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地底の未来  作者: Spumante Rock


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12/32

第12話 嘘の死、差し迫る声 ― 迫る足音と、届かぬ告白 ―

いつも読んでいただきありがとうございます。

じんあずさは、麻布十番の桧山のマンション前にいた、

マンション下で、震える手のまま警察官に止められていた。

呼吸は荒く、胸は高鳴る。周囲には数人の巡査が詰め、

取り囲んでいた、、、

「何やってるんですか?窃盗罪になりますよ、、、」


若い巡査の言葉は、どこか事務的で温度を感じない。

迅は必死に事情を説明するが、言葉は空回りする。


「いや、君たちの話しで証拠も無いのに警察だって動けないんだよ」

警察の目には、二人はただの盗難犯だが、警察官のファイルなんて

なんの価値もない、、、意味の分からない状況だった、、


二人がマンション前で言葉を交わしていると、、、

急に空気が震え、遠くの階段か廊下か、乾いた一発の音が街に響いた。

「パーン!!!」——短く、冷たい音。全員が上を見上げる。

迅と梓が顔を見合わせ

「え…まだ早くないか?」


巡査の顔が引き締まる。

「今のは間違いなく銃声だ!」後から来た巡査が無線で通報を入れる。


無線がつながるときだけ、世界は一瞬だけ機能を取り戻したかのように思えた。

「君たち、その部屋番号は?!」

「406です」迅の声は震えていた。

「隠れていなさい! 応援が来るまで決して動くな!」


二人は路地の影に体を潜めるように移された。

梓は警察官に近づこうとしたが、鋭く制された。


「来るんじゃない! 危ないから、隠れていなさい!」


迅は梓の手を強く引き、マンションの入り口が見える路地の陰へと身を潜めた。

梓は肩で息をしながら呟く。

「警察に近づけなかった……未来、見えてない。今の距離では見えないの……」


迅は俯き、静かに言った。

「仕方ない一旦逃げよう。僕らの未来は今からの行動で変えられる!!」


彼らは静かにしゃがみ込み、互いの存在だけを確かめる。

外では、援軍の足音が増え、数十の制服がマンションを取り囲み始めた。

上の階からは誰かの叫び声が響いた気がした。

遠くに、器具を壊すような金属音。


時間が重く、長く感じられる。


***迅と梓が出ていった後の桧山の行動

【桧山のメール送信トリック】


その日、桧山ひやまはひとつのメールを作成していた。

通信遮断下で送信はできないが、メールは送信待機の状態で保存され、

ネットが回復すれば自動的に送られるように設定していた、

彼女の指先は冷たく、画面の文字は震えていた。


~ 件名: 香坂へ(自動送信)~

香坂様

私からこのメールが届いた時、私はもう生きていないでしょう。

あなたには謝らなくてはいけない。勝手なことをしました。

ただ、他に方法が思いつかなかったのです。あなたの“死”を偽造するため、

私は富士山テレビの大金ひさしを殺しました。

死体をあなたと思わせるため、預かっていた服やスマホを使わせてもらいました。

スマホにはあなたの指紋しか付いていないよう、

注意していましたから警察もあなたの死と判断したようです、、

何故なら、あなたを狙って動いていた者たちを、

警察が事前に容認していたからです。

しかし、まさか日本の通信網を丸ごと遮断するとは予想していませんでした。

政治がここまで、国民のために動かないとは思わなかった。

あなたなら理解してたかもね、、、


――国民の困窮の中で、政治家たちは選挙活動に血道を上げる。

何のための政治なのか。日本の現状を思い知りました。

あなたの死の偽装は計画どおりでした。

けれど、後続の計画は実行できませんでした。

私は、あなたを殺したとライブ配信で告白するつもりでした。

その映像に国仲あやの遺書を重ねて、公にするはずでした。

撮影したSDカードは各テレビ局に郵送しました。

そして、原本データは迅くんに渡してあります。


可能な限り早く、国民に公開して下さい。

渡したSDカードはパスワードロックが掛かっています。


パスワードは:KnnkA8love


あとは、任せます。

(送信予約)

