第13話 遮断された声 ― 封じられた真実 ―
いつも読んでいただきありがとうございます。
夜風が、途切れ途切れに吹き抜けていた。
桧山の状況は気になるが、一旦逃げるしかなかった、
公園のベンチに座る迅と梓は、
桧山から受け取った小さなSDカードを前に、息を詰めていた。
ノートパソコンの画面には、黒地に白い文字、
《パスワードを入力してください》
その文字列が、何度も繰り返し点滅している。
「……開かない。」
迅が苦々しく呟いた。
「データはある。でもロックされてるね、、、
桧山さん、パスワードを教えてくれなかったよな。」
梓は眉を寄せ、画面を見つめながら首を振った。
「もしかしたら、香坂さんにしか伝えてないのかも。」
沈黙が落ちた。
夜の静けさに、ノートPCの小さなファンの音だけが響く。
桧山は、あの時、
「迅くん、これを持って行って」
と、ただそれだけ言ってSDカードを託した。
そこには、何の説明も、暗号も、注意もなかったから、、、
ただ、桧山の目は、何かを訴えるように真っ直ぐだった。
迅は歯を食いしばった。
「……やっぱり、桧山さんは考えてたんだ。
俺たちに全部を背負わせないように、香坂さんと合流する前提で。」
梓が小さく頷く。
「つまり、私たちじゃこの中を見られない。
“鍵”は香坂さんだと信じよう」
二人は画面を閉じた。
夜風が再び吹き抜け、木々の間で落ち葉が転がる。
その音がやけに遠くに感じられた。
「……じゃあ、決まりだね。」
「うん?」
「香坂さんを探しに行こう」
迅が静かに言った。
「桧山さんの最後の意思を繋ぐには、あの人しかいない。
名古屋にいるなら、そこへ行くしかない!!」
梓は少し俯いて、そして顔を上げた。
「……私、未来を見ても無駄かもしれないけど、今なら分かる。
“ここで止まったら、桧山さんが悲しむ”って。」
迅が微笑んだ。
「今日はこの時間だと新幹線はもう無いから、一旦鎌倉に帰ろう!!」
二人は立ち上がり、夜の街を歩き出す。
通信網が断たれた世界は、タクシーも中々捕まらない、
――その頃。
片山洋介は、桧山の部屋に来た警察官を連れ、
警察署内の特別ブースでモニターを見つめていた。
彼の前に立つ警察官は、緊張に唇を固く結んでいる。
「片山さん……この映像、どうしますか?」
桧山がメディアにばら撒いた映像だった、
「全て回収しろ。」
片山は短く言った。
「各テレビ局に届いている“密告映像”も、だ。国民の目に触れる前に止めろ。」
警察官が無線で本部へ報告する。
--- 桧山が各テレビ局に送り付けた映像の回収に動いていた、
その時、無線越しに声が響いた。
『 片山氏の指示に従え。内閣機密情報室 』
警察官の顔に驚きが走る。
片山はわずかに笑みを浮かべ、モニターに視線を戻した。
そこに映るのは、桧山の部屋から押収されたノートパソコン。
彼はそのデータを見つめながら、静かに呟く。
「……桧山あかりの死を事故で処理しろ、
それから、香坂の殺害容疑で桧山あかりの逮捕状を取れ!!」
警察官は顔を見合わせ「え、、、いいんですか?」
「そのまま、被疑者死亡で終わらせろ」
彼が守ろうとするのは国家ではない。
正義でもない、
ただ、国仲あやの復讐を計画通りに進める事、
裏金と賄賂にまみれた政治家たちの名を晒し、
その混乱の中で“国を壊す”ことこそが、彼の最終目的。
通信網の遮断は、政府の“防御”ではなく、
片山の“準備”だった。
電波が戻るその瞬間、彼は芦田首相の報告放送をジャックし、
政治の裏リストと国仲あやの遺書を全国に流す。
そして、怒り狂った国民が政治家を襲う!
それが、片山の描いた“シナリオ”だった。
***迅と梓は
ようやくタクシーを捕まえ品川駅に向かっていた、、
タクシーのラジオが堅苦しく情報を発信していた、、
「あれ?ラジオはやってるんですね?」
運転手が優しい口調で
「同じ事ずーと話してて、なんも面白くないんですがね、、、」と、笑った。
すると、ラジオから・・・
【都内ホテルで香坂ひろし氏が殺害された事件の犯人が、
元富士山テレビ社員の桧山あかり容疑者と断定したものの、
今日21時頃、逮捕に向かった警察官から逃亡を計った容疑者でしたが、
逃亡途中階段から転落、死亡しました。
警視庁は被疑者死亡で詳しい経緯を調べています・・・】
迅が
「ありえない、、桧山さんは逃げる意思はなかった、
それに、明らかな銃声も聞こえたのに事故なんて、」
梓は黙って下を向いて座っていた、
ラジオは続けて
【明日 10時で通信遮断回復すると発表されました。
同時刻、芦田首相による緊急記者会見を行います。~】
「お客さん、到着しましたよ」運転手が振り向いた、、
2人はお金を払い、駅に入っていった。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
引き続き次回もお楽しみ、いただけると幸いです。




