休息を必要としないことと、休ませなくてよいことは別問題です」
「随分と人間らしい主張をなさいますのね」
「労働する者の権利は尊重されるべきです」
「昼間は労働者になった覚えはないとおっしゃっていたでしょう」
「下界の制度を学び、主張を修正しました」
「覚えるところが早すぎますわ!」
アルゼルは満足そうに微笑んだ。
昼間、彼が斧で木ではなく桶を割ったことで、村人たちの警戒はいくらか和らいだ。
結局、木を切ったのはイデアである。
アルゼルには枝を運ばせた。
本人は最後まで、
『私が切れなかったのではなく、あの斧の重心が私に合っていなかったのです』
と言い張っていた。
ドワーフたちが聞けば、山の向こうから抗議に来そうである。
「そういえば、クラウスは?」
「村人の家へ泊めてもらうそうです」
「わたくしたちだけ廃墟ですの?」
「ここを領主館に選んだのはあなたでしょう」
「……そうでしたわね」
自分で決めたことだった。
イデアは長椅子の背へ身体を預ける。
ぎしり。
嫌な音がした。
すぐに身体を起こすと、音が止まった。
慎重に、もう一度寄りかかる。
やはり、軋んだ音がした。
「……壊れませんわよね?」
「それを私に尋ねますか?」
「橋の件がありますもの」
「橋と椅子は私の専門外です」
「では何が専門ですの?」
「帰還を導くことと、加護と、高度な神性の運用。それから美については一家言あります」
「最後だけ急に信用できなくなりましたわ」
イデアが姿勢を正した。
その直後。
ばきん、と。長椅子の背もたれだけが、後方へ倒れた。
大きな音を立てて石床へ転がる。
座面には、イデアだけが取り残された。
「……」
「……」
「背もたれだけでしたわね」
「怪我がなくて何よりです」
「見返りは?」
アルゼルが少し考える。
「座ったままでも、背後から襲われた際に対応しやすくなりました」
「ただの壊れた椅子でしょう!」
アルゼルが声を立てて笑った。
イデアは立ち上がり、倒れた背板を眺める。
捨てる必要はない。
乾かして切れば薪になる。傷みの少ない部分なら、何かの補修に使えるかもしれない。
王都にいた頃の自分なら、壊れた家具の板一枚に使い道を考えることなどなかっただろう。
今は違う。
板一枚。
釘一本。
縄一本。
何でも惜しい。
「笑っていないで、こちらを持ってくださる?」
「私はすでに十分働きました」
「枝を何本か運んだだけでしょう」
「七本です」
「数えていたの?」
「努力は正確に評価されるべきです」
「では、割った桶一個分を差し引いて六本といたします」
「枝一本と桶一個の価値が等価なのですか?」
「わたくしが決めました」
「領主権限の乱用では?」
「働きなさい」
アルゼルが不満そうに背板の反対側へ手をかけた。
その時だった。
遠くで、ごろごろと低い音が響いた。
イデアは動きを止める。
「今、何か聞こえませんでした?」
「雷ですね」
「雨が降るの?」
「空を見る限り、おそらく」
ぽつり。
冷たい雫が、イデアの額へ落ちた。
見上げると、屋根の穴の向こうに、すっかり雲に覆われた夜空が見えた。
「降りましたわね」
「予想どおりです」
「予想していたなら先に教えなさい!」
次の雫が頬へ。
その次は肩へ。
やがて、ぽつぽつという音が礼拝堂のあちこちから聞こえ始めた。
瞬く間に雨脚が強くなる。
「寝室へ移動してください」
「あちらも天井が痛んでおりましたわよ!」
「礼拝堂よりはましです」
「荷物を!」
二人は慌てて動いた。
紙。
書類。
食料。
着替え。
何より、橋から落ちながらも守り抜いた紙箱を濡らすわけにはいかない。
イデアは箱を抱え、寝室に決めた小部屋へ運び込んだ。
床には毛布。
壁際には旅の鞄、保存食と水。
