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地底の未来  作者: Spumante Rock


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10/32

第10話 静寂の火消し ― 今を確かめるために ―

いつも読んでいただきありがとうございます。

JBSテレビ介護ドキュメンタリーの放映が終わった翌日も,

1日中スタジオ内は緊張の残響に包まれていた。

突如差し込まれた“謎の映像”

――

平泉に札束を押しつける橘の姿・・・

翌日もニュース番組の話題はこの話題に集中していた、、、


視聴者のSNSは、一瞬にして騒然となる。

「#平泉を脅している橘」「#これは捏造か」「#報道局買収」

そして、放送中に流れた速報

番組ディレクター香坂の死が告げられてからわずか20分後――

全国のSNSが一斉に沈黙した。


【通信障害発生:政府、サイバー攻撃の可能性を発表】


通信事業大手3社の回線は、

“セキュリティ強化”の名のもとに停止された。

ネットは閉ざされ、言葉は消えた。

永田町・国会議事堂地下会議室

報道の余波は、政治中枢を直撃していた。


内閣の緊急対策本部――


会議室の中は、怒号と焦燥に満ちていた。

「誰があの映像を流したんだ!」

「橘派か?それとも外部ハッカーか?」

「国民自由党の支持率が30%以上落ちてる!」

芦田総理は、深く頭を抱えていた。

かつては“国民に寄り添う総理”と呼ばれた男

橘国政の姿は、

もはや信頼を取り戻す術を失っていた・・・


「橘先生、、全てフェイク映像だと発表しましょう。」

沈黙を切ったのは――片山洋介だった。


黒いスーツに冷たい眼差し。

彼の声は、妙に落ち着いていた。

「SNS遮断は“サイバーテロ対策”として国民に発表します。

 通信遮断を一時的に行うことで、国家混乱を抑制できる。

 そして、“映像の出所は国外”ということにすればよい。」


橘は片山の言葉通り発言した、、、

数名の議員が顔を見合わせる。

「国外……つまり外国勢力の関与に?」

「その方が世論がまとまる。敵が明確なら、民意は揺れない。」

芦田は、長い沈黙のあとで頷いた。

「……報道統制を強化してください。」

片山の口元が、かすかに歪んだ。

まるで、その瞬間を待っていたかのように。



夕方の帰路

JBSの現場を後にした梓と迅は、

駅に向かう途中

迅:「少し気になる事があって、、、桧山さんの事なんだけど、、、」

梓が小さく首を傾げる。

「私も気になってた、、今日途中で姿を消してるよね?」


迅:「少し様子がおかしかったから、、、」

梓が立ち止まって、

「……私の能力なんて、何の役にも立たない。」

「そんなことないよ。」

「今まで、あずさに何度も助けられた。」

梓は首を横に振る。

「違うの。未来は変えられるけど、過去は変えられない。

 私は“見える未来”に甘えてた。

 見えないものを、見ようとして、今を見てなかった、、、」

「……桧山さんの事?」

「うん。

 人の未来なんて変えられない。

 自分の未来すら切り開けないのに、

 他人を動かそうなんて、おこがましいよね。」

彼女の瞳には、涙が滲んでいた。

「香坂さんと、もっと話せば良かった。

 桧山さんとも、もっと会話しておけば……。

 “今”が1時間後になるなんて、考えもしなかった……。」

迅は黙って頷いた。

梓の横顔を見ながら、

彼もまた、自分の“選ばなかった未来”を思い出していた、


迅:「今から桧山さんに会いに行かないか・・・?」


梓は少しほほ笑んで、、「うん」とうなずいた。


---------------------------------------------------------


その頃---国会周辺


報道規制が本格化し、国会前には報道陣すら立ち入れない。

記者証を掲げる人々を警備が押し戻す。

外では国民が不安の声を上げ、

内では政治家たちが“現実の修正”を話し合う。

そして、

その会議室の中央で、片山洋介が再び発言した。


「橘議員の失脚は避けられません。

 ですが、これは逆に好機です。」


「好機?」


「ええ。橘が“被害者”であると同時に、

 “国家を守る政治家”に立ち返らせる。

 我々がフェイクの元凶をでっちあげ、

 それを橘が“暴いた”形にすればいい。」


議場にざわめきが走る。

