殿下のトラウマが一つ増えましたところで
恐怖からなんとか脱却し、余韻に震えながらも
次のアトラクションの話になった。
「そろそろ行っとこうよ」
「何に?」
「ジェットコースター」
「よし、じゃああたしは帰らせてもらう」
「待たれよ公爵、あの小さめのやつ」
「あ、あれならギリ…」
「ではなくドでかいやつ行こう!さあ!」
と、公爵を運搬していきます。
「うわあああ!待った!待った!本当にああいうのは無理なんだって!」
「いけるいけるよ公爵なら」
「うっ待機場から高いところにあるじゃん終わった…」
「もう行っちゃおう、克服だよ克服!」
それなりに並び列は長かったが、思っていたよりも回転が早い。
すぐに出発の順番が来た!
「では安全バーをゆっくり下ろしてくださ〜い」
「よいしょっと!」
「ひいいい…」
「まだ始まってないよ?」
「もうこの段階から無理なんだっつーの…!」
「それでは出発致しま〜す、いってらっしゃ~い☆」
最初はゆっくり進み、高〜い長〜い区間をカタカタと登っていった。
「なかなか高いところまで来たね〜!!」
「た、高いよぉ…」
「それが良いんじゃん!」
「良くない、絶対良くない…」
もう反論に力がない。普段あんなに強気なのに。
さて、もうあと数秒で下り始めるだろう。
「そろそろ来るよ〜…!」
「ひっ。」
「どんだけ怖いの公爵ぅ…ほら。」
私は安全バーの横からコードを差し出す。
「はやく、手。繋がないの?」
「つ、繋ぐ繋ぐ!」
ぎゅっと私のコードを握りしめた2秒後、コースターは停止から解き放たれた!
加速Gと横Gが体をシートに押し付ける!
「うお〜〜!!」
「ひいいいいいい!!!」
「すご〜〜〜い!!風が気持ちいい!!」
「こ、こわすぎるよぉぉぉ!!」
「ひゃっふ〜〜!!」「ああああああ早く終わってぇぇぇ!!」
約1分の超特急は、初めてには刺激的すぎた。
そして、あまりにも最高すぎた!!
「いや〜〜、楽しかったねぇ」
「こ、こわかったよぉ…」
「ごめんて、次からは一人で乗るから…」
「ぜ、絶対…?」
「…」
「ま、また乗せるつもりじゃ…?」
「…正直なところ、そう」
「本当にやめてください…」
「わかったよ、ごめんね」
「もう、ずっと手繋いでて…」
「いいよぅ」
その後は、一人でジェットコースターを周回しつつ、
なるべくあの屋敷だけは避けて探索したりして、満喫しましたとさ!
で、あっという間に閉園時間が来ました。
「早くない?まだ6時だよ」
「なんか早いね、まあでももう満足!」
「あのあと何回行ったの、ジェットコースター」
「え〜〜〜〜さん…」
「3回?」
「じゅう…」
「30…!??」
「に…」
「32回…!!??」
「かな、多分」
「そりゃ満足だわ…」
また一瞬で到着して、駅の近くのホテルに宿泊。
随分とベッドがふかふか!
「ベッドめっちゃふかふかだよ公爵!」
「ほんと?では失礼して…」
「ね?ふかふかでしょ?」
「ふかふかだぁ…」
「めっちゃ嬉しそうな顔しとる…」
「最高ぉ…」
「だよね〜って…公爵?」
「zzz…」
「あれ?もしかして…」
「zzz…」
「もう…寝た…!?」
「zzz…」
寝顔、超かわいい。眼福すぎるから何枚か写真とっとこ。
「私も寝るか…
おやすみ、公爵」
「うん、おやすみ…zzz…」
最高の目覚めで朝を迎えた。やっぱり、ベッドは良いものに限る。
公爵をササッと起こし、各々準備を済ませ、駅前に到着。
「今日も張り切っていこーう!!」
「お〜!…で、本日はどちらに?」
「ラカ・ストゥアです!!」
「なるほど、どこです?それは」
「もっと東に行ったところの、海街です!」
「海…か」
「…はい。海です」
「ちょっとまだあの時の…ね?」
「ま、仲直りの印ってことで…」
「それもそっか!」
「うん、じゃあ行きましょう!」
ここから約200km。道中は朝早くだったこともあり
二台で4時間ほど寝てたら着いてた!
電車を降りて、伸びをする。
「で、このあと何をするんでしょうか」
「もちろん、海に行こう!!」
「だよね~!!」
足取り確かに、海に向かう。
あの時に似た、駅からの大きな一本道を行くと着く。
あの時に似た、空の色だ。
でも、遠くの怪しい雲なんて消え去った快晴をしている。
「よし、行きま〜す!!」
「あたしも〜!!!」
今、二台駆け出し海に飛び込む。
冷たい感触が、体を包んだ!
「いや〜、最高だね!!」
「うん、最高!!」
飛び込みたいだけなので、一旦上がって砂浜に座る。
いや〜、いい景色だ。
耽っていると、突然公爵が走り出す。
「捕まえてみなっ!!」
「へ!?」
「ほらほら、早くしろ〜ぅ!!」
「待てぇ〜〜!!」
走りづらい砂浜を、二台ただ走った。
他の海水浴客だってたくさんいた。
でもそんな事、何も気にしていられない。
今はただ、またこうして公爵と、レンと楽しいひと時を過ごせる。
それに感謝しながら、全力で走った!
あと数歩、あと数歩。
その数歩を埋めるためのジャンプ!!
「つ〜か〜ま〜え〜…!」
後ろから勢いそのままに、ぎゅっと抱きつき押し倒す。
「たっ!!」
「あはは、捕まっちゃった!」
そのままの姿勢で、海を眺める。
その行為一つ一つが、あの頃との決別と受容を意味していたように思う。
街:ラカ・ストゥア…なが〜いなが〜い砂浜が広がる、東海岸有数の海街。
リゾート街として発展を遂げており、
こっちの世界で言うハワイ的な感じ。




