表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モブな私は自由なはず‥‥なのに私の周りはいつもずっと騒がしい  作者: おかき
第一章 転生者は隠しモブとして生きる

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
83/89

83話 竜人国へ

午後からの授業にアーノルド殿下とシーベル殿下は戻ってくることはなかった。

勿論、エイミーも。


午後からはダンジョンの様子や対策を話し合った。


「セド、帰りに冒険者ギルドに寄ってもいいかな?シーベル殿下の魔力を見てもらえるようようにお願いしたいの」


セドリックにお願いをして馬車を冒険者ギルドに向かわせてもらう。


ギルドに入ると受付にいるマリーが直ぐにエリアナ達に気が付いてくれた。


「ギルマスに用事かしら?」


「急で申し訳ありませんが、エルランドさんに至急確認してもらいたいことができたのです」


セドリックがマリーにそう伝えると

「二人が来たら優先して入れるように指示されてるの。来客もないから二階に行って大丈夫」そう言って二階に上がる許可をくれた。


ギルマスの部屋の扉をノックし許可の返事を待つ。

エルランドが扉を開け顔を出すと、スタンピード以来の二人を出迎えてくれた。


「今日はどうした?」


エルランドが声を掛けるとエリアナが学園で起きた出来事を説明する。


「空の魔石があればシーベル殿下の魔力を移したいのです。変な魔力を感じて不快なのです」


エリアナの言葉にエルランドは急いで本棚に向かい箱の中から空の魔石をエリアナに渡した。

エリアナが魔石に魔力を移すと魔石は紫と青の魔力が渦巻いている。


「見ているだけで気持ち悪い色ですね………」


「アードに早速送ろう」


エルランドは魔石を手にすると、部屋から出て行った。


「あんな魔力を持っていて体に異変はないのですか?気持ち悪くは?」


セドリックはエリアナの腕を触り確認する。額に手を当て熱まで測り始めた。


「大丈夫よ、セド。心配してくれてありがとう」


大丈夫の言葉を信用しきれないセドリックだが、エルランドが戻ってきたためエリアナの体から手を離した。


「アードに送ったから数日中には結果がでるだろう」


エルランドがソファーに座り、シーベル殿下について説明を求められた。


「転生者のエイミー様を連れて学園に転入された……くらいしか解らないのです」


エルランドも情報が少なすぎて判断出来ずにいる。


「情報か……ならば、竜人国の冒険者ギルドか……」


エルランドが渋い顔をしてポツリと呟いた。


「竜人国の冒険者ギルドに何かあるのですか?」


「あーそうだな……。エリアナも依頼であっちに行く事があるかもしれんから、話しても大丈夫だろう」


竜人国の冒険者ギルドのマスターは竜人国のシシュリー第二王女殿下が任についている。

シシュリー王女殿下のお気に入りの冒険者しか登録されておらず、ハーレム化しているらしい。


エルランドも実は狙われている一人で、未だにアプローチが酷いらしい。


「冒険者ギルドはその国の王族についての情報を握っているから、必要であれば情報を得ることが出来るが……あれに頼むのはなぁー……」


((嫌なのね……))


「大丈夫です、エルランドさん。父に頼んで私とエリアナが竜人国に行けるように手立てを見つけてくれるようなので、エルランドさんが無理されなくても何とかなります」


「そうか……」


ホッとするエルランドを見て、よほど嫌だったのだろうと感じる。


そろそろ帰ろうとする頃、部屋の扉がノックされた。


エルランドが扉に向かい確認すると、ハーマン公爵家からの使いが来てエリアナとセドリックに邸に来るように言伝を預かっていた。


エリアナ達はそのままハーマン公爵家へと馬車を向かわせる。


久し振りに訪れた公爵家。

玄関にはセリーヌ夫人が待っていた。


エリアナが馬車から降りると、セリーヌ夫人が勢い良く抱きついてきた。


「エリアナちゃん!久し振りね。会いたかったわ……」


と、瞳を少し潤ませたセリーヌ夫人と視線を合わせる。


「お久し振りです、セリーヌ夫人」


セリーヌ夫人はエリアナを見て微笑むと、手を引き邸に入っていく。


「久し振りに会う息子にはなにもないのですか?」


後ろからセドリックの批判の言葉が聞こえてくるが、セリーヌ夫人は気にする事なく邸に入る。


応接室へ通されると、そこには当主のパトリックが待っていた。


「お帰り。スタンピードの鎮圧ご苦労だったな」


エリアナとセドリックに労いの言葉をかけ、ソファーへと座るように促す。


「セドリックが言っていた黒竜についての話を陛下にしたところ、竜人国へ直接移動出来る天門を開いてくれるそうだ。陛下が竜人国の許可は直ぐに降りるだろうと仰っしゃっていたから、学園の休みの2日で行けるように手配しよう」


