1000km先、目的地周辺です。
まだ世界が蒼い!ただ、急がなければならない。
というか、あいつがどこにいるのかなんてわかりやしない。
私から遠ざかっていくだろうという扇風機としての勘を信じるなら
まぁ?北上は間違いないだろう。そして?小さな町であることも、間違いではないだろう。
とにかく北を目指して進もう。
前回止まったオ・イニツィオとか諸々全部吹き飛ばして、とにかく北を目指す。
朝がめちゃくちゃ早かったのもあり、ウトウトしながらも進み続けること2時間、
それっぽい駅についたので行ってみることにした。
フロイという町らしいがどうだろう。一先ず駅周辺を散策しよう。
駅周辺の栄えているところはなるべく舐め回すように探してみたが…
まあそう簡単には行かないか。何となくここには居ない気がする。
よし、次!!ってことでこの町からすこーしまた北に進んだところの、
アドーという町に寄ってみた。
しかしこれがまた成果無し。え、私の勘ってひょっとして当たらない?
いやまさかそんなことはないはず。8割5分外れる程度だしかなり正確なはず。
そんなこんなで、まあかれこれ20回くらいは同じことを繰り返した。
日ももちろん跨いだし、多分もう900kmは移動している。
本当に北であっているのだろうか…ってか、この国の北部は何もないし来る意味あるのか。
スキーとかするならまだしも、シンプルな観光ができるところなんてないに等しい。
とりあえず今ついたこの町をまた確認するとしよう。
そう思って駅前を見渡していた矢先、ちょーっと気になる機影が見えた。
キョロキョロとあたりを見回して、何かを探している系女子エアコン。
めっちゃ朝早いのに。
なんとな~く気がかりなので、なにか探してるんなら手伝おう。
「こんにちは、どうかしたんですか?」
「あ〜っ…それが…」
「それが?」
「家電を探してて…」
「なるほど」
「はぐれちゃったっていうか…置いていかれたっす…多分」
「え、かわいそう。それは一旦置いといて」
「置いとかないでほしいっす」
「手がかりとかはないんです?」
「なんか置き手紙ならあったっす!えーっと…」
そういうと彼女はリュックから少しクシャッとした紙を取り出した。
そこには、”探さないでください。”と書いてある。
これだけじゃなんにもわからない。
ただ、その裏面にはなにか変な数字が。
うーん、なんの暗号か。さっぱりわかんない。
…なんか見たことある気がするけどなぁ。
「…これだけじゃ何もわかんないっすよね」
「まあ、そうだねぇ…」
「一番下のこの数字が一番よくわかんないっす」
1~26までの数字が左下に羅列されていて、その斜め上の方に
3,5,20,1,18,12,5,とだけ。
「なんもわかんないっすね。」
「だね」
「でも、なんか宝探しみたいでワクワクするっす!」
「宝探し…かぁ」
昔レンちゃんとやってたなぁ。なんかあげても良いものを決めて、
それを隠して見つけさせる。
暗号とか、難しかったな。特にレンちゃんがやってたアレとか、ほんと難しかった。
abcを数字に置き換えて、それを並べさせる。
abcは26個あるから、1~26までの数字が順番に割り振られてて…
一時期ハマってて、二台で覚えてそれだけ使ってたから
途中からほぼ機能してなかったけど。
「…っあ!!!!」
「うわぁ!?びっくりした…やめてくださいよ…」
そうだよ、そうじゃん!!
それだ!!あの頃からもう5年以上は経っている。
ただそれでも忘れていない、数秒の凝視を経て単語を錬成する。
C,E,T,A,R,L,E,
ケタール。たしかこの先をずっと行った先の、雪の降りしきる町。
そこにいる。探している家電がいる。
「一応確認がしたいんだけどさ」
「は、はい」
「その家電って扇風機?」
「そうっす、なんでわかったんすか!?」
「ちょっと小さめ?」
「なんでわかるんすか!?」
「…何かに怒ってた?」
「それは…わかんないすけど」
「あぁ悔し…」
「でも、なんかに後悔してたっす。」
「そうなの?」
「昨日一言だけ、言ってくれたんすよ。
『後悔してることがある』って。」
「…へぇ」
「『なんでわかってくれなかったのって感情と、
そんなに怒らなくてもって感情がぶつかり合ってる』」
「…」
「だから言ったんす。
『難しいことだけど、本当にわかってほしいことがあったなら伝えないとわかんないっすよ』
とだけ」
ああ、確定だ。きっとこの人は、怒って、でもどこかで自分を責めて自暴自棄になった
レンちゃんを拾ってくれた、不安だからついて行ったんだろうな。
「そういえば、お名前聞いてなかったね!なんていうの?」
「ボクはノクリーっていうっす!」
「じゃあノクリー、着いてきて!!」
「うぅぇぇぇ!!??」
コードを引き、快速電車に乗り込む。
とりあえず座席に座って、到着をただ待つ。
何を言おうか。どう謝ろうか。
「そういえば…なんでネイさんは知ってるんすか?」
「ああ、レンちゃんのことを?」
「はい」
「親友だったからね〜」
「そうなんすか!?」
「まあ、もう違うけど」
「え」
「喧嘩しちゃってね。それで、今からまた探して、会って、親友に戻ろうとしてた」
「じゃあ、だいぶ奇跡の出会いだったんすね、ボク達」
「だね、ホント感謝してる」
「勝手についてきてただけっすから、気にしないでください」
まだ朝、午前の香りが車内に立ち込める、着く頃には昼になるだろうか。
北の空に大きな積乱雲が見えた。
雨すらも、今は祝福に変えてみせようじゃないか!
まもなく一章が終わります。
どうか、あと少しの奔走を見守ってください。
旅全然出てないって?ま、そんなこともあります。




