15.おやつ抜き
「ときどきいなくなってると思ったら、そういうことだったんですねぇ、ハーリー?」
小屋への帰り道、空を仰ぎながらコナーがぽつりと言った言葉にハーリーは凍りついた。
「私たちの小屋が離れ扱いだとか、人間関係とか、よく知ってましたねぇ」
「えっ! あ、あのね、それはたまたまでね、ぼく、かよってなんかいないよ?」
「そうですねぇ、通わないとわからない話ばかりでしたねぇ」
「ぼ、ぼく……」
ぽくぽくぽく。のんびり歩くふたりと一匹の中で、ハーリーだけが小走りなのに、それだけでは済まない動揺があるらしく、明らかに挙動不審だ。
「なんですか?」
あくまでにこやかなコナーの態度に、ベリルがただ黙ってついていくのは、彼がおこっていることを確信しているせい。君子危うきに近寄らず。
「あ、あのね。ルリのおうちがどんなのか、みてみたかったの。ルリのそばにいたかったの。ちかいってきいてたから、すこしならだいじょうぶかなって」
「ほほう、森の住人である君が、人間の世界もよく知らないのに、ひとりで、でかけたんですね」
「ルリのあとをついていっただけだもん」
「その行為もどうかと思いますけどね」
気まずい沈黙が流れる。
「……ごめんなさい」
しゅん、とうなだれてハーリーが折れた。
「これからはかってなことしません。だれかにそうだんする」
「そうですね。君はまだ小さくて、なにが危険でなにが安全なのか、ちゃんとわかっていない。森の中ならなんとかなることでも、人間の世界とかかわるとまた事情が変わります」
「うん」
「私たちは君の味方だから、相談してくれれば悪いようにはしませんよ。だから、みんなを心配させるようなことはしないでください」
「はい。ごめんなさい」
「帰ったら、まずアランに謝りましょう。彼が一番心配してると思いますよ」
「はい。ごめんなさい」
「その気持ちを忘れないでくださいね?」
「はい」
あくまで諭すように、でもコナーの言葉はハーリーの心に深く響いた。
次の日から一週間、ハーリーがおやつ抜きになったのは仕方のないことだったといえるだろう。