「ありがとうございます。パトリック様」


エリアナがパトリックにお礼を伝える。


「可愛い義娘の為ならなんてことはない」


パトリックの優しい笑みにエリアナは擽ったくなる。セリーヌ夫人もパトリックもエリアナにとても甘い。


「パトリック様。天門って何でしょうか?」


エリアナは天門なる言葉について質問をする。


「天門は各国の行き来をする行程を簡単に出来るように門で各国を繋げている。

王城の魔術塔の地下にその門がある。そこから各国の門に行く事が出来るのだ」


「そうなのですね」


そんな便利な門がある事を知り、2日の休みで行ける話に納得する。


「今代の竜人王は300年以上、王の位に座られている賢王だ。エリアナ達の話もきちんと聞いてくださる方だから安心なさい」


パトリックの話にエリアナは賢王である竜人王に安心する。


「セドリックがエリアナちゃんに作った冒険者用の衣装はとても人気よ!マリーが忙しすぎて死にそうだけど」


コロコロ笑いながらセリーヌ夫人は楽しそうにセドリックに話しかけた。


「女性冒険者からの人気は勿論、乗馬を趣味にされている夫人達からの人気もあって予約は一年待ちくらいよ」


エリアナは色気しかない衣装を思い出し、ギョッとしていた。

あんな破廉恥な衣装を!!と……。


「エリアナが学園で着ていた衣装に近いデザインですよ?駐屯地で着たような派手な衣装ではありませんから」


「そうよね……。あんな破廉恥な衣装があちらこちらにいたら大変だものね」


エリアナがホッと漏らした言葉をセリーヌ夫人が拾ってしまった為、エリアナが着た衣装をセリーヌ夫人に後日見せる約束をさせられてしまった。


和やかな公爵家での時間は過ぎ、翌日からは再び引率として学園ダンジョンに潜る。

魔術科の生徒達はやはり優秀であり、簡単にDエリアをクリアーした。


その間の四日間、アーノルド殿下とシーベル殿下は魔術科に来る事は無かった。


お二人は魔法科へと専攻を変更されていた。

勿論、シーベル殿下にぶら下がるエイミーも一緒に。


昼食も特別室でとっているようで、アーノルド殿下がこちらの昼食に同席する事は無くなった。


側近達の話によるとアーノルド殿下が昼食を一緒に取れなくなった事で、かなり荒れているらしい。

王族として表情にも態度にも出さないけれど、自身の執務室に戻ると八つ当たりをするように執務を片付けている。



(アーノルド殿下を今度邸の夕食に誘って、食事をご馳走しようかな?)


エリアナからシーベル殿下とエイミーを遠ざける為にアーノルド殿下が動いてくれた事に感謝する。


「明日竜人国に行けるようです」


学園から帰る馬車の中でセドリックから教えてもらった。


「竜人国王から正式に許可が降りたそうです。竜を崇める国の何者かが黒竜に手を出した可能性があるならば、それをはっきりさせなければならない。と、早々に許可が降りたそうです。

それと、アードさんから魔力の結果が送られたて来たそうです。冒険者ギルドに寄って話を聞きましょう」



エリアナとセドリックが再びエルランドの執務室を訪ねると、難しい顔をしたエルランドが二人を待っていた。


「アードから魔力の結果が送られてきた。あまり良いモノではないようだな……」


エルランドが数枚の書面と、透明な結界の箱に入れられた例の魔力の魔石を渡す


(紫と青のマーブル模様……気味が悪いわね)


エルランドからの書面に目を通す。


・竜人国の王族と同じ魔力である

・青の魔力は精神に作用する

・紫は魅了に近いが好意を操る


アードからの報告を簡単に説明するとそう記されている。


「シーベル殿下はエリアナを自分に好意を寄せるように仕向け、支配しようとしたと?」


セドリックの怒りが酷い。

冷たい魔力を放ち始めた。真冬のブリザードの中にいるように寒い!


エリアナは自身の氷魔法で体を覆い、寒さから逃れた。

エルランドは氷魔法を行使出来ないので、寒さで震え始めた。


「おい!怒りは解るが、魔力放出を止めろ!寒いっ……」


「失礼」


エルランドがカチカチ震える姿を見て、セドリックは怒りを鎮めた。


「この魔力の入った魔石を竜人王に見せるのもありね」


セドリックの怒りなど気にする事なく、エリアナは魔石の使い道を考えていた。


「報告書にもあるが、竜人王に見せれば誰の魔力かどんな風に作用する魔力かは解るだろうと書いてある。明日竜人国に行くのだろう?見せるのもありだな。

あ、それとセドリック。シシュリー王女には気を付けろ。お前の容姿は優れている。狙われないようにな」


やり返したつもりなのだろうエルランドは、セドリックを見て口元をあげた。


(フラグを立てないで欲しいかったな……)


