第92話 私の勘がそう言ってる
【緊急速報】ハルミの平和、わずか四十秒で終了!?
― 突然現れたサイコ。「私の勘が今日行けって言ってる」――その一言で、予定は全部変更です。 ―
「公園。」
「ボール遊びしに行かない?」
「行かない。」
即答。
ソラ。
停止。
完全に。
冷水を。
頭から。
かけられた顔。
「……そっか。」
処理。
二秒。
「じゃあ――」
「行かない。」
「まだ何も言ってないけど!?」
タケル。
「公園より。」
「ろくでもないことだろ。」
「……」
ソラ。
考える。
ちょっと。
考える。
「じゃあ。」
「池行って。」
「カモに餌あげる?」
タケル。
じーっ。
「カモ。」
「お前のこと噛むじゃん。」
「一回だけ。」
「二回。」
「二回目は。」
「誤解だった。」
「何をどう誤解したら。」
「カモに二回噛まれるんだよ。」
「……」
沈黙。
一秒。
そして。
ソラ。
ぴんっ。
「じゃあ!!」
「俺んち行こう!!」
「なんかゲームしようぜ!」
「それか!」
「今週出た新刊の雑誌読むとか!!」
タケル。
ぴくっ。
瞬き。
一回。
目。
きらっ。
「新刊。」
「出たの!?」
「うん!」
「あれ!」
「例のやつ!!」
「なんで先に言わないんだよ!?」
「今言っただろ!?」
タケル。
立つ。
「早く行くぞ。」
「急に元気!?」
そして。
二人。
出発。
玄関。
閉まる。
家。
しーん。
静か。
ものすごく。
静か。
ハルミ。
廊下を見る。
リビングを見る。
そして。
扇風機。
見る。
止まっている。
「……」
ぺしっ。
叩く。
ぶぉーん。
復活。
「よーち。」
そのまま。
リビング。
畳。
ごろん。
寝転がる。
足だけ。
縁側。
風。
そよそよ。
外から。
入ってくる。
午後の日差し。
木の床。
ぽかぽか。
ハルミ。
目。
閉じる。
(あぁ……。)
(平和――)
――バァン!!
玄関。
死亡。
いや。
壊れてはいない。
たぶん。
でも。
そう聞こえた。
「――ルミ!!」
何か。
入ってきた。
サイコ。
だった。
片手。
買い物袋。
反対。
巨大な水筒。
肩。
バッグ。
首。
ホイッスル。
腰。
鍵。
じゃらじゃら。
車の鍵。
別。
家の鍵。
別。
さらに。
何の鍵か。
本人も。
たぶん。
分かっていない鍵。
一個。
その他。
謎の袋。
数個。
荷物。
多い。
とにかく。
多い。
そして。
本人。
最初から。
フルスロットル。
暑い。
忙しい。
イライラ。
全部。
同時。
玄関を。
勢いよく開けすぎて。
最初の言葉。
半分。
消えた。
「――ルミ聞いて!!」
「車を修理に出したら!!」
「あと一日かかるって言われたんだけど!!」
靴。
脱ぐ。
荷物。
全部。
持ったまま。
鍵。
じゃらじゃら。
「こっちはちゃんと予約して!!」
「あの車に冷房つけてもらうだけなのに!!」
「二時間で終わるって言ったのに――」
顔。
上げる。
止まる。
「……」
ハルミ。
畳。
ごろん。
日向。
完全に。
日光浴中。
トカゲ。
みたい。
サイコ。
「何してんの!?」
「なんでそこで寝てんの!?」
ハルミ。
動かない。
顔だけ。
少し。
上げる。
「……なんで。」
「サイコちゃんがいるの?」
サイコ。
「はぁ!?」
両腕。
ばっ。
なお。
荷物。
全部。
持ったまま。
「何その挨拶!?」
「私!!」
「ここまで歩いて来たんだけど!?」
「車あるじゃん。」
「修理中!!」
「今言ったでしょ!!」
「ハルミ聞いて――」
もう。
キッチンへ。
向かっている。
そして。
途中。
思い出す。
「ていうか!!」
「あれ何!?」
「外の!!」
「電柱に縛りつけてある車!!」
「……」
二秒。
沈黙。
サイコ。
急に。
冷静。
「私。」
「自分の車に文句言いたくなったら。」
「あなたの車。」
「思い出すことにする。」
心から。
そう思った。
ハルミ。
がばっ。
頭。
上げる。
「……」
サイコ。
さらに。
「下には下がいるって。」
「本当なんだね。」
「……」
ハルミ。
傷ついた。
