13話 紅のダンジョン2階層
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ヒメノ国を出立してから三日が過ぎた。シンとアルは道中にて、盗賊に捕らえられていたガイとライを助け、その後しばらく共に行動することになった。シン、アル、ガイは1階層のボス、ビッグレッドスライムを倒し、黒いゲートをくぐり2階層へと足を踏み入れた。
「1階層と同じ洞窟か」
「ですが道が曲がってますね」
「1階層はひたすら真っ直ぐな道だったな」
3人は先へと進んで行った。
「なんかいるぞ」
ガイの言葉にシンとアルは武器を構え警戒する。
「赤い鳥?」
シン達の目の前に現れたのは体長1メートル程ある赤い鳥だった。赤い羽を持ち、足が異様に発達していた。
「知恵の本」
シンは知恵の本を発動した。
【ラッシュバード】
【特徴】強靭な足で突進攻撃をする。
【生息地】不明
突進攻撃か...避けて反撃するしかない!
「アイツはラッシュバード、突進攻撃をしてくるよ」
「盾では吹き飛ばされますね」
「回避するしかねぇなぁ」
「来るよ!」
シンが言った瞬間、ラッシュバードは足に力を溜め、地面を蹴ってシンたちに向かって突進した。
「やべっ!」
シン達は咄嗟に左右へ飛び、ラッシュバードの突進を回避した。
「あの速さだと矢が当たらねぇ!」
「僕とアルで倒そう!」
「はい!」
「来る!」
ラッシュバードはシンに向かって突進する。シンは横に飛び込み、攻撃を回避した。
「キシャアア!」
ラッシュバードは奇声をあげ、またシンへと突進する。
「剣を構える暇もない!」
シンは横に転がり避けた。
「ここは私が!『身体強化!』」
アルは身体強化スキルを使いラッシュバードへと近づき剣を振るった。
「キシャア!」
ザシュ
ラッシュバードはアルの攻撃により倒された。
「アル、ありがとう、助かったよ」
「ご無事で良かったです」
「単体だと魔法が当たらないし、範囲攻撃なら当たるけど魔力を無駄にしちゃうし」
「じゃあ良かったな」
「何が?」
「ご希望通りだぜ」
ガイはそう言って指を指した、その先にいたのは6匹のラッシュバードだった。
「キシャア!」
「多くない?」
ラッシュバード達はシン達へと攻撃を始めた。
バンッ!
ダダダ!
ラッシュバード達は一斉に地面を蹴りシン達に突進して行った。
「避けても次の攻撃が来る!」
「固まってるのはまずいです、バラけましょう」
「俺近距離は無理なんだが!」
「ひたすら逃げなさい!」
「おい!!」
アルの辛辣な言葉にガイが言った。
「逃げてれば僕とアルで倒すから頑張って!」
「分かったよ!逃げればいいんだろ逃げれば!」
そう言って3人はバラバラにラッシュバードの攻撃を回避して行った。
「身体強化!」
「ハァ!」
ザシュ!
「キシャア!」
「ハァ!!」
ザシュ!
アルは身体強化を発動し、ラッシュバードを2体倒した。
アルは凄いな!僕も負けていられない!
「ファイヤーボム!」
シンがそう唱えると、シンの手のひらから人の頭ほどの火球ができ、4匹のラッシュバードに向かって放たれた。
ドォン!
「キシャアアア!!」
ファイヤーボムが爆発し、四匹のラッシュバードが吹き飛んだ。
「どうだ!」
「お見事です!」
「魔力はまだ大丈夫なのかよ?」
「うん、大丈夫」
「それじゃあ先に進もうぜ!」
「うん!」
「はい!」
そう言って3人は2階層を進み、出くわしたラッシュバードを次々と倒して行った。
「ふぅ、疲れたねぇー」
「時間的には日が沈んでいる頃ですね」
「俺は2階層では何もしてねぇからまだ行けるぜ」
「はぁ、自慢げに言うことですか」
ガイは自慢げに言ったがアルに呆れられていた。3人が話しながら2階層を進んでいると喋り声が聞こえてきた。
「おい、誰かいるぞ」
ガイの言葉にシンとアルは先を見た。シン達の目に映ったのは、テントが立ち並び、多くの冒険者たちが生活する光景だった。
「人がいっぱいだ」
「本当にダンジョン内で生活してるのですね」
「おいおい、ラッシュバードが襲って来ないのかよ!」
3人で話していると女性が話しかけて来た。
「ここは安全地帯でラッシュバードが現れないのです」
「あ、ありがとうございます」
「あなたは?」
女性が急に話しかけてきてシンは驚いたがアルは自然に女性へ聞いた。
「私は冒険者ギルドの職員です」
「なぜここに?」
ギルド職員の言葉にシンが首を傾げながら聞いた。
「ダンジョンの管理等の為安全地帯がある階層にギルド職員は配属されるのです」
「なるほど」
「では冒険者以外はダンジョンには入れないのですか?」
「冒険者か貴族や王族などに許可を得た方なら入ることができます、ですが無い場合はこの先を通ることができません」
「じゃあギルドカードを見せればいいんですか?」
「はい、お願いします」
3人はギルドカードを職員に見せた。
「ガイも持ってるんだ」
「当然だろ」
「置いて行けると思ったのですが」
