12.道中
先頭に立って歩くアランに、走るように追いかけていくハーリーはとてもかわいらしくて、さっきのことが嘘みたいだ。
「ルリ大丈夫? 元気がないね」
トーマが心配そうに話しかけてくれる。
「大丈夫。ただちょっとびっくりしちゃって」
「さっきの空気?」
「そう、なんだかみんなが怖かったから」
「ルリには、昔、いつまでたっても忘れられないくらい、とても怖い思いをしたこととか、どうしようもなく悲しかったことはない?」
「そこまですごいのはない」
「そこがみんなとの違いだよ」
「でもそれって、私が悪いんじゃないのに」
「そうだよ。そのかわり、これから経験するかもしれないことだよね。今はパパやママ、みんなに守られて怖い思いをしなくてすんでいるのかもしれない。でもいつそんな思いをするのかもわからない。ルリは優しいから、普通の人以上に傷つくかもしれない。その時のために、ここでみんなのことをよく見ておくのもいいんじゃないかな。ベリルだって、アランだって、ハーリーだって、誰も怒らないよ。ベリルは悲しくて怖い思いをしたみたいだけど、ちゃんと笑ってるでしょ? コナーがいてくれるおかげだよね。そんな風に誰かを支えてあげられるようになれたら素敵だと思わない?」
優しくさとしてくれる不思議な生き物。
「そうなれたら素敵だね」
「でしょう? ルリにもできるよ」
「でもあたしはまだまだ子供なんだなぁって、痛いくらいに思っちゃった」
「大丈夫、これからだよ」
「ありがとう、トーマ」




