マイルームと粉砕と疑問と願い
真金の使い方を覚えたり、活用方法をダミーコアと考えたりしていたらいつの間にか朝になっていた。
「ん〜。おはようなのです〜」
「ん。おはよう」
ナノはハーフエルフだからか、かなりの美少女だ。ハーフエルフの成長速度は知らないが、胸の膨らみ方と身長から考えて、第一次性徴期なのだろうか。
と、俺がそんなことを考えてナノの胸を注視していると、
「む〜。モンスターさん、エッチなのですよ。そういうのは、メッ。っておばあちゃんが言ってたのです」
と、少し距離を取られる。
幼女的な可愛さがある。サターンとは違う可愛さだがこれもいいな…その後ろに何やら怒った様子のモンスターたちがいなければ、の話だが。
…ナノがここに来たのって昨日の夕方前だよな?本気でうちのダンジョン乗っ取りに来てない?いやまぁ、知性がない奴らが大半な上、絆的なものも結べてないから可愛らしい生物の方に行ってしまうのは仕方のないことなのかもしれないが…ダミーコアさんまでそっちに回ることはないんでない?
ナノの食事が終わったので、今日の目標を伝える。
「さて、これから俺の部屋を作ろうと思うんだが…ナノ。お前、自分の部屋欲しいか?欲しいなら一緒に作ってやれるが」
「え!?自分の部屋!?そ、そんな豪華な暮らしをナノがしてもいいの!?」
「え?部屋一つでそんな大げさな…」
〈私もこの世界の人間の生活を知っているわけではないので、推測になりますが、マスターの世界と比べて、この世界は危険が多いです。
家が何でできているのかはわかりませんが、例えば家一軒を立てるための木を切って持って帰ってくるにしても、マスターの世界以上の危険が伴います。なので、かなり高価になっているものと思われます〉
「モンスターさんの世界?はわからないのです。でも、他のものと比べると村の中にあるものに比べると、木材はかなり貴重だから、大切に使いなさい。
ってお父さんが言っていたのです。」
「ふーん。そんなものか…まぁ、俺には関係がないからな…かかるのは時間くらいだ。それで、ナノの部屋はどんな感じがいい?」
「ならなら、ナノはモンスターさんたちが楽しく暮らせるようなお部屋が欲しいのです!」
「?自分の部屋なのにか?」
「もちろんなのです!友達と一緒に楽しく過ごせるようにするのは必要最低限のマナーってお母さんが言ってたのです!」
「…そうか」
そんなもんなのか?あ、でも日本以上にご近所付き合いが大切だろうから、それが普通になってるのだろうか?
ふっふっふ。やはり俺はこの世界において異常だいうことだな。よかったよかった。
「なら、部屋のサイズは蟻さん達が入れるくらいで…」
〜数十分後〜
「よし、案は出尽くしたかな。なら、早速作っていこう」
〈了解しました…行きなさい〉
ダミーコアが命令すると、すぐさま蟻さん達はコアルームを出て相談した場所に行き穴を掘り始めた。
…あ、この間に剣の練習をしようか。
「なのはちょっと下がってろ。ダミーコア、剣の練習がしたいから、モンスター操作を頼む」
「わか〈りました〉ったのです」
〜練習開始〜
まずは、【強欲の剣】
実は、真金の練習の時に気付いた小技があった。
その結果、剣の色は輝くような黄金から俺の体のような泥の色になった。
今のところ使い道はないが、不意を突くにはちょうどいいかもしれないとデフォルトの色に設定してある。
そして、何か動こうとして、どう動けばいいのかがなんとなくわかるようになっていることに気付いた。
「まぁ、戸惑うのはあとにしてっ!!」
ダミーコアが操っているデュラハンには再生能力がないので、デュラハンが生まれてから持っているという剣を弾き飛ばそうとした、のだが、
ギャン、という剣戟の音がなった、次の瞬間
ボロボロボロという音が、俺の腕の方から聞こえた。
「え?」
俺はとっさに自分の腕を確認した。
そこには、俺の腕がなくなっていた。
そして、元あった腕が砕け散って散乱していた。
「…んんん?」
〈…マスター。えっと…その…〉
「あぁ、うん。ダミーコア。これは予想外だった」
〈…〉
「俺の体、もしかして、脆すぎ?」
そういえば、確かに種族のスキル欄に脆弱Ⅴってあったな…スキルってメリットばかりあるものだと思ってたから、この結果は予想外だ。
「止めとくか…」
〈…はい〉
「も、モンスターさん!?う、腕、腕がががががががががががが」
〈大丈夫ですよ、ナノ。マスターは不死身です。腕だってそのうち再生します。いつものことなので心配はいりません〉
確かに手足をもぐのはここに来てから何回もやってるけど、君と会ったのは昨日なんだが…まぁ、ナノはそれを知らないし落ち着くかな?
