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旅する電化の奔走。  作者: 未完畑の柑結
殿下の出発
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12/14

なんか南下でなんなんだ!

温泉まじ良かったわ〜。

温泉に入ったあと、もうとにかく休むためにさっきの旅館に戻って、

部屋でゆっくり過ごした。

「もうすっかり夜だよ殿下ぁ〜」

「だね〜」

「良いのかな、こんなゆっくりして…」

「毎日は飽きるけど、たまには良いと思うよ」

「そっか。…そうだよね」

「なになに〜?そんなナイーブな」

「いや、なんか罪悪感あってさ」

「確かにこんなに何もしてないと、ね…」

「うん」

「でも、休むって有意義なことに使えたって考えればいいじゃん」

「確かに!」

「よし、じゃあ私もう寝よ〜っと」

「あたしまだ眠くないから起きてる〜」

「は〜い」

よし、私はもう寝よう。完全復活してまた明日から旅を始めるために!


「もう寝たかな…」

あたしはひっそりスマホを取り出し、写真アプリを起動する。

「さっきは何枚も撮りやがって…恥ずかしいんだぞ〜。」

って、寝てるから気づかないか。

「もっと可愛い時に撮ってよ、バカ。」

小声でそう漏らし、照れを覆い隠すためにすぐに寝た。

「私今、撮られてたよね…?」

気づかれていることにも知らずに。


朝がやってきた。体は軽い。とっても調子がいい!

今日はどんどん南に下っていくつもりだ。

まずはミ・セルケ・リートというところまで行くことに相成ったので、

電車に乗り込もう。

「ねえ殿下」

「なに公爵」

「南下とか、北上とは言うじゃん?」

「いうね」

「あれって地図上では南が下で北が上だからっぽいじゃん?」

「うん」

「じゃあ西左とか東右っていうのかな」

「聞いたことはないけど…」

「南下とか北上が成立するなら、西左も東右も成立すると思うんだよ」

「う〜ん…」

「地図的にはそうだしさ」

「なんか…まあそうか」

「南下?」

「違う、いや合ってるけど違う」

言われてみればそうかも知れないなぁ…

にしても、絶好調みたいで良かった。

なんて思いながら、外を眺めていると、

目的地のミ・セルケ・リートに到着!!

さて、ここでやりたいこと…というよりは、行きたい場所がある。

そう、水族館だ。ここには国随一の大きさを誇るらしく、

いろんな海の生き物が飼育されているんだとか。

駅からはさほど遠くなく、10分ほど歩いて到着した。

いつもならきっと、もっと時間がかかった。温泉回復パワーかも!

「じゃあ早速入ろう!」

「はーい!」

いきなり私達を出迎えたのは、超巨大な水槽!

「でかっ!」

「え、でかっ!?」

「最大級とは聞いていたけど、まさかここまでとは…」

「めっちゃ魚いる〜」

「本当だ〜めっちゃいる!」

「あの魚でっか!!」

「え、すご!!」

「あれなんてやつ!??」

「え、わかんない待ってて」

「でか〜…でも意外と顔可愛いかも!」

「ジンベエザメってやつかな?」

「うん、それっぽい!」

超でか水槽を一旦離れ、更に奥に進んでいく。

「ここは何の水槽かな…」

「わかんないけどさっきよりは小さい水槽だね…」

「あ!なんかいた!うわあれ何だっけ!」

「どれどれ?」

「あの辺あの辺!」

「あ〜、タコじゃない?」

「そうそれ!タコ!」

「なんかすごい見た目〜」

「ね、足多いよめっちゃ」

「「でも可愛い〜」」

タコ可愛かったな。で、次の水槽に行った。

「見てあれ!」

「今度はめっちゃ小さい!」

「ハンディファンの群れだね〜」

「可愛い!」

「私達の親戚!」

「そりゃ可愛い公爵の親戚なんだから可愛いに決まってるよ」

「ふぇ…?」

なにその反応、可愛い。

公爵は小声で言った。

「やっ、やめてよ!他にもお客さん居るでしょーが!」

「だってそうじゃん」

「いやそんな事…ないし…恥ずかしいし…!」

「いやそんな事ある!絶対ある!」

「ない、ないって!」

「い〜〜や、あるね、超可愛いもん。見た目以外もね」

「う〜〜〜…なんなんだ〜…」

ふっ、勝った。当たり前だ、公爵は可愛いもの。

私が見てきた中で一番可愛い。大好き。

「も、もういいって、次行こう…?」

…ちょっと可哀想だし、もう次のエリアに行こう。

と思ったら、どうもこのあとすぐにシャチのショーが始まるらしい。

よし、行ってみよう!!

会場には、他にも見に来たであろう人がたくさんいた。

私達も席に座って、すぐに開演した。

可愛らしいシャチが居て、そのシャチに飼育員が合図すると

一気に自ら飛び上がった!

そして綺麗に着水。

「「すご〜〜!!!」」

観客たちも歓声を挙げている。

そう思ったのも束の間。出れだけ綺麗に着水しようとも、

無理があるのだろう。

水飛沫が飛んだ。

その飛沫が、勢いよく私達に。

「うわっ!?」

「いえ〜い!!」

流石に濡れすぎ!!と思ったが、公爵はめっちゃ嬉しそう。

その後も様々な技を見せては、

飛沫をこっちにかけてきて、ビッショビショになった。

めっちゃ楽しかった。なんであんな楽しそうなのかと思ったけど、これは楽しい。

そして面白い!!

その後もいろんなものを見た。

水に生息するサーキュレーターの一種とか、たくさんの洗濯機とか。

今回も満喫できた。さて、ホテルに行こう。

「ね、殿下」

そう思った矢先に話しかけてきた。

「なに?」

「どうも、この駅からは寝台列車ってのが出ているらしいのですよ」

「ほほう」

「乗ってみない?」

「寝台列車がまずわかんないから教えてください!」

「どうも、ベッドとかそういうので寝ながら移動できるやつ?らしい!」

「それ超便利じゃん!乗ろう!」

駅で数分ほど待ってから、定刻通りやってきた寝台列車に搭乗。

「えーっと、この部屋だね!」

「そうそう、そこ」

「お〜、思ってたより広い!」

「ベッドもふかふか!もう寝たい」

「シャワー入ってないでしょ…ってか、入れないのか」

「なんとシャワーがあります」

「まじ!?」

「大まじ」

「入りたい!」

「いってらっしゃい!」

荷物を整理して、交互にシャワーに入った。

悪くない、むしろホテルのやつより良いと思った。

さ、もう寝よう。

「おやすみ」

「おやすみ殿下」

新たな移動手段、経験のスタンプを記憶に押すとともに、まぶたを閉じた。

街:ミ・セルケ・リート…長い。この国で一番大きな水族館がある。寝台列車も出ていて、

               雰囲気的には特に何の変哲もない。

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