アルゼルも荷物を運び込んでくる。
「桶を持ってきて!」
「昼間、私がひとつ割りました」
「知っております!」
「残っている方を取ってきます」
「最初からそうなさい!」
アルゼルが礼拝堂へ戻る。
イデアは紙箱へ油布を被せ、壁際へ寄せた。
天井の亀裂から雨水が落ちてくる。
毛布を反対側へ移す。
ぽたり。
移動した先へ、新しい雫が落ちた。
「……」
さらにずらす。
ぽたり。
「どうして移動した先へ落ちますの?」
右へぽたり。
左へぽたり。
「追ってきておりますわね!?」
王都で泊まった宿でも、似たような目に遭った。
どうやら雨漏りにまで好かれているらしい。
イデアは毛布を抱えたまま、部屋の中央に立ち尽くす。
左右のどちらへ移動するべきか。
迷っている間に。
ぽたり。
今度は頭へ落ちた。
「もう!」
その時。
背後で、ばさりと音がした。
大きな白い翼が、イデアと荷物の上へ差し出される。
「何をしていらっしゃるの?」
「見れば分かるでしょう。雨除けです」
「翼が濡れますわよ」
「あなたと紙が濡れるよりはよいでしょう」
「ですが」
雨粒が白い羽根へ当たる。
一滴。
二滴。
やがて表面の羽根が少しずつ湿り始めた。
翼は神性でできた幻ではない。アルゼル自身の身体だ。
「本当に大丈夫?」
「少しくらいなら。あとで乾かせば済みます」
「手入れが大変ではなくて?」
「その時は手伝っていただきましょう」
「そこへ持っていきますのね……」
「村へ入る前、羽根が曲がったら整えてくださると約束しました」
「雨まで契約に含めないでくださいませ」
翼の下は、冷たい雨から守られていた。
完全に水を弾くわけではない。
羽根の端から時折雫が落ちる。
けれど、直接頭へ降ってくるよりずっとましだ。
そして、思ったより温かい。
片翼で自分と荷物を覆っているせいで、アルゼルとの距離も自然と近くなる。
「……便利ですわね」
「私を雨具として評価していますか?」
「幽霊除けより用途が増えましたわ」
「もう少し神聖な感想はありませんか?」
イデアは間近にある白い羽根を見た。
灯りを受けて、濡れた羽根の一枚一枚が淡く輝いている。
「綺麗ですわね」
何気なく口にした直後、アルゼルがゆっくり顔を向けた。
「今、私が綺麗だと?」
「翼の話です」
「私の一部であることに変わりはありません」
「調子に乗らないでくださる?」
「あなたの口から聞けたのですから、少しくらいは許されるでしょう」
いつもの微笑み。
けれど、ほんの少しだけ嬉しそうに見える。
イデアは顔を逸らした。
間近で見ると、本当に腹立たしいほど整った顔をしている。
そのうえ翼の内側は温かい。
妙に落ち着かない——などとは、絶対に言いたくなかった。
「このまま朝まで立っているおつもり?」
「必要なら」
「あなたは平気でしょうけれど、わたくしは無理ですわ」
「では座りますか」
「どこへ?」
「私の翼の下へ」
「場所を聞いているの!」
アルゼルが答えようとした、その時。
二人の頭上で、嫌な音がした。
アルゼルの表情から笑みが消える。
「失礼します」
腰へ腕が回った。
素早く引き寄せられる。
そのことに抗議の声を上げる間もなく、アルゼルがイデアと紙箱を抱えるようにして、小部屋の外へ飛び出していた。
直後。
轟音が響き渡る。
木材と石片。
土埃と雨水。
先ほどまで二人がいた場所へ、天井の一部がまとめて崩れ落ちた。
「……」
イデアは呆然と小部屋を見る。
「寝室が」
「なくなりましたね」
「決めてから半日も経っておりませんわよ!」
「ラズマイト家の建物は、空と火に恨まれているとおっしゃっていましたね」
「まさか」
「次は水でした」
「予言を的中させたような顔をなさらないで!」