「え、で、でもでもでも。腕が、腕が取れるのは、凄く凄く凄く凄く痛いの…だからきっとモンスターさんも痛いの!!」
え?頭取られてもじゃれあいで済ませたのに腕がもげてたらパニックになるって…こいつの基準がよくわからん…
「はいはい。俺はどうってことないから心配すんな」
「ほ、本当?」
「本当だ」
「本当に本当?」
「…はぁ。ほら、よく見ろ。俺の腕、戻ってきてるだろ?だから大丈夫だっての」
「で、でも痛いものは痛いし…」
「俺は痛みなんか感じない」(例外はあるけど)
「…はぁぁぁぁよかったの〜」
「ま、よくわからんが落ち着けたようだからいいや。蟻さん達、絶対まだ終わってないだろうしなぁ…あ、そうだ。ババ抜きでもするか」
思いついたが吉日だ。すぐに真金でトランプを作る。色を変える他に手触りなども変えられるようになったので、正真正銘トランプのカードにしか感じられない。
うん。いい仕事をした。
「ババ抜きのルール、ナノがわからないだろうから説明する…あ、ダミーコアができないんじゃだめじゃん…」
〈大丈夫ですよ。私はこのデュラハンを操作して参加できるので〉
「あ、そっか。ならいいや。それで、ルールなんだけど…」
この後、デュラハンの首が取れていることを利用してカードを盗み見てきた奴がいたりしたのだが、その話は別にしなくてもいいだろう。
大体すぐに作れてルールまでちゃんと覚えているゲームはし尽くした。
3時間ぐらい暇は潰せた。
…ダミーコアって意外と負けず嫌いというか、勝ち汚いというか、せこいというか…
「さて、そろそろ蟻さん達の作業も終わっただろう。行ってみるか」
〈はい…〉
「楽しみなの!!」
「あ、ダミーコアは罰を何か思いついたら受けさせるからな?」
〈わ、わかりました〉
〜移動〜
さて、蟻さん達が掘り始めた場所に来たわけだが…
「なんか深くね?」
〈階層は、DPを払うことによって場所移動が簡単ですし、何よりマスターの部屋になる場所なので勝手ながら案を改変いたしました〉
「狭いっていうのもいいと思うぞ…」
と、喋りつつマイルーム (予定)に到着到着した。ちなみに蟻さん達はまだ隅の方で作業をしている。
〈どうでしょうかマスター〉
「広い」 (小並感)
というか、そのくらいしか言うことが無い。壁や地面も今の所岩だから、他の部屋と比べると広いというだけの空間になっている。
「!?!?!?」
「というか、ナノが驚きすぎて息をしてないんだが…とりあえず、ここから出よう」
〜コアルーム〜
「他に何か変更したところはあるのか?」
〈はい!マスターの部屋には泥を敷き詰めるとのことでしたのでコアルームはマスターの部屋のさらに下に設置することにいたしました!〉
「というか、コアが俺の中にあるんだしコアルームって意味がないんじゃないか?」
〈コアはマスターの肉体が完全消滅した場合コアルームに現れます…コアにはマスターを含めて所属モンスターのコアのバックアップがあるため復活が可能です。それなりのDPと時間がかかるので、時間稼ぎは大切です〉
「なるほど。だからコアルームへの入り口の発見率を下げるため、泥の下に入り口を作るのか」
〈マスターの泥のスキルを使えば、あるいは真金で掘りぬいてもいいですが、コアルームに辿り着けるでしょう〉
「…なぁ、それどうせなら……」
〈…なるほど…ですが…〉
「まぁ、それは時間をかければ問題ないだろう」
〈わかりました部屋自体には変更点ないので、このまま続行させます〉
「おう」
〜一ヶ月後〜
「マイルームの」
「完成〈ですね〉「なの」だ」
予定よりも時間がかかってしまったが、完成した!!
