30話 知るに値する者…
いつも読んでいただきありがとうございます!
少しでも「面白い!」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、ブックマークや評価、感想をいただけると、とても励みになります。
皆さんの応援が執筆の原動力です!
これからも楽しんでいただけるよう頑張りますので、よろしくお願いします!!
シンとアルはリア達と分かれ、冒険者ギルドへと入った。
「お前らどうしたんだ?」
シンとアルに話しかけたのはガイだった。
「逆にガイはなんで冒険者ギルドにいるの?」
「迷った…」
「はぁ…屋敷までの道ぐらい覚えておけ…」
アルは呆れながら言った。
「それでお前らはなんでここに?」
「パーティーを作ろうかなって」
「おお!いいな!」
「でしょ!」
「パーティーを組んでどうするのですか?」
「どうするって…」
「決まってんだろ…」
「「かっこいいから!!」」
シンとガイはドヤ顔で言った。
「はぁ」
アルは呆れながらシンとガイとともにギルド職員にパーティーを作りたいことを話した。
「パーティーを結成するには、全員の冒険者ランクがB以上ではなければなりません」
「なぜなんですか?」
疑問に思ったシンは職員へと尋ねた。
「冒険者になったばかりの方だと仲間を手にかける者がいるかもしれませんので、信用できるかを判断しているのです」
「なるほど安全のためなんですね」
「はい」
(そういえば僕達ランクアップしたことないな〜)
「あの〜冒険者ランクの確認てできますか?」
「冒険者カードをお借りしても?」
「どうぞ」
シン達は職員にギルドカードを渡し、職員は近くにあった玉にギルドカードをかざした。
「おめでとうございます。ランクアップされています」
「「おお!」」
職員の言葉にシンとガイは喜んだ。
「シン様はCランク、アル様とガイ様はDランクです」
シン達はランクアップしたギルドカードを受け取った。
「Bランクまでもう少しだ!」
「明日ダンジョンに行こうぜ!」
「いいね!」
シンとガイは期待の眼差しでアルの返答を待った。
アルは二人の期待に満ちた表情を見て、やれやれと肩をすくめた。
「はぁ…二日だけですからね!」
「わかってるって!」
「楽しみだぜ!」
そう言って三人は冒険者ギルドで携帯食を購入し、屋敷へと帰宅した。
翌日の早朝にシン、アル、ガイは武器を携えて屋敷から出て庭を歩いていた。
「ウォン!」
ハクがシンに駆け寄ってきた。
「ハク、ダンジョンに行ってくるね」
「ウォン!」
シンが門へと向かおうとすると、ハクがシンのズボンを口で噛んで止めた。
「どうしたの?」
「ウォン!」
「着いてきたいの?」
「ウォン!」
「う〜ん」
シンは困った表情を浮かべた。
「シン様、ハクは首輪をつけていますので他の冒険者に出くわしても襲われません」
「なら連れていこうか」
「ウォン!」
そうして、シン達はハクを連れてメーティスの中心にある塔に到着した。
「ここの中にダンジョンがあるんだ…」
シンは聳え立つ塔を見上げる。
「お!やっときたね」
そのとき、ある者がシン達を待ち構えていた。
「アーサー?」
「こいつが昨日言ってたヤツか?」
待ち構えていたアーサーを見て、シンとガイが言った。
「まさか、着いてくる気?」
「もちろん!僕は魔法を使えるから役に立てるよ?」
「信用できません、魔法ならシン様が使えますので」
「でも、使える属性は限られているでしょ?」
「たしかに、僕は火、水、風、氷の四つの属性スキルしか持ってない」
「いや、すごいね…」
シンが使える属性を聞いて、アーサーは顔を引き攣らせていた。
「で、お前はなんの属性が使えんだ?」
ガイはアーサーを警戒しながら聞いた。
「少しは信用してよ…これでも王子だよ?」
「王子でも変人やアホはいますから」
アルはそう言いながらシンとガイを見た。
「変人って…」
シンは顔を引き攣らせ、ガイは不満げにアルへ食ってかかった。
「誰がアホだ!」
「事実でしょう」
アルは涼しい顔で言い返した。
「ねぇ〜お願いだよ〜連れてって〜」
アーサーはアルとガイが言い争っている隙にシンへ近づき、両手を合わせて懇願した。
「なんでそんなに仲間になりたいの?」
シンは困ったような表情を浮かべ、アーサーに尋ねた。
「それはね…」
アーサーは先ほどまでの軽い雰囲気を消し、神妙な面持ちで口を開いた。
「シンの仲間になれば国王にならずに楽できるから!」
アーサーは真顔で言い切った。
「「「は?」」」
シン達は揃って固まった。
「僕、めんどくさがり屋だから、シンの仲間になれば安泰だし〜シンに仕えてもいいかなって思ってるし〜」
「なんで安泰だと思ったの?」
「シンって冒険好きでしょ? じっとしてるのとか無理そうだし、きっとダンジョンに潜りっぱなしになると思ってね。僕は魔法を使うのが好きだし、報酬も貰えるし、一石二鳥!」アーサーはにかっと笑い、親指を立てた。
「当たってますね」
「今もこうしてダンジョンに潜ろうとしてるしな」
アルとガイは揃って頷いた。
「皆で決めたことでしょ!?」
シンは声を上げて弁明したが、アーサーは聞いていないかのように話を続けた。
「だから〜仲間にしてよ〜」
「う〜ん、じゃあ今回はお試しってことで…」
シンは観念し、アーサーの同行を認めた。
「やった〜!」
アーサーは両手を上げて喜んだ。
そうして、シン、アル、ガイ、ハク、アーサーのメンバーでダンジョンへと潜ることになった。