「おい!お前俺にあたり強くねぇか!」
「思ったことを正直に言ったまでです」
「おい!」
「アハハハハ」
「シン!笑ってんじゃねぇよ!」
3人が話しているとギルド職員が言う。
「確認できました、通っていただいて大丈夫です」
そう言われ3人はギルドカードを受け取り安全地帯内を歩く。
「僕達も今日はここで休もうか」
「私も賛成です」
「あそこにテントを張ろうぜ」
3人は収納袋から出したテントを立て、この日は眠りについたのであった。
【ルシア・セリリアル・ハク・視点】
ルシア達は現在シュトラス国とヒメノ国の国境付近で野宿していた。
「クーン」
ハクは出された干し肉を見て悲しい声を上げた。
「ハク、シン様に合流できるまでまだ先です、食料は温存しなければ」
「ウォン」
セリーの言葉に悲しそうに吠えた。
「それにしてもハクちゃんは凄いわね」
「私も同意します、シン様はホワイトウルフと言っていましたが大きさからして違いますよね」
「そうなのよね、知能も高いし身体能力も高いわ」
「ウィル兄様は絶対知ってそうなんですよね」
「シンちゃんの【テイム】っていうスキルも特殊よね」
「使役は本来魔道具かスキルでの服従や魔法で従わせるのがほとんどなのですが、シン様は血を与えたと言っていましたし」
「だとしたらシンちゃんとハクちゃんは何かしらで繋がってるかもね」
「なるほどシン様に何かあればハクに何かあるかもしれませんね」
「何も起こらない方がいいわ」
「そうですね」
そう言って2人はシン達の無事を願うのであった。
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ヒメノ国から出て四日目、シン達は2階層でラッシュバードを倒し進んでいた。
「ラッシュバードの動きに慣れてきたね」
「はい、力を溜める時間がありますしね」
「やっと俺も活躍できたぜ」
そう言って3人は開けた場所にたどり着いた。広場の中央には全長2メートルほどの巨大なラッシュバードがシン達を待ち構えていた。
「ギルドの職員さんが言っていたグレートラッシュバードか」
「ガイ、さすがにあれだけ大きければ当たりますよね?」
「なめんな!」
ガイは弓を引きグレートラッシュバードに向かって放った。
シュン!
ダンッ!!!
グレートラッシュバードは跳躍し、ガイの矢を避けた。グレートラッシュバードは天井を蹴りシン達に向かって飛んできた。
ズドン!
「どわぁ!」
「ぬぅ!」
「はぁはぁ」
土煙が晴れ、そこには傷一つないグレートラッシュバードが立っていた。シン達はグレートラッシュバードが激突した風圧で吹き飛んだ。
「あんなの食らったら胴体に穴が空くよ!」
「洒落になりませんね」
「俺が矢で誘導をするからシンは魔法で攻撃頼むぜ」
「了解!」
「行くぞ!」
「うん」
「はい」
ガイの言葉にシンとアルは返し、ガイはグレートラッシュバードに攻撃をして誘導する。
「シャア!」
「今だ!」
ガイの言葉にシンが魔法を唱えた。
「ウインドスピア!」
シュン!
ダン!!
グレートラッシュバードはシンのウインドスピアを避け、すぐにシン達へと突進攻撃をした。
ズドン!
「ラッシュバードよりもスピードが早すぎる!」
「シン、当たるまで撃ちまくれ!」
「そんな無茶な!魔力が枯渇するよ!」
「気合いだ!」
「いや!無理だから!」
そうシンとガイが話しているとアルが割って入り、言った。
「私が隙を作ります」
「アルが!?」
「近接は危ねぇだろ」
「いえ、大丈夫です」
アルは真剣な表情でシンとガイに向かって言った。
「分かったよ、頼んだよアル」
「お任せを」
「おいおい、本当に大丈夫かよ?」
「大丈夫さ、アル、トドメは任せてよ」
「お願いしますねシン様」
そう言ってアルはグレートラッシュバードに向かって剣を構えた。
「キシャア!!」
「来い!」
ダン!
その瞬間グレートラッシュバードはアルに向かって地面を高速で蹴り突進する。
ドン!
アルは攻撃を回避し、タイミングを計るように剣を構えた。
「おい、避けただけじゃねぇか!」
「黙って見てて!」
ガイの言葉にシンが言った。
「キシャア!」
ダン!
グレートラッシュバードはまたもやアルに向かって突進した。だがアルは回避する素振りもせず剣を構えるだけだった。
「キシャア!!」
グレートラッシュバードの片足がアルの間近まで接近した瞬間アルが剣を構えて言った。
「パリィ!」
キィン!
アルはグレートラッシュバードの片足を受け流し、その体勢を崩した。
「ファイヤースピア!!」
シンの放ったファイヤースピアは一直線に飛翔し、グレートラッシュバードの胴体を貫いた。
「倒れましたね」
「ふぅ、アル肝が冷えたよ」
「根性あるじゃあねぇかぁ!アハハ」
「アルありがとう」
「いえ」
シンの言葉にアルは表情を変えなかったが、内面では喜びに満ちていた。シン達はグレートラッシュバードを収納袋に収納し、3階層へと続くゲートを通ったのであった。




