06:夏の夜の出会い(その6)
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風使い、という言葉は信じるしかなかった。確かに、ルリが念じれば風が起こるのだ。風の強さはその時によって違うのだけれど、確かにルリの思いによって風は強くなったり、弱くなったりする。おかげでコナーはベリル美訓練のために風を呼ばなくて済んだし、ベリルはたっぷり風を捕まえる訓練をさせられた。アランはあいかわらずポ手歩手をルリの周りをあるきまわっては、風の強さい注文を出してルリの訓練にあたっていた。
「風は、武器にもなるし、盾にもなるんだよ。使い方によっては、自分を浮かせることもできる。とってもべんりなんだ。さぁルリ、もうちょっとでお茶の時間だから、あとひとがんばりしようね」
にっこりと笑いながら瑠璃をその気にさせて、アランは丘に吹く風をながめていた。
お茶の時間になると、サラ特製のサンドイッチがみんなにふるまわれて、和やかな雰囲気が三人と一匹を包んだ。
「緑ってきれいねぇ。気持ちが落ち着く」
「でしょう、私たちはこの緑の森を守っていくべきなんです」
「だからぼくがここにいるんだよ」
「俺、この前ハーブの摘み取りやったんだ。すっごい香りがよくてさ、気持ちよかったよ」
「ぼくもつきあったんだよ。ね」
「あぁ」
「今度はルリも一緒に行けるといいね」
「あ、あぁ、そうだな」
紅茶をごくんと飲み干してルリは一息つく。
「ねぇ、ここってどうして禁足地なの?」
素直な疑問をぶつけると、アランがぽてぽてと近寄ってきて、ぽふ、とルリの膝に乗った。
「この間もいったよね。ここを荒らされるのがいやだからだよ」
「それはどこの森でも同じじゃない? ここの森はどうして『見張りのいる森』ってわざわざ呼ばれてるのか興味あるの」
にっこり笑うルリに、アランはお決まりのきょとんとした顔を見せた後、
「仕方ないなぁ」
と言って笑った。
「ルリも知ってるでしょ。ここに水晶林があるからだよ。あれはめったにあるものじゃないから、人に知られたくないんだ。人に荒らされて、星くずがひとつも落ちてこなくなってしまった水晶林をぼくは知ってるから。それはひどい有様だったんだ。鉱石の気配ひとつない、草木も生えない、ただがらんとしている、ただそれだけの場所になってたんだ」
泣きそうな顔になったアランを、ルリはぎゅっとだきしめた。
「ありがとう、教えてくれて。あたしも一緒に守るからね」
「アランのあつめる星くずは、水晶の磁力に引かれて落ちてきます。だから、私たちのお茶会のためにも、水晶林は守らなくてはならないんですよ」
ウインクしながらコナーがルリにささやいた。
「うん、守るのね」
精いっぱいまじめな顔をして答えたのに、なんだかベリルに笑われたような気がして、ルリの機嫌は今ひとつだった。
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「あ」
いきなりアランが声を出したので、三人は驚いてアランを見た。
「変なのがきた」
そういってアランはいきなり頬を膨らませてむぅ、とおこりだした。
「水晶林ですか」
「そう、僕たちの水晶林だよ」
「人里からですかね。早速行ってみましょう。ベリル、私の『杖』を取ってきなさい」
ベリルが慌てて走り出すのを見て、
「あたしが水晶林に入ってもみんな怒らなかったのに、どうして?」
ルリには訳がわからない。
「ルリはいいの。でもね、今きてるひとたちはちがうんだ。はっきりと嫌な気配があるんだよ」
「ふうん?」
「ルリ、ここでのんびりしている暇はありません。すぐに行きますよ」
コナーは立ち上がった。