—— 桧山あかり


桧山はそのメールを送信予約に入れ、窓の外の空を長く見つめた。

送信が実行されるまでに、何が起きるのか。

彼女はそれを誰にも止められないことを知っていた。


扉が叩かれる音。

「開けろ! ここにいるんだろう!」誰かが叫んでいた ~~



そして、現在──

梓と迅は路地を走ってマンションから離れ、

角を曲がってもなお後方から警察の声が追ってくる。


迅が胸ポケットにしまったSDカード

桧山が渡した真実の鍵であり、同時に命の重さでもある。

「必ず戻る。桧山さんを、助けるんだ。」

迅の言葉は暗闇で震えた。

梓は答えず、ただ頷いた。二人の瞳には決意が燃えていた。


マンションの上階から再び物音がした。だがその音が銃声なのか、

壊れる家具の音なのか、二人には確かめる術はなかった。


夜風が通りを撫で、二人は走り続ける。

だが心のどこかで、ふと立ち止まる瞬間がある。

桧山の声であったかもしれない最後の言葉が、耳に残る。

「香坂を、頼むよ。」

二人はそれを胸に刻み、暗い夜へと消えていった。


遠く、警察のライトがマンションを照らし、

扉の向こうで何かが終わろうとしている。


~ 盗まれた鍵と、燃え盛る意思 ~


夜は冷たく、街灯が濡れた路面に細長い影を落とす。

迅と梓は息を切らしながら、路地の陰に身を潜めていた。

二人の胸には、まだ火のように熱い決意が燃えている。

桧山が生きているという希望は、彼らにとって灯火であり、

刺さるナイフでもあった。


「桧山さんは……きっと生きてる。

 あの人なら逃げる方法を用意しているはずだ」


迅はそう言って梓の手を強く握る。

梓は頷き、ポケットの中のSDカードに触れた。

桧山が渡した小さな金属片は、今や三人が共有する唯一の“証拠”であり、

最後の切り札だった。

「まずは、香坂さんを探そう。彼が名古屋にいるって分かったんだ。

 そこで合流できれば道は開ける」


迅の目は真剣だった。梓もまた、未来をただ眺めるだけの存在から、

今を動かす者へと変わっていた。


二人は身を低くして移動を始める夜風を裂く足音の中で、

世界が少しずつ現実の形を取り戻すように感じた。


***麻布十番の古いマンション 桧山の最後・・・


406号室の扉の鍵が、静かに回る。

片山洋介は、黒いコートの襟を立て、

無駄な音を立てずに部屋に入ってきた、

数名の男がドア前に待期しているとわかった、

彼の目は冷たく、目的だけを見据えていた。

桧山は逃げられないと理解した、


桧山はテーブルに座り、白い息を吐きながら片山を見た。

その目は、恐怖でも後悔でもなく、ただ一点の確信で満ちている。

片山はすぐに理由を告げた。


言葉は低く、明瞭だ。

「君は余計なことをした。君のやり方はあまりにも危うい。」

「あなたもそんなに変わらないわよ。」桧山の声はかすれていた。


片山は淡々と歩を進め、桧山の机の上のノートパソコンをひょいと掴む。

画面は暗い、、彼の手は慣れている。

データの保全と奪取が同時にできるよう、先にSSDを外す仕草も見える。


「君は、あやの遺書と裏金の全貌を手にしている。

 だが、それを世界にばら撒くつもりか?」片山が言うと、

桧山の顔が強ばる。

「私は、彼らに真実を見せたかっただけ」

「真実? 君がやったことは一つの意思の行使だ。

だが、政治を変えるにはもっと根の深い手段が要る。

君のような方法では、体制はびくともしない。」

片山の表情がさらに冷たくなる。


彼は、桧山が持っていたUSBやSSD類を次々と懐に入れていった。

パケット級のデータ、編集済みの映像、未公開の遺書スキャン、

政治家の名と金額が記されたリスト


——それらは今や片山の掌の中に吸い込まれた。


「貴女の“正義”は私が使う。」片山は静かに言った。


彼の視線には狂気めいた確信が宿っている。

桧山は腹をかきむしるように顔を背ける。

だが指先は震えなかった。


やがて、片山は冷たい声で告げる。

「私は、あやの復讐を私物化する。

橘を落とすなどという生易しい目的ではない。

政治家という“餌”を一匹ずつ狩る。

通信網を遮断したのは、そのためだ。復旧させる瞬間を私は待っている。

国民の目が一つの点に集中したとき、電波を奪い、真実を一斉に流す

――そして、混乱の中で、手当たり次第に“裁く”。」


片山は低い笑みを浮かべる。

「住所も、行動予定も、金の流れも、全てリスト化してある。

放るのは一瞬だ。

テレビスクリーンを一本、その瞬間のための斧に変えるだけでいい。」


桧山の瞳に、初めて本気の恐怖が宿る。

だが次の瞬間、片山はためらいなく行動に出た。


短い格闘の後、銃声が一発、低く、確かな音で部屋に落ちる。

桧山は膝を崩し、血が白いシャツを染める。

片山は冷たく手早く、残っていた機材をバッグに詰めていった。


「これで全て始まる。君の“罪”も、私の“正義”も、同じ炎の中だ。」

そう言い残して、片山は暗い夜の廊下へと消えていった。


鍵を掛ける音も、誰かの影を気にする素振りもない。

まるで既にこの国を見下ろす高みにいるかのような足取りだった。


その知らせは、迅と梓にはまだ届かない。


二人は名古屋行きのルートを調べ、協力者を探し、

SDカードを開けられる端末を求めて夜の駅前を歩いていた。

だが、手にしたカードはただの金属片であり、

肝心の読み出し端末は手元にない。

彼らは時間に追われ、過去を取り戻す術を失いつつあった。

梓は夜空に呟く。

「桧山さん、生きてて……」

だが、その名は風に消え、返事はない。


ポケットの中でSDカードが冷たく、重く感じる。

彼らは走り続けるしかなかった。

真実を開く鍵は、既に他の誰かの手に渡ったのだという現実を、まだ知らぬまま。

街のどこかで、片山は計画の次の段階を練っている。

国の電波を待ち、そしてその瞬間に、すべてを裁くつもりだ。

彼にとってそれは“浄化”であり、彼の世界では正義だ。

だがその正義は血塗られた扇動に過ぎない、、、


――やがて誰かが、その代償を払うだろう。

夜は深まる。二人の影は、無数の窓の灯りに溶けていった。

ここまで読んでいただきありがとうございました。


引き続き次回もお楽しみ、いただけると幸いです。

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