シン達は塔の門を守る騎士に話しかけた。
「ここにダンジョンがあると聞いたのですが?」
「失礼ですが、ギルドカードを拝見してもよろしいでしょうか?」
そう言われシン達は騎士にギルドカードを見せた。
「確認しました。左の扉に入ると【浮空のダンジョン】へと続く階段があります」
「ありがとうございます」
「お気を付けてください!」
シン達は騎士に見送られながら扉を開けて中に入り、階段を降りていった。
―――――――――――――――――――――――――
シュトラス国王城の執務室で苦悩するものがいた。
「バボロ国が一夜にして滅んでしまったとは…」
ウィルは手を合わせ、考えた。
「人為的なのは確実だ、バボロ国や周辺国にはダンジョンや魔物出現は少ない…【アビス】か?」
ウィルは地図を広げた。
「バボロ国王は穏やかな方だった、隣国との関係も良好だったはずだ…だとするとこの国か…」
ウィルはビビンバ国を指差し、顔に怒りを滲ませた。
「ナガリオに飽き足らずバボロを滅ぼした訳か…小国とはいえ多くの人々がいた…アンデットが生まれた可能性が高い、下級はないとしても中級だといいのだがな…」
ウィルは椅子から立ち上がり窓から活気のあふれる街を見る。
「いつの時代も争いが絶えん…」
ウィルは悲しげな表情を浮かべた。
「ドン・ビビンバ、そんなにも我が国と戦争がしたいのか…人々を害する存在なら容赦せんぞ」
そう言ってウィルは天を睨んだ。
―――――――――――――――――――――――――
シン達はしばらく階段を降りていくと石造りでできた広場へとたどり着いた。
「下り階段があるね」
「でっけぇー扉もあるぞ?」
広場には下へ続く階段と巨大な扉があった。
「あんなに大きいと開けられそうにないね」
「では階段を進みましょう」
そう言ってシン達が階段へ進もうとしたとき扉が動き出した。
ゴゴゴッ
「ここが一階層なの!?」
シン達は武器を構えた。しかし、現れたのはシンの知り合いだった。
「私だ」
「カイルさん!?」
扉から現れたのは神竜族である青竜のカイルだった。
「久しいな」
「僕が赤ちゃんのとき以来ですね」
「うむ、娘とはどうだ?」
「娘?」
「言われておらんのか?リーシアは私とサラマの子だ」
「そうだったんですか!?」
「うむ、リーシアをよろしく頼む」
カイルは竜の姿で頭を下げた。
「はい、もしかしてここが竜域ってやつですか?」
「メーティス全体が私の竜域だ」
「その竜域とは何ですか?」
「竜域は神竜族にはなくてはならないものなのだ、人からすれば空気と同じだ」
「スカイさんとリーシアは割と長い間竜域を離れていましたよね?」
「神竜族は神と対になる存在だと言ったな?」
「はい、あのときは話してくれませんでしたよね?」
「多少なら話してもよかろう」
「ありがとうございます」
「神はいわば精神体なのだ」
「実体がないのですか?」
「うむ、だから神は自身が作り出した神域にいる」
(あそこは神域だったのか…)
「神竜族も精神体のようなものなのだ」
「ようなもの?」
「私達は実体があるだろう」
「なるほど」
シンは納得したようにカイルの足に触れた。
「神竜族は竜域外では時間が経つにつれて実体が保てなくなるのだ」
「なるほど、リーシアがここにいても大丈夫なんですね」
「うむ」
「竜域は作れるのですか?」
「神にしか無理だ、それに加えて今は神は竜域を作ることができない」
「なぜです?」
「…いずれ分かる」
「…分かりました」
(知りたいのになぜか皆は教えてくれない…なにか理由があるのか?制約に関係するのか?)
「他に聞きたいことはあるか?」
「リーシアとは竜域外では暮らせないんですよね?」
「シンがリーシアをテイムすることで竜域外でも活動できるぞ」
「そうなんですか!?」
「うむ、だが今はやめておけ、リーシアは自分の力を抑えることができない」
「力が抑えられないとどうなるのですか?」
「当然シンが死ぬ」
「マジか!?」
「それほど危険なのだ」
カイルはある者を見たがすぐに視線をシンに戻した。
「他に聞きたいことはあるか?」
「最後に1つ、神が神域を出るとどうなるのですか?」
「当然死ぬ、神は全能ではない」
「神はこの世界を管理してるのでは?」
「違う、神とてこの世界の全てを知っているわけではない」
「では、神とは何なのですか!」
シンは声を荒らげてカイルへと聞いた。
「……」
カイルは口を閉ざした。
「なぜ話してくれないのです!」
「シン、お前はまだ知るための器ができておらん」
「知るための器…」
「神の後継者だからといって全てを教えてもらえると思ってはいけない、自分が知るに値する者かを成長して証明せよ!」
「知るに値する者…」
(カイルさんの言うとおりだ…強くならなければ知りたいものも知れない!)
「分かりました!僕は強くなります!いつか知るに値する者だと証明して見せますよ!」
「アハハハハ!その意気だ!そのときを楽しみに待っておこう!」
カイルは笑みを浮かべながら言った。
「だが、無理は禁物だぞ!」
「はい!」
「では気をつけてな」
「それでは失礼します」
そう言ってシン達は階段を降りるのだった。
カイルはシン達を見送り、呟いた。
「なるほど…たしかにあの方のお子だったな…シンは今代の神よりも遥か上の存在に至れるかもしれぬな…サラマの言うとおりやっと希望が現れた…」
カイルはそう呟き扉へと戻ったのだった。




