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旅する電化の奔走。  作者: 未完畑の柑結
殿下の出発
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13/14

ゴールが近づいてきました

車内放送で目が覚めた。

あと少しで次に目指すソヴィントに着くみたい。

あ、珍しく先に公爵が起きてる。なんか悔しい…

思いの外、柔らかいベッドだったしよく寝られた。

ただ、公爵がなんか悲しそうな顔をしている。あと眠そう。

「なんでそんな顔してんのさ、私より早く起きたから眠いの?」

「いや、なんでもないよ」

「なんでもなくはなさそうだったけどな…」

「いや、ここ行ったら、次の…なんだっけ」

「ジュントス?」

「そう、ジュントス。で、一旦旅は終わり…じゃん?」

「うん」

「だから、寂しくってさ。」

「たしかに、一旦この非日常とはおさらば…か。

 でも、きっといつか、また旅を始めたいな…とは思ってるよ」

「そっか、なら…少し安心。連れてってくれる?」

「もちろん、行きたいなら。」

「…ありがと」

朝から可愛い子だな、本当に。

そうこうしてるうちにソヴィントについた。

今日はここの最大の祭りに参加してみようと思う。

ただ、始まるのが昼過ぎなので、それまでは公園とかで暇をつぶした。

そして時刻は午後3時、祭りが始まる頃だ。

この祭りはとにかくでっかい。

このソヴィントという街全てが祭りの範囲!

回りきれるかが不安なくらいだ。

人も大勢集まっているが、あまりにも大きすぎて少ないように見える。

あちこちが昼のように明るい!

色とりどり様々な屋台が出ていて、ワクワクしてくる。

「まずなにする?」

「くじ引きとかやろうよ」

「いいね!」

ってなわけで、くじ引きをやることになった。

一等はなんと大きなカニのぬいぐるみ。

絶対に欲しい。

くじを受け取り、せーので開く。

結果は大爆死。

3種類くらいから選べるらしいので、

なんか触角みたいなカチューシャにした。

「お次はなににしますか公爵」

「射的やろう!」

「おっけー!」

弾は3発ずつ。

私が狙うはあのかにのやつ。

さっき当てられなかったからには、ここで必ずや…!

1発放つ。逸れる。2発目を入れるが、今度は上に。

ついには3発目も使い切ってしまった…

「任せな、どれが欲しいの殿下」

「あのかにのやつ」

「あたしが取ってしんぜよう」

「良いの!?やった〜!」

1発目が勢いよく飛び出す。カニのハサミを揺らした。

すかさず2発目を胴体に入れると、バランスを崩し奥に落ちた!

「ふっ、こんなもんよ」

と公爵はドヤ顔をして見せた。

「上手すぎない??てか、私のは取れたけど公爵のは?」

「あれ狙う〜」

「え、サングラス??」

意外と台まで遠いし、それにカニと違って当てづらい大きさだ。

しかし迷わない。迷わずど真ん中に当て、ゲットしてみせた!

「かっこいー…」

「ふふ、昔こういう遊びしてた甲斐があった!」

次はなにをしようかと迷い歩いていると、ふと思った。

「もし私達が人間だったらさ、ああやって食べ歩いたりできるのに…ね」

「仕方ないよ、あたしら扇風機なんだから」

「うん…でも憧れるな〜」

「いつかそうなれたら良いね」

さて、お次は蜜柑投げをすることになった。

あそこの30秒で小さなかごに何個蜜柑を入れられるかというものだ。

先に公爵がやりたいらしいから、先にやってもらおう。

1個、2個、3個…どんどん入っていく。やはりこういうのは得意なのかな?

基本インドアだし運動なんてしないはずの扇風機なのに。

最終的に47個入ったようで、景品の帽子をゲットしたようだ。

普通の帽子に耳当てが付いてるやつ。

ちゃんと扇風機用のレアなやつだ。しかも触り心地最高。

私も挑んでみたは良いものの、1個2個3個と外れる。

結局3個しか入らなかった。参加賞のティッシュを貰い、次の屋台へ移動する。

次は金魚すくいをやることにした。

かなり人気なようで、挑戦する人たちの列に並んで順番を待つ。

様子を見る限り、相当難しい。

金魚に少しでも触れた瞬間に破れてしまう。

あ、公爵は私に先にやらせてくれるみたい。

何故か準備が遅いし、圧をかけられたように緊張で顔を歪めている店主。

なんでだろう。とにかくすくうやつをもらい、挑戦する。

意外と簡単で、3匹取ることが出来た。

公爵は惜しくも1匹で終了。なんか私達以降難易度が下がっている気がしたけど…

「簡単だったね、あたし1匹だけだけど…」

「結構難しそうだったけどね、意外〜」

「おまじないが効いたかな?」

「おまじない?」

「うん、店主に…ちょっと、ね?」

「え、なに教えてよ!」

「いや、ちょっと…まぁいいでしょ!」

もっと追求しようと思ったが、どうせ無駄だろうな…

さて、いつの間にか時は過ぎ、太陽は完全に落ちて星空が広がっている。

屋台も撤収し始めているし、そろそろホテルに行こう。

「楽しかったー!」

「色々ゲットできたしね!」

「カニ取ってくれて本当にありがとう!」

「大した事ないよ、どういたしまして!」

宿に向かう足取りはどこまでも続いていくように軽やかだ。

終わりなんて、微塵も感じられないほどに。

街:ソヴィント…毎週の日曜日に超大規模な祭りを行っている。

          毎日のように設営準備や撤去準備に追われているため、普通の景色を見ることは

          ほぼできない。これがある種の普通かも知れない。

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