↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
30/34

28話 キャーーーッ!!

シン達は寝巻きに着替え、ダイニングに集まっていた。

「それじゃ、おやすみなさい」

「うん…」

シンはアルとガイとともに寝室へと入った。

「僕窓際のベッドね〜」

「俺真ん中〜」

「今から何が起こるか分からないというのに呑気ですね」

アルは無邪気にベッドにダイブしたシンとガイを呆れた表情で見て言った。

「現実逃避さ…」

「忘れようとしてんだ…」

「そうですか…」

三人は寝室内にある複数のベッドの中から選び、ベッドに入った。

「ランタンは消さないで置こうか…」

「ですね…」

「だな…」

三人は何度も扉へ視線を向け、落ち着かない様子だった。

コンコン

寝室の扉がノックされた。

「誰だろう?」

「三人で出ましょう」

「アルは三人一緒にいたいのか、アハハ!」

「では、あなたはそこにいなさい」

「…俺も行く…」

シン達は顔を見合わせ、小さく頷いた。恐る恐る扉を開けると、そこには誰もいなかった。

「え!?」

「今鳴ってましたよね…」

「今の一瞬でどっか行ったんじゃねぇか…」

三人は廊下を見渡した。

「もしかして…後ろにいたり…」

「まさか…」

「何もねぇよ…」

三人が同時に振り向くと、着物を着た肩までの黒髪の少女がベッドに腰掛けていた。

三人は目を見開き、思わず飛び上がった。

「「「キャーーーッ!!」」」

三人の悲鳴が屋敷内に響き、リア達が部屋へ入ってきた。

「どうしたのよ?」

「女性の悲鳴みたいでしたけど」

リアとセリーが呆然と立ち尽くす三人に聞いた。

「い、い、いたよね!?」

「いました」

「座ってたよな!?」

三人は消えた少女のことを思い出し、顔を見合わせた。

「リア、ここだけはやめよう」

シンは真剣な表情で言った。

「説明してちょうだい」

シンは駆けつけた皆に今起こったできごとを説明した。

「あなた達の叫び声から本当にいたのね…」

「だからこの家だけはやめよう!」

「半壊の家で決まりだぜ!」

「でも、あなた達無傷じゃない」

「「「え?」」」

「無害ってことでしょう」

リアはそう言って女性達と部屋を出て行った。

「嘘でしょ…」

「さすがに酷いですね…」

「鬼畜女が!」

三人はそう言いながらもベッドへと入った。

「「「……」」」

三人は怖くて目を閉じることができなかった。

「ベッドをくっつけようか」

「そうしましょう…」

「賛成だぜ…」

そう言って三人はベッドをくっつけて眠ろうとしたが、恐怖で眠ることができず朝を迎えた。

「ちょっと、あなた達隈がひどいわよ?」

シン達がダイニングに入るとリアがそう言った。

「眠れなかった…」

「ここに住むなど無理です…」

「寝不足で死んじまうぜ…」

三人の目の下には濃い隈ができ、肩を落としてふらふらと椅子へ腰を下ろした。

「……なの」

そのとき、ダイニングに声が響いた。

「ひぃ!」

「誰の声ですか?…」

「知らないヤツの声だったぞ…」

その瞬間、シン達が見た少女が姿を現した。

「この子だよ!」

シンは少女を指差した。

「普通の女の子にしか見えないわよ?」

少女はセリーの胸に飛び込んだ。

「セリーなの!」

「ワラちゃん!?」

「セリー!オバケに知り合いがいたの!?」

「ワラちゃんは私が小さな頃にシュトラス国の城に住んでいたんです」

セリーはワラという少女を抱えながら言った。

「え?セリーって何歳なの?」

その言葉にダイニング内が凍りつく。

「シン様、女性に年齢を聞くなど失礼ですよ」

セリーはシンに向かって冷たい声で言った。

「ずびませんでしだ…」

セリーは怒りを沈めて言った。

「ワラちゃんは妖人族で長命種なんです」

「妖人族って?」

「妖人族は妖力から生まれた種族の一つなのです。妖力とは魔力と似た力のことです。妖力を持つのは【妖人族】【妖獣族】【妖魔族】です」

「じゃあ、僕らは使えないんだ」

「いえ、妖力を目覚めさせれば可能です」

「使えるの!?」

シンは目を輝かせた。

「まだ、シン様には早いです」

「ええ〜〜」

シンが残念がっていると少女がシンを見つめていた。

「お主、何者なの?」

少女はシンに向かって尋ねた。

「何者って言われても…う〜ん」

(神の後継者?王子?転生者?冒険者?そうだな…僕はダンジョンに潜ったり魔獣なんかを倒してスキルを入手したい…)

