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第三話カフェプラシッド

ずっと立ち話はなんだからと店主のような口調による橋本さんさんの提案で、早坂さんに席を案内してもらう事になった。


ちょうど店が空いていたので窓際の日当たりが良く人気だという席に案内してくれた。


「橋本さん。ここの店早坂さん以外に従業員っていないんですか?」


「従業員は渚しかいないな。この店は彼女のワンマンだ」


「へぇ〜それは立派ですね」


このカフェ意外と広さがあり、席もある程度の数が見えるが、この店をワンオペで営業するというのはとても簡単な事ではないだろう。


「なぁ高見澤ここのメニューちょっと変わってだな」


「何処がですか?基本的にごく普通のカフェの様なラインナップに見えますけど」


メニューに載っているのはコーヒーなどの飲み物類、やサンドイッチなどの軽食、デザートなど、また午前10時までのモーニングセットなんかも載っていた。この量をワンオペは俺の貧相な語彙力では、すごいという言葉以外出てこなかった。


早坂さん、年齢同じくらいに見えたけど実は年上なのだろうか。俺だったら今この店を経営しろって言われたら無理だもんな。


「メニュー表の一番後ろの右下にちっちゃく書いてあるだろよく見たら書いてあるから」


「最後のページの……右下……あった!」


本当に隠しメニューと書かれた欄が存在した。


そこには、1美味しく痩せられると私から専らの噂!ヘルシーセット。2タンパク質たっぷり!食べるだけで筋肉もりもりセット。3今日はチートデイ!?甘いもの詰め込みセットなどの個性豊かなセット名が3つ羅列されていた。


「これは個性的ですね」


「だろぉしかもこの2タンパク質セット美味しくタンパク質が取れるから昔からよく食べてるんだよ」


「へぇスポーツマン涙目ですね」



「俺は2タンパク質セットとウーロン茶にしようかな、朝来る時はモーニングもおすすめだぞ」


「じゃあ俺も同じのでお願いします、飲み物はアイスティーで」


「了解、渚ー注文決まったから来てくれー」


「今行きまーす」


メモを持って厨房から早坂さんが出てくる


「はい、ご注文承ります!」


「2を2つと、ウーロン茶とアイスティー頼む」


通の人はタンパク質セットを2って訳すのか……


「橋本さん!何度言ったらわかるんですか!2じゃなくてタンパク質たっぷり!食べるだけで筋肉もりもりセットですよ!」


ほっぺを膨らませて、地団駄を踏みながら、いかにもぷんぷんという効果音が聞こえてきそうな表情で橋本さんに向かって訴える早坂さん。


ここだけを切り取ると、とても子供(早坂さん)のわがままを聞く親(橋本さん)という構図が頭に浮かんでくる。しかしこのカフェのオーナーをしていると聞くと、そのイメージは吹き飛んでいく。


「長いから2でいいだろ」


「店長のこだわりなのにぃ」


早坂さんはしょんぼりしながら厨房に戻って行った。


数分経っただろうかすぐに橋本さんが2つトレーを持ちながら、厨房から姿を現した。


「はいこちらがタンパク質たっぷり!食べるだけで筋肉もりもりセットが2つと、ウーロン茶とアイスティーになりまーす」


ごゆっくりーと言いながらニコッと笑うその姿はとても可愛らしく見えた。

これが彼女のチャームポイントなんだろうなと密かに思った。


運ばれてきたトレーに視線を落とすと、三角のサンドイッチが2つ置かれていた。


「さぁ食べますか」


一つ手にとって食べてみると、卵と、ハム、レタスと鶏肉だろうか?味付けしてあってとても美味しい。


「うまっ」


「そうだろうとも、しかもこの飯でタンパク質が30グラム入ってるらしい」


「30!?それはすごいですね。しかもこのおいしさレベル違いますね」


「俺一押しの店の看板(裏)メニューだからな」


そこからは2人とも食べるのに夢中で一言も喋らずに、黙々と食べ続けた。


そして気づいた時には目の前からサンドイッチが無くなっていた。


「めっちゃ美味しかった……」


思わずそんな言葉が漏れ出てしまうほど美味しかった。

また時間があるときに来たいな。

少し食休みを挟んで俺と橋本さんは店を出る事にした。


自動精算機で会計を済ませて、「ご馳走様でしたー」と声をかけて、橋本さんに続いて出ようとすると、早坂さんに呼び止められた。


「高見澤くんちょっといい?」


「はい。なんでしょうか?」


「うちの店ね、見ての通りそんなに人来ないからさ、たくさんきてくれると嬉しいな!あとその敬語!私の前で禁止!わかった?」


「はい分かりましムグ」


「敬語禁止!」


「……わかったよ」


「よろしい」


とても満足げな彼女から太陽の様なスマイルを向けられて、やはり直視することが出来なかった。


俺は眩しいものが苦手なのかもしれないなぁと密かに思った。




お読みくださりありがとうございます

2人目登場しましたぁ

4人目は結構後になるかも……お付き合いください


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