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地底の未来  作者: Spumante Rock


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第24話 選択の朝 〜 心の隙間 〜

いつも読んでいただきありがとうございます。

討論会まで、後3時間…

出演者達が集まりはじめていた、

香坂はリストをホワイトボードに書き出した。


司会進行 石原 研二

〜 参加者 〜

①内閣総理大臣 芦田 さゆり

②芦田さゆり秘書 遠藤 渉

③国民自由党 橘 国政

④橘国政秘書 片山 洋介

⑤立憲国民党 木下 芳樹

⑥木下芳樹秘書 高村 彰

⑦平泉たかし秘書 高山 洋子

⑧JBSTVディレクター 香坂 ひろし

⑨富士山TV 安西 崇人

⑩NNT ディレクター 山崎 優作

⑪フリーアナウンサー 坂下 すず

以上 11名

準備は順調に進んでいた。



ー 鎌倉のカフェ早朝 ー


討論番組開始当日の朝

鎌倉のカフェで待ち合わせしていた

迅と梓

テレビは討論番組の告知はあるが、

波風を警戒してか最低限の情報しか開示されていなかった。


迅も梓も、討論会参加を熱望したが、

香坂にリスクしか無いと静止され、

結局は傍観者として見る事になった。


「歴史的な一日になる、、、」

迅は、コーヒーをテーブルに置いた。


介護施設の夜勤明けで、身体は正直重い。


それでも今日は、眠る気にはなれなかった。


「……すごい空気だな、いつもの街も違う空気が流れてる感じがする」

独り言のように呟き、画面を見る。


討論会・政治・社会、、

正直、これまでの人生で、深く考えたことはなかった。


自分にできるのは、

目の前の人と対話して、

今日を無事に終わらせることだけ…

だと思っていたからだ。


けれど今は違う。

「……梓?」

向かいの席に座る梓は、スマートフォンを握ったまま、画面を見ていなかった。


視線は宙に浮いたまま、

どこか遠くを見ている。


「大丈夫か?」


声をかけると、

梓は一瞬遅れて、はっとしたように返した。


「うん……ごめん。ちょっと考え事してた」

その笑顔は、いつも通りだった。


けれど迅には、

どこか無理をしているように見えた。


(最近、ずっとこんな顔だ)


討論会が告知されてから、

梓は眠りが浅いらしい、


「……怖い?」


何気なく聞いた言葉だった。


梓は少し考えてから、首を横に振る。


「怖い、っていうより……

 “間に合うのかな”って思ってる」


「何に?」


「人の気持ちが変わるのに」

迅は黙った。


政治の話だろう、と頭では分かる。


けれど、どこかそれだけじゃない気もしていた。

「俺さ…」

迅はカップを持ち上げながら、

ゆっくり話しはじめた、

「介護の仕事してるとさ…

限界まで行かないと本音を出さない人…

意外と多いんだよ…」

梓が、黙って聞いている。


「怒る前に、、泣く前に、、

 誰かがちゃんと話を聞いてやれたら、

 違う結果になることもある」

「でも現実は、間に合わないことの方が多い」

梓の指が、きゅっとスマートフォンを握る。


(……迅くんは、何も知らない)


そう思うと同時に、

胸の奥が少しだけ、温かくなった。


この人は、

正義とか、秩序とか、進化とか、

そんな大きな言葉を使わない。


ただ、

目の前の誰かのために生きている。


それが、梓には眩しかった。

「……でもね」

梓は静かに言った。


「間に合わなくても、

 “信じようとする人”がいるだけで、

 世界って、完全には壊れない気がする」


迅は、梓を見た。

「それ……推しってヤツだね」


梓は、少しだけ笑った。

「そうだね、」

「これからどうする?スタジオに行ってみる?」

迅は背筋を伸ばした。


「今日、何が起きてもさ……

 俺は、逃げないで受け入れようと思ってる」

梓の胸が、微かに揺れた。


「それ、どうして?」

迅は画面から目を離さずに答える。


「逃げたら、

 何が間違ってたのか分からなくなるから」


その言葉は、

梓の中で、深く静かに響いた。


(……それが、人間の強さなのかもしれない

リセットメモリーの意識体…)


彼女は、まだ答えを持っていない。


自分が何者として生きるのか。

どこに立つのか。


けれど…

少なくとも今、

この場所で、この時間を、

迅と同じ画面を見て過ごしている。


それだけは、確かな“選択”だった。

「スタジオに行来ましょう。

何か行動出来る事があるなら、

やってみるしかないよね。」


二人は席を立ち上がり、東京に向かった。


未来が揺らぐ感覚は、まだ来ていない。

だが、

何かが決定的に動き出す予感だけが、

確かに、そこにあった。


JBSテレビの入口で、

香坂に連絡した、

「香坂さん、局前に来たんですが

入れてもらえますか?」

迅が電話して、迎えに来てもらった。


「結局来ちまったのか…」

「すみません、居ても立っても居られなくて…」

香坂が小さな声で、

梓の耳元でつぶやいた…


「さっき梓ちゃんの友達の、蓮って奴に会ったんだけど…どんな関係なんだい?」

「いつ会ったんですか?…」

梓の顔から、笑顔は消えていた。

ここまで読んでいただきありがとうございました。


引き続き次回もお楽しみ、いただけると幸いです。

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