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旅する電化の奔走。  作者: 未完畑の柑結
殿下の出発
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10/14

殿下のトラウマが一つ増えましたところで

恐怖からなんとか脱却し、余韻に震えながらも

次のアトラクションの話になった。

「そろそろ行っとこうよ」

「何に?」

「ジェットコースター」

「よし、じゃああたしは帰らせてもらう」

「待たれよ公爵、あの小さめのやつ」

「あ、あれならギリ…」

「ではなくドでかいやつ行こう!さあ!」

と、公爵を運搬していきます。

「うわあああ!待った!待った!本当にああいうのは無理なんだって!」

「いけるいけるよ公爵なら」

「うっ待機場から高いところにあるじゃん終わった…」

「もう行っちゃおう、克服だよ克服!」

それなりに並び列は長かったが、思っていたよりも回転が早い。

すぐに出発の順番が来た!

「では安全バーをゆっくり下ろしてくださ〜い」

「よいしょっと!」

「ひいいい…」

「まだ始まってないよ?」

「もうこの段階から無理なんだっつーの…!」

「それでは出発致しま〜す、いってらっしゃ~い☆」

最初はゆっくり進み、高〜い長〜い区間をカタカタと登っていった。

「なかなか高いところまで来たね〜!!」

「た、高いよぉ…」

「それが良いんじゃん!」

「良くない、絶対良くない…」

もう反論に力がない。普段あんなに強気なのに。

さて、もうあと数秒で下り始めるだろう。

「そろそろ来るよ〜…!」

「ひっ。」

「どんだけ怖いの公爵ぅ…ほら。」

私は安全バーの横からコードを差し出す。

「はやく、手。繋がないの?」

「つ、繋ぐ繋ぐ!」

ぎゅっと私のコードを握りしめた2秒後、コースターは停止から解き放たれた!

加速Gと横Gが体をシートに押し付ける!

「うお〜〜!!」

「ひいいいいいい!!!」

「すご〜〜〜い!!風が気持ちいい!!」

「こ、こわすぎるよぉぉぉ!!」

「ひゃっふ〜〜!!」「ああああああ早く終わってぇぇぇ!!」

約1分の超特急は、初めてには刺激的すぎた。

そして、あまりにも最高すぎた!!

「いや〜〜、楽しかったねぇ」

「こ、こわかったよぉ…」

「ごめんて、次からは一人で乗るから…」

「ぜ、絶対…?」

「…」

「ま、また乗せるつもりじゃ…?」

「…正直なところ、そう」

「本当にやめてください…」

「わかったよ、ごめんね」

「もう、ずっと手繋いでて…」

「いいよぅ」

その後は、一人でジェットコースターを周回しつつ、

なるべくあの屋敷だけは避けて探索したりして、満喫しましたとさ!

で、あっという間に閉園時間が来ました。

「早くない?まだ6時だよ」

「なんか早いね、まあでももう満足!」

「あのあと何回行ったの、ジェットコースター」

「え〜〜〜〜さん…」

「3回?」

「じゅう…」

「30…!??」

「に…」

「32回…!!??」

「かな、多分」

「そりゃ満足だわ…」

また一瞬で到着して、駅の近くのホテルに宿泊。

随分とベッドがふかふか!

「ベッドめっちゃふかふかだよ公爵!」

「ほんと?では失礼して…」

「ね?ふかふかでしょ?」

「ふかふかだぁ…」

「めっちゃ嬉しそうな顔しとる…」

「最高ぉ…」

「だよね〜って…公爵?」

「zzz…」

「あれ?もしかして…」

「zzz…」

「もう…寝た…!?」

「zzz…」

寝顔、超かわいい。眼福すぎるから何枚か写真とっとこ。

「私も寝るか…

 おやすみ、公爵」

「うん、おやすみ…zzz…」

最高の目覚めで朝を迎えた。やっぱり、ベッドは良いものに限る。

公爵をササッと起こし、各々準備を済ませ、駅前に到着。

「今日も張り切っていこーう!!」

「お〜!…で、本日はどちらに?」

「ラカ・ストゥアです!!」

「なるほど、どこです?それは」

「もっと東に行ったところの、海街です!」

「海…か」

「…はい。海です」

「ちょっとまだあの時の…ね?」

「ま、仲直りの印ってことで…」

「それもそっか!」

「うん、じゃあ行きましょう!」

ここから約200km。道中は朝早くだったこともあり

二台で4時間ほど寝てたら着いてた!

電車を降りて、伸びをする。

「で、このあと何をするんでしょうか」

「もちろん、海に行こう!!」

「だよね~!!」

足取り確かに、海に向かう。

あの時に似た、駅からの大きな一本道を行くと着く。

あの時に似た、空の色だ。

でも、遠くの怪しい雲なんて消え去った快晴をしている。

「よし、行きま〜す!!」

「あたしも〜!!!」

今、二台駆け出し海に飛び込む。

冷たい感触が、体を包んだ!

「いや〜、最高だね!!」

「うん、最高!!」

飛び込みたいだけなので、一旦上がって砂浜に座る。

いや〜、いい景色だ。

耽っていると、突然公爵が走り出す。

「捕まえてみなっ!!」

「へ!?」

「ほらほら、早くしろ〜ぅ!!」

「待てぇ〜〜!!」

走りづらい砂浜を、二台ただ走った。

他の海水浴客だってたくさんいた。

でもそんな事、何も気にしていられない。

今はただ、またこうして公爵と、レンと楽しいひと時を過ごせる。

それに感謝しながら、全力で走った!

あと数歩、あと数歩。

その数歩を埋めるためのジャンプ!!

「つ〜か〜ま〜え〜…!」

後ろから勢いそのままに、ぎゅっと抱きつき押し倒す。

「たっ!!」

「あはは、捕まっちゃった!」

そのままの姿勢で、海を眺める。

その行為一つ一つが、あの頃との決別と受容を意味していたように思う。

街:ラカ・ストゥア…なが〜いなが〜い砂浜が広がる、東海岸有数の海街。

            リゾート街として発展を遂げており、

            こっちの世界で言うハワイ的な感じ。

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