シンは閃いたように言った。

「僕は攻略者だよ!」

「「「………」」」

シン以外の全員が不思議な物を見るような目でシンを見た。

「もしや、お主日本人なの?」

「え!?」

「…」

ワラはシンの周りをゆっくり歩きながら、じっと見つめていた。

「お主の目標はなんなの?」

ワラは真剣な眼差しでシンに向かって言った。

「みんなを守りたい」

「そのためにどうするなの?」

「強くなる」

「大雑把なの…明確な目標にするなの」

「え〜と…」

ワラに問われシンは考えた。

「明確か…冒険者ランクを上げるとか?」

「まずはそれがいいなの」

「はあぁ…」

「今のお主では守れないなの、この世界は絶望に満ちてるなの」

「絶望に満ちてる?」

ワラの言葉にダイニング内の雰囲気が重苦しくなった。

「今は制約があるなの、でも永遠ではないなの」

「その制約ってなんですか!」

「そこまでです!」

セリーが声を上げて会話を止め、ワラを見つめた。

「なるほどなの、この話は終わりなの」

「分かったよ…」

シンは腑に落ちないまま頷いた。

「お主、名はなんなの?」

「シンです」

「妾は、ワラなの」

「よろしくお願いします」

「うむなの、それでシン達はここに住むなの?」

「うん、ダメかな?」

「条件があるなの」

「条件?」

「妾をシンの従魔にするなの」

「僕はいいけど、ワラはいいの?会ったばかりだし」

「妾は戦うのは苦手なの、でも、護るのは得意なの、シン達の帰る場所は妾が護るなの」

「これからよろしくねワラ!」

「よろしくなの!」

シンはワラに自分の血を飲ませた。同時に眠気がシンを襲った。

「忘れてた…」

バタン

シンが目覚めたのは翌日だった。

(体が重い…)

「重い…」

「重くないなの!」

ワラが頬を膨らませていた。

「ワラ、僕が寝てからどのぐらいたったの?」

「一日経ったなの」

「一日も眠っていたのか…」

(魔力量を増やしたいな…)

「シン、朝ごはんなの」

「それで起こしに来てくれたんだね、ありがとう」

シンは膝に座るワラの頭を撫でた。

「嬉しいなの〜」

「それじゃ行こうか」

「うんなの」

ダイニングにはアル、リア、ヨミとメイドの三人がいた。

「やっと起きたのね…」

「目の前で倒れた時は心配したんですよ!」

リアとヨミが安心したように言った。

「シン様!テイムするときは相談してください!」

「ごめんよ〜仕方ないじゃん!忘れてたんだもん!」

そう言っているとシンの杖からリリが飛び出てきた。

『……』

ポコポコポコポコ

リリは怒りを露わにしながらシンの頭に乗り叩いた。

「イタタッ!イタタ!ごめん!次はリリをテイムするから!」

『……』

ジーッ

「うん、約束するよ」

『……』

リリは満足したように杖に戻った。

「相変わらず騒がしい子ね」

リアは少し拗ねていた。

「騒がしいって喋ってないじゃん」

「行動よ!」

「行動って…あぁ、あのことまだ怒ってるの?」

「当たり前よ!」

「頬なんだからいいでしょ?」

「あなたには婚約者がいるのよ!」

「すみません…」

「分かればいいのよ」

そう言ってリアは怒りを収めた。

「そういえば他の皆は?」

「買い物よ」

「そっか、僕らはどうする?」

「あなたが寝ている間にこの屋敷を借りといたから、二日後まで暇なのよね」

「観光でもする?」

「あら、機嫌取りかしら?」

「ギクッ」

「私は行きたいです…」

「じゃあ行こうか」

そう言ってシンはアル、リア、ヨミともに街を歩いていた。

「あんまり人がいないんだね」

「冒険者ギルドの職員から聞いたのですが、メーティスには研究者ばかりで旅人などがほとんどいないとのことです」

「そうなんだ。魔導店と武器屋はあるの?」

「場所を聞いておりますが、買いませんよ」

「なんで!?」

「お金が少ないのです」

「そっか〜稼ぐために明日からダンジョンに行かない?」

「行くのはいいけど、無事に帰ってきてちょうだい…」

「シン様、無理なさらずに…」

リアとヨミが不安そうに言った。

「うん、安全第一で行ってくるよ」

「あまり潜らせませんのでお二方ご安心を」

「お願いね」

「アルさん、シン様をお願いします」

そう言って歩いていると人々が集まっていた。

「なんだろう?」

「行きましょう」

「うん」

シン達は人だかりへ向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。