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閑話2 ナッシュ家

「…………どこだコムスメェェェ!!?」


男は叫ぶ。自分にとってその子は子兎と同じような存在だと思っていた少女に出し抜かれ、そのプライドはズタズタになった。


ガタン!!

と、近くの樽から音が聞こえる。


「ホォォォ?そこにいたの、かっ!!」


男はその手に持った愛剣を振り回す。そのたび、男の周りは劇的に姿形を変える。

もちろん樽も粉々に粉砕され、中身がこぼれ出してくる。


その樽の中身はその家にすんでいた家族が作った小麦。そして、それを餌にしていたネズミの家族。


そのネズミたちから流れ出る血は、小麦を鮮やかなべに色に染め上げていく。


「はぁ、はぁ。生意気なぁ!!おい!テメェあの小娘がどこにいるか心当たりくらいあんだろ!!」


男はその怒りをぶつける矛先を男がとらえた人物たちに向ける。その人たちというのがこの家の主人たる、カゲツ・ナッシュ、とその妻である。


(あ、あの子だけは助けなくては!!な、何かいい手があるはずだ…)


「あ、あります!!ありますから!私たちの命だけは!!」


「おう、いいぜぇ。元々の依頼はあの小娘を殺すことだったしよぉ。」


(あの子はまだこの家にいるのかもしれない…どうすれば…)


必死に演技をしているが、夫が焦っているのを長年連れ添った妻はすぐに見破り、その手を重ね、落ち着くように夫に目で伝える。


(そ、そうだ。非常事態の時にこそ、落ち着かなければ。あの子はきっとまだ大丈夫だ。ならば私たちが死ぬとしても後顧の憂を絶つべきだ)


「あ、ありがとうございます!!おそらく娘は隣の家の子と一緒に平原に遊びに行ったんだと思います!!」


(あそこは今魔物たちが大量発生している。その事とこの男に関係があるのかは分からないが、魔物を統率するにしても、攻撃するにしても、向かわせておいて損はないはず…


それに、あの子は小さい頃から頭が良かったし、彼だけは絶対に死なないスキルもある…子供に押し付けるというのは心苦しいが、惚れている女、ましてや私たちの娘のため。頑張ってもらうしかない…)


「へっ。そうかよ。じゃあな。」


「あ、ありが…ヘブッッ!?な、何を?」


「アァ?殺すに決まってるだろ?」


(やはり、か…すまんな、二人とも…私は守りきれなかったらしい)


「一応、お前たちも殺せとは言われてるしな。何よりも、だ。

俺の親父と同じような糞野郎は大っ嫌いなんだよ!!」


「ガフッ!!」


(…いや、違うな)


「あ、あなた!!」


(…まだ幼い彼にに娘を任せたのだ…私…いや、俺も男だ。惚れた女は守らなくっちゃいけねぇな


無詠唱 伝言(痛覚なし、演技を、回復あり)自動回復・障壁 仮死 偽装 痛覚遮断 幻影…クソッMPが足りない!…なら、自動障壁解除 痛覚遮断から半減 伝言(痛覚半減、演技を、回復あり)


っと、これ以上は無理だ)


「はっ。こんな野郎は妻も糞なんだよ!!」


と言って、男は妻の指を切る…ちなみに、本当に指は切れている。

が、彼が見ているのは、妻の幻影である。さすがに、血などの匂いは幻影では誤魔化せないからだ。妻自身は今、部屋から逃げ出している。


(最後に見せたあの顔…何かをするつもりの目だった…止めてくれよ?頼むから)


「ハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ「お迎えに上がりました。…あなたはいつまで笑っているおつもりで?…というか、一人取り逃がしてましたし」っと。おろ?本当だ。すまねぇな。で、こいつ殺してもいいよな?」


!!!!!…妻が、妻が遅れてきた方の男に捕まっている…


「だめです…やはり来て正解でしたね…それで?アレは?」


「…」


(…妻のことは後だ。自分より娘を無事生き延びさせることを妻も望むはず)


「まさか取り逃がしたのですか?」


「そ、そんなわけないだろ?俺様だぜ?」


「では、どこに?」


「平原、そう!平原にいるってよ!!」


(そうだ…それでいい)


「どうやってあそこまで誘導したのかはわかりませんがあなたにしては頭を使いましたね。あそこは今、魔物で埋め尽くされていますからそのなかで何人かいなくなったとしても事故として処理されるでしょうから」


「え、あ。そ、そう。すべては俺の策略よ!!」


実はこの男、魔物の大量発生についてはなんの関わりもない。が、ここはそういうことにしなければならないため、騙されているとわかったものの、平原に行かなくてはならなくなっている。


「…そうですね。あなたはそのまま平原へ。私は御二方をあの方の元に連れて行きます」


「…こいつらを殺す時は俺にやらせてくれと伝えといてくれ」


「分かりました…もし平原におらずこの家にいた場合面倒なので、一度潰して確かめてみましょうか」


「あ?オメェ魔力探知できっだろ?」


「アレにはできないんですよ?できるなら生まれた瞬間に殺してます。まぁ、音での探知は出来ますからね。さすがにうめき声くらい出すでしょう」


「あーそういやそうだったっけか。面倒だねぇ」


「より面倒にした自覚、あります?」


「…」


「とにかくさっさと始末してくださいね?」


「お、おうともさ」


「では御二人こちらへ…【魔撃】」


男の放つ魔法はいとも簡単に家を壊す。


「【聴力強化】…いませんか…では何か、目印を…そうですねぇ、あ、そうだ。目印、目印ですよ。」


そう言って男は私の前に立つ。


「痛いでしょうが後で治療しますから…では」


(あぁ、ごめんよ。二人とも…私は、守りにれなかった…)





ゆうしゃは知らない。ここであった惨劇を。ここで彼らが味わった恐怖や苦痛を。


「…全くなんなんだよあの小僧は。俺の攻撃が当たりもしねぇ…適当に魔族とか言ったけど、そんなのいたっけか?あの小僧、それ聞いてすごく驚いてたが…とりあえず幻覚はかけておいたぜ。…オメェはちゃんと洗脳したんだろうな?あと、ちゃんと送り届けたんだろうな?」


「もとより我が主人が数百年前がからハーフが嫌われるように仕向けてきたのですから、する必要はないでしょう?それとも、信じられないとでも?」


「念には念をってやつだ。勘違いすんな」


「…では、アレがここに戻ってきた時用の罠でも仕掛けておきますか」


「まぁ、そのくらいが妥協点か」





「では」「おう」


「帰るとしますかね

      しょうか」


男たちは誰にも知られず、一つの『家』を潰して、帰還する。


彼らのそれぞれの依頼主の元へ…

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