あのゴツゴツとした岩が露出していて、洞穴感がすごかったあのマイルームが、たく○の手によって、泥まみれの部屋になりました…
計画の時点ではもっとマシになる予定だったんだけどなぁ…張り切って壁にも改造を施しちゃったんだよね…
あ、ちなみに一ヶ月の間何をしていたのかというと、
部屋の改造をしたり、ダンジョンを出て周りを探索したり、二足歩行の練習をして人間の時と変わらない…いや、身体の構造が違うからこっちの方ができることが多いか…
探索の結果は馬車を数台見かけたくらいだった。
ふっふっふ…ゲームの時には無理があるだろうと言いたくなった事もあったが、今の俺の体は純度100%の泥製だから、地面に這いつくばればバレなかったぜ…カモフラージュ率は確実に100%だな。
馬車で移動していたが、蟻さん達の方が早く動けるから、先回りして再び地面に伏せ、馬車の下の部分になんとか捕まってから、盗み聞きをした…踏まれる瞬間少しひやっとしたがなんてことはなかった。ナノから周りの村などの位置は聞いているので見つからないよう途中でこっそり地面に落ちて脱出、というのを繰り返した。
盗み聞きした内容だが、ほとんどが中で盛っているか、密談しているかのどっちかだった…この世界の人間の社会ことはほとんど知らないので、その情報はほとんど役に立たないだろうが…
気になったのは、勇者と呼ばれる奴が乗っていた馬車があった。
しかも、そいつが「ステータスオープン」と日本語で言っていた。それ自体はまぁナノと会話できていることから予想はできていた。
が、次の言葉を聞いて驚いたことがあった。
勇者の他に乗っていた女性が、勇者がなんといったのか聞き直していた…二人とも一度たりとも別の言語を話しているようには聞こえないのに、だ。
つまりは、勇者君は、俺と同じ元日本人だが彼には自動翻訳というべきものが付いていない…そして、俺には付いているということだ…この差はなんなんだろうか?
疑問を抱えてダンジョンに帰ってきたわけだが、部屋を改造しているうちにナノで試すのを忘れた。
その次の日に試してみたが、結局わからなかった。
その件は保留して、次にナノの部屋の紹介に移ろうと思う。
ナノの部屋は俺の部屋と、階段のある部屋との間に存在している。
部屋の大きさは変わらないが、壁は、泥ではなく岩で、たくさんの落書…動物の絵が描かれている。
これ本格的に洞穴じゃないかな?
うん、まぁそれはともかくとして、ナノの部屋には水源やモンスター達とナノの寝床。あと、隠し扉と隠し部屋があって、非常時にはナノとサターンに中に入ってもらうことになっている。中には一ヶ月分の食料と五体のウィスプがいる。
実はこの隠し部屋などの案はナノが出した。
どれだけここのモンスターに惚れ込んだんだろうかこの娘は。
もしくは人間が怖いとかかな?…ありえそうだけど、いつかは返してやりたいな…