アルゼルはイデアの腰へ腕を回したままだった。
翼も広がり、舞い上がった埃や飛び散る雨から二人を庇っている。
「怪我は?」
「ありません」
「本当に?」
「ええ」
「頭は?」
「大丈夫ですわ」
「背中は?」
「無事です」
いつもの軽口がない。
瞳は閉じたままなのに、声だけで分かる。
本気で心配している。
「アルゼル」
「何でしょう」
「近いですわ」
「安全を確認しています」
「もう確認できましたでしょう?」
「心拍が速いですね」
「天井が落ちた直後なのですから当然です!」
「私に抱かれているからでは?」
「その余計な一言で感謝が半分になりましたわ」
「半分は残っているのですね」
「今、全部取り消しました」
「それは残念です」
ようやく声にいつもの調子が戻った。
イデアはアルゼルの腕から抜け出すと、崩れた天井を見上げた。
もともとあった穴より、さらに大きい。
今や星どころか雨雲までよく見える。
「寝る場所がなくなりましたわね」
「私の翼の下でよければ」
「一晩中?」
「ええ」
「あなたの隣で?」
少し考える。
「……地下室を見ますわ」
「翼の下は嫌ですか?」
「あなたの翼が嫌なのではありません」
「では?」
「そんな寝方をしたら、明日村人に説明できませんでしょう!」
「見られなければ問題ありません」
「そういう問題でもございません!」
「それなら、祭壇の裏に地下室への入口がありましたね」
昼間、壊れた扉の奥を調べた際に見つけたものだ。
「鍵は?」
「入口付近で見つけた古い鍵なら」
扉を壊してから出てきた——というよりも、頭へ落ちてきた、あの鍵。
イデアは荷物から取り出す。
「地下室が寝室より安全とは限りませんわ」
「少なくとも雨は降りません」
「崩れたら?」
「生き埋めになる可能性はあります」
「正直ですわね!」
「嘘をついたところで安全にはなりませんので」
雨漏りする礼拝堂。
崩れた寝室。
未知の地下室。
選択肢がどれも酷い。
「……地下室を見ます」
「なぜ翼では不満なのです?」
「寝心地を試したことがございませんもの」
「試してみます?」
「言い方が腹立たしいので却下します」
◇
地下室への扉は、祭壇の裏にある。
昼間は木箱や瓦礫が積まれていた場所だった。扉があることは見つけていたのだが、そこまで手が回らず後回しになっていた。
埃をはらうと、石床へ鉄の取っ手が埋め込まれている。
古い鍵は、そこに合った。
重い扉を引き上げる。
地下へ続く階段が現れた。冷たい空気が、下から流れてくる。
「何かおりますの?」
「鼠が何匹か」
「それだけ?」
「古い神性の残滓もあります」
イデアの足が止まる。
「幽霊!?」
「人間の魂ではありません。昔ここで祈りを受けていた神性の名残です」
「先にそうおっしゃい!」
アルゼルが指先に淡い金色の光を灯す。
村人の目がない今なら、隠す必要はない。
二人は慎重に階段を下りた。
地下室は、想像していたより広かった。
天井は低いものの、石壁には大きな崩れがない。
左右には古い木製の棚。奥には空の樽や壺がいくつも積まれていた。
不思議なことに、空気もそれほど湿っていない。
「貯蔵庫だったのかしら」
「おそらく。神殿へ納められた穀物や酒などを保管していたのでしょう」
アルゼルが壁を確認する。
「構造も悪くありません。少し手を入れれば、再び貯蔵庫として使えそうです」
「村の共同備蓄を置く場所にできるかもしれませんわね」
入口はひとつ。
壁は厚い。
気温も地上ほど変化しない。
今の集会所より、穀物を長く保存するには向いているかもしれない。
「少なくとも今夜は、ここで寝られそうですわ」
「鼠がいますが」
「屋根よりは落ちてきません」
「鼠は上から落ちてくることがありますよ」