エリアナは心の中で溜め息を吐いた。

エリアナが書面を鞄に仕舞い魔石を手にしようと手を伸ばすと、横からサッと奪われた。


「他の男の魔力を持つのは不愉快ですので、私が預かります」


セドリックがさっさと鞄に仕舞った。


「王女殿下に気をつけてね!きっと言い寄られると思うから。魅了されちゃわないでね!」


エリアナはいたずら気分でそう言ってセドリックの顔を見ると、ジト目で見られた。


「エリアナ以外の女性に私が関心を持つとでも?魅了魔法にかかるくらい私の気持ちが軽いと思っているのですか?」


エリアナはセドリックの腹黒地雷を踏んだ事に気が付いたが、遅かった。


セドリックに抱え上げられ、呆けるエルランドに挨拶をして部屋を出た。

裏口に待たせていた馬車に乗り込むと、膝に座らされた。

エリアナは思い出すのも恥ずかしくなるほどの罰と称したセドリックからの欲情を受け止めるはめになってしまった。

それはエリアナか眠りに就くまで続けられてしまった。




翌朝、早目の朝食を終えると王城の魔術塔へと向かう。

エリアナの大きな横掛けの鞄の中には、黒竜とラビが入っている。鞄をチラリと開けると、仲良く丸まって眠っている。



魔術塔は外壁工事中のようで塔の先端から地面まで結界が張られている。


「外壁工事みたいね」


「魔法科と魔術科の対戦を見た貴族達が沢山出資をして下さります。全てカーマイン嬢のおかげでございます」


エリアナとセドリックが振り返ると、初老の男性がお礼を伝えてきた。


「私は魔術師団長のリベドと申します。お二人を天門へとご案内を致しますので」


リベドと名乗る男性の後をついて塔の中へと歩みを進める。


塔の入口を入る時に、ブヨンと膜をすり抜けた感覚がしてエリアナが振り返った。


「結界魔術が施されております。腹に一物がある者は膜に弾かれ入る事が出来ないのです」


リベドが入口あたりに手をかざすと、魔術紋が幾つも浮かんだ。


「目隠しの紋まであるのね……」


エリアナは浮かび上がる紋に興味津々で眺め始めた。


床から門の上まで膜に描かれた紋をじっくり眺め始めた。


「リア、遅れますよ?帰って来てから見せてもらいましょう」


セドリックの声にエリアナは、今にも床に顔がつきそうな体勢をしている事に気が付いた。

スカートの裾を手で払い、何事も無かったかのようにセドリックの隣に立った。


リベドとセドリックに笑われてしまったが気にしない。紋を見たい気持ちが勝るから。


「地下に参ります。足元に気をつけて下さい」


地下に延びる螺旋階段をゆっくりと降りて行く。

階段を降りきると大きな扉の前に立った。

大きな魔力を感じる重厚な扉をリベドが開いていく。


目の前には豪奢な扉の見た事もない大きな門があった。


「ダンジョンの扉より大きいのね」


「主に外交や王族の使用が主ですので、大きな馬車や騎乗したままの護衛が通るので大きいのですよ」


天門と呼ばれる門に近付くと、エリアナが床をじっと眺めていた。


(床の魔術紋は素晴らしいわ!特大魔術紋なのに、最小の魔力で使えるように出来ているのね……)


「気が付かれましたか?」


リベドがそう言葉を伝えると、床に特大魔術紋が浮かんだ。


「これは数百年前に作られた紋でして、考えられた方は転生者ですよ。そして、省エネモードと言われていたそうです」


「少ない魔力で特大魔術紋を描いたのね」


(数百年前の転生者も私と同じ時代の人みたいね)


「お解りになるとは、流石カーマイン嬢です」


セドリックは床に違和感を感じてはいたけれど、魔術紋がある事には気が付かなかった。


(リアに相応しくなる為にも、魔術をもっと極めなければ……)


セドリックの新たな目標が出来た。


「天門の扉が開いた先は竜人国となります。カーマイン嬢、ハーマン子息殿。気をつけて行ってらっしゃいませ」


リベドが手を翳すと扉がゆっくりと開いていく。

扉の先は光が眩しくて何があるのか確認出来ない。


「扉の先はお互い見る事が出来ない仕組みです」


エリアナとセドリックは扉の光の中に足を踏み入れた。


(未知の国である竜人国……どんな国なのかな?)


エルランドから竜人国について説明を受けた。

竜人国へ入国出来るのは、各国の王族や外交官くらい。竜人国は大陸でも閉ざされた国らしい。

エリアナとセドリックの竜人国訪問は異例中の異例なのだと。


エリアナはわくわくする気持ちを抑え、横掛け鞄を優しく撫でた。


「黒竜、ラビ。竜人国に行くわよ」


セドリックがエリアナの手を握ると指を絡めて視線を合わせる。


「行こうか」


エリアナは頷くと光輝く扉の中へと消えて行った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