閑話 勇者(笑)②
「勇者様!!この村をお救いいただきありがとうございました!!」
と、僕に向かって頭頂部が少しはげている男性…隣村の隣村の村長がお辞儀をしてくる。
この村は魔物による災害が起きていた…食糧難も起こっていたようなので、僕が食料を持ってきていた。
そして、村長のお辞儀に合わせて、他の村人たちも、
「「「「「ありがとうございました」」」」」
と、お辞儀をしてくる。
「いえいえ、人間として当然のことをしたまでですよ」
僕は今焦っている。なるべく早く終わらせたい…それが何よりの報酬だ…早く…早く…
「そう言ってもらえると助かります…ですが、何か対価を払わねば、我々の気が済みません…皮肉なことに食糧難だったこの村を魔物が襲ってきたことにより、口減しができましたので、食料をお求めになったとしても、こたえることができます」
断ろうとして、思いついたことがあった。この世界に来てから大の大人に頼られることが多くなって、大人を頼るということを忘れかけていた。
「…なら、僕の幼馴染を探すのを手伝ってください」
僕が急いでやろうとしていたことは、僕が恋した女を…いや、少女を追いかけることだ。
彼女が村を出て一ヶ月経った。周りの村で問題が起きた時には、たいてい俺が駆り出されるので、ここを含め、近くにある全ての村を回った。
近くの村にはいくら何でも避難しないだろうと思って、無事かどうかの確認のため目撃情報を集めてみたのだが、一向に集まらない。
目撃されているならばまだ安心だった。
もし仮に彼女の両親が亡くなってたとしても、一、二年くらいならあの強い子は生き延びることはできるだろう。
僕はその強い彼女に惹かれたのだから、その隣に立てるくらいの強さを身につけたいと思っていた。
だから、追いかけるつもりはなかった。
しかし、目撃されていないとなれば話は別だ。
確かに村同士は離れていて、人の足だけでは休憩などを含めて2日以上かかるだろう。危険もあっただろう。
が、馬車などを使えば、半日より少し多いくらいでつく程度の距離だ。別の危険も生まれてしまうが、時間が短くなれば危険な目にあう確率も減る。
馬の休憩だって村でさせれば野宿をするよりも回復は早いだろう。
それに、あの日以来、あの子の家には誰も近寄らなくなった。仲が良かったうちの両親ですら…
結局、僕が暇を見つけては彼女らが帰ってきたときのために掃除をしている。
それだけならば、まだ良かったのだが、いつも家を出るとき背中にゾクッと悪寒のようなものが走る。
これは本格的に何かに巻き込まれて…いや、彼女らが目的だった可能性の方が高いだろう。
だが、どんなことがあろうとも俺は探し出してみせる。彼女を…ナッシュ・ノーリスを。
まずは、王都に行って情報収集をしよう…急がば回れ、ということわざもある。
が、遅れることは許されない。
急いで回る。それができなくてはおそらく彼女の元にはたどり着けないだろうという確信めいたものがある。