「では追い出します!」
さらに奥へ進む。
その時、イデアの靴先が何かへ引っかかった。
短い悲鳴が零れ、身体が前へ傾く。
アルゼルが手を伸ばす。
けれど今回は、自分で壁へ手をついて踏みとどまった。
「大丈夫ですわ」
「珍しいですね」
「何が?」
「自力で転ばずに済みました」
「わたくしを何だと思っているの?」
「よく落ちる方」
「否定できないのが悔しいですわね……」
足元を見る。
石床から、小さな金属の輪が飛び出していた。
「また扉?」
イデアが輪へ指をかける。
引く。
動かない。
「固いですわね」
「一緒に」
アルゼルが隣へ屈み、手を添えた。
二人で持ち上げる。石床の一部が、ゆっくり浮いた。
その下にあったのは、さらに小さな収納空間。
中には油紙で丁寧に包まれた、細長い木箱が収められていた。
「何かしら」
「開けてみましょう」
箱そのものは古い。
けれど油紙のおかげで、中まで傷んではいなかった。
蓋を開く。
何本もの羊皮紙が現れた。
イデアは一本を慎重に取り出し、棚の上へ広げる。
「……地図?」
細い線が、教会を中心に、地面の下へ伸びている。
いくつもの分岐。
丸い貯水槽らしき印。
井戸。
畑。
丘。
王領監理局が持っていた土地台帳より、ずっと細かい。
アルゼルが指先の光を近づけた。
「昔使われていた水路図でしょう」
「水路?」
「ええ。この一帯へ水を引いていた地下設備のようです」
イデアは羊皮紙へ顔を近づけた。
今は水が乏しくなっている村の井戸。
畑。
いくつもの場所が、図面では地下の線とつながっている。
「これが残っているなら、井戸を直せるのではなくて?」
「現物を調べなければ分かりません」
「でも」
「何百年も前の設備です。崩れているかもしれませんし、水源そのものが変わっている可能性もあります」
「それでも、何も分からないよりはずっといいですわ」
水は、小ラズマイトで、最も不足しているもののひとつ。
もし、地下水路をもう一度使えるようにできたなら。
飲み水だけではない。
畑も変わる。
暮らしも変わる。
「……これが見返り?」
「寝室の天井が落ちたことへの?」
「ええ」
アルゼルが図面を見る。
「可能性は高いでしょうね」
「わたくしの寝床と、領地の地下水路図」
「収支で言えば、かなりの黒字では?」
「寝る場所を失ったことを軽く考えておりません?」
「今夜は地下室があります」
「先ほど鼠が落ちてくる可能性まで指摘していたでしょう!」
「では私の翼を」
「戻らなくて結構です!」
アルゼルが楽しそうに笑った。
イデアは残る羊皮紙も確認する。
水路の図面。
村全体の見取り図。
畑へ水を分けるための古い設備。
そして。
最後の一枚に、教会の北側へ一本の大木が描かれていた。
その根元から、地下水路へ線が伸びている。
図面では、大木の根元近くに点検口らしき印がある。
「明日、確認しますわ」
「雨で地面が緩んでいます。近づくなら慎重に」
「分かっています」
「私が先に見ます」
「あなたが?」
「あなたを先頭にした場合、木まで倒れてきかねませんから」
「そこまで運が悪いと思っておりますの?」
「屋敷へ隕石が落ちた方ですよ」
「……否定できませんわね」
イデアは図面を丁寧に巻き直し、再び油紙へ包んだ。
今夜失ったものは寝室。
得たものは、貯蔵庫として使えそうな地下室。
そして。
村の水を取り戻せるかもしれない古い図面。
「確かに、今のところ黒字ではありますわね」
「私の加護を疑っていましたか?」
「加護そのものには」
「ほかに何か?」
「帳尻の合わせ方が乱暴です」
「利益が出ればよいのでは?」
「わたくしの身の安全も勘定へ入れなさい!」
イデアはそう言うと、ふんと鼻を鳴らした。