芦田も、橘も、

その言葉に一瞬、希望のようなものを見た。


だが、それは――

片山の描くシナリオの、まさに第一幕だった、、、



政治は混乱を極め、通信は遮断され、真実は声を失った。

そして、誰も気づかない。

 “この静寂こそが、最も巧妙な支配”であることを。



日本という国の“通信の音”が途絶えた・・・


SNSは遮断され、主要メディアは沈黙。

インターネットは不安定で、

ニュースアプリは同じ見出しを繰り返すだけだった。

「サイバーテロによる通信障害。

政府は安全確保のため、一時的なネット制限を実施しています」

各社テレビ局の報道にも規制が掛かり、

を読み上げるアナウンサーの声さえ、どこか機械的に聞こえていた。


----------------------------------------------------------------


梓と迅は千代田線に乗り込み西麻布に向かっていた、

運行ダイヤは乱れていた、


梓と迅は、車内で向かい合って立っていた

車内には、スマホを見下ろす人の姿が一人もいない。


誰もが静かに座っていた、ただ“考える時間”を取り戻した様に見えた

「変な感じだね」と迅が言う。


「人の顔をちゃんと見る電車なんて、久しぶりだ。」

梓は静かに頷いた。


「……人は、便利になりすぎて、

何かを感じる時間を失ってたのかもしれないね。」

迅が微笑む。


「らしくないね、哲学的で。」

梓は少し俯いて、指先を重ねた。

「ううん、違うの。

この1週間ずっと考えてたの。

私、未来を“見よう”とばかりしてたけど……

大事なのは、“今”を確かめることだった。」

迅は真剣な眼差しで彼女を見る。


「香坂さんのこと、まだ……」

「うん。」


梓は小さく息を吐いた。

「未来を見ても、助けられなかった。

でも、今の桧山さんの言葉なら、確かめられる。

あの時、何を信じて動いたのか。

それをちゃんと、聞きたい。」


「さあ、国会議事堂前で乗り換えだ、、、」

2人は南北線に向かって歩きだした、


-----------------------------------------------


都内・麻布十番


桧山が暮らすマンションの一室。

カーテンは閉じられ、机の上には

放映された特番のディスクが並んでいた。


玄関のチャイムが鳴る。

桧山は一度、深く息を吸って扉を開けた。

梓と迅が立っていた、、


「……梓ちゃん、それに迅くんも。」

「ごめんなさい、突然。」


迅が軽く頭を下げた。


「どうしても、聞きたい事があって。」

桧山は微かに笑みを浮かべる。


「分かってる。入って、、」


彼女の目の下には、眠れていない跡があった。

その手は震えていたが、

どこか吹っ切れたような静けさもあった。

「香坂さんは……」

梓が口を開く。


桧山は静かに首を振った。


「違う。彼がいなければ、この真実は誰にも届かなかった。」


「でも、片山が持ち込んだ映像が放送されたんです。

結果的に、香坂さんを利用した形になった……」


「分かってる。」

桧山は小さく目を閉じる。


「けれど、香坂さんは覚悟してた。

“俺が囮になるなら、それでも構わない”って言ったの。

あの人は、報道の原点を思い出させてくれた。」


梓の胸に、熱いものが込み上げた。

その瞬間、視界の端に微かな“ノイズ”が走る。


未来が、わずかに見えた。


――桧山の背後のテレビ画面が突然点灯し、

ニュース速報の赤文字が流れる。

「JBSディレクター・香坂一真氏 

 殺害容疑者 元富士山テレビ女性記者を重要参考人に捜査――」


そこまで見えて、映像は途切れた。

梓は息を飲む。


部屋に、重い沈黙が落ちた。

「結局、こうなるのね……」


桧山の声は震えていた。

「彼を守るために嘘を重ねたのに、

その嘘が、また誰かを傷つける。」


梓は、涙を堪えながら言葉を紡ぐ。

「未来は変えられる。

でも、過去を受け入れないと、何も進まない……

桧山さん、これからは“今”を考えましょう。」


その言葉に、桧山はゆっくりと顔を上げた。

彼女の瞳には、かすかな光が戻っていた。

「そうね……ありがとう、

梓ちゃんはどこまでわかってるの?・・・」

ここまで読んでいただきありがとうございました。


引き続き次回もお楽しみ、いただけると幸いです。

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