車も。
たぶん。
傷ついた。
「まあいいや!!」
切り替え。
早い。
サイコ。
バッグ。
ソファへ。
ぽいっ。
「それより!!」
「聞いてよ!!」
「校長が!!」
「今週!!」
「私に体育の代講やらせるって言うの!!」
ハルミ。
「先生なんだから――」
「数学!!」
サイコ。
びしっ。
「私は!!」
「数学教師!!」
「ハルミ!!」
一拍。
「まあ。」
「必要なら。」
「他のこともやるけど!!」
「とにかく!!」
「運動好きでもないのに!!」
ハルミ。
サイコの首。
見る。
「……笛。」
「持ってるじゃん。」
サイコ。
ホイッスル。
掴む。
「これは!!」
「スポーツ用品じゃない!!」
「権威の道具!!」
「……」
ハルミ。
何か。
言おうとする。
遅い。
サイコ。
もう。
次。
袋。
がさがさ。
飲み物。
何本か。
取り出す。
テーブル。
どん。
ハルミ。
目。
丸くなる。
「飲み物?」
時計。
見る。
「まだ二時だよ。」
サイコ。
真顔。
「文句言ってる間に。」
「ぬるくなるよ。」
「……」
ハルミ。
即。
回収。
冷蔵庫。
開ける。
入れる。
素直。
その後ろ。
サイコ。
バッグ。
ごそごそ。
何か。
探している。
じゃら。
じゃらじゃら。
鍵。
鳴る。
忙しい人間の。
音。
土曜日なのに。
責任だけ。
平日。
そんな。
音。
「準備できた!?」
ハルミ。
冷蔵庫。
閉める。
振り返る。
「……何の?」
サイコ。
ハルミ。
上から。
下まで。
一回。
見る。
「……」
「できてないね。」
「何が!?」
「買い物。」
「スーパー行くよ。」
ハルミ。
眉。
寄る。
「え?」
「明日でしょ?」
サイコ。
「正気?」
「大丈夫だって。」
ハルミ。
胸。
張る。
根拠。
ゼロ。
自信。
百。
「失敗する要素ないもん。」
この言葉。
言った人間は。
だいたい。
失敗する。
「日曜日だよ?」
「そういう。」
「予定外のことが起きる日じゃないって。」
サイコ。
「私も。」
「そう思う。」
ハルミ。
「でしょ?」
「だから――」
「でも。」
サイコ。
目。
細める。
「……」
「私の勘が。」
「今日行けって。」
「言ってる。」
ハルミ。
停止。
「……勘。」
「うん。」
「勘。」
「サイコちゃん。」
ハルミ。
指。
一本。
立てる。
「ゼリー。」
「ケーキ。」
「ちょっとしたお菓子。」
「それだけだよ?」
「理論上。」
「朝だけで。」
「全部作れる。」
サイコ。
「飾り付け。」
「あ。」
「飾り付けも。」
指。
二本。
「でも。」
「風船とか。」
「そのくらい。」
「余裕。」
サイコ。
「買ったキャラクターの飾り。」
「あ。」
指。
三本。
「それも。」
「でも!」
「お母さんも来るし!」
「手伝ってくれるから!」
サイコ。
「……」
じーーーーっ。
ハルミ。
見る。
その顔。
ものすごく。
分かりやすい。
『それ。』
『余計に。』
『危なくない?』
そして。
口に出す。
「それ。」
「むしろ悪化してない?」
ハルミ。
口。
開く。
「……」
閉じる。
(……反論できない。)
完全敗北。
サイコ。
「よし!!」
バッグ。
持つ。
「行くよ!!」
「えっ。」
もう。
玄関。
ハルミ。
その場。
ぽつん。
畳を見る。
扇風機を見る。
玄関の。
サイコを見る。
そして。
さっきまでの。
平和を。
思い出す。
(……。)
(いい時間だったなぁ。)
(四十秒くらい。)
「ハルミー!!」
「置いてくよー!!」
ハルミ。
ため息。
一つ。
立ち上がる。
「……今行くー。」
平和。
終了。
所要時間。
約。
四十秒。
読んでいただき、本当にありがとうございます~!!♡♡
もしこの作品で少しでも笑顔になっていただけたら、★で応援していただけると、とっても嬉しいです!
皆さんからいただく評価は、
「もっともっと面白い作品を作りたい!」
と思える大切な励みになっています
(´▽`)
Pixivではキャラクターデザインやイラストも投稿しています!
最近、この作品の日常を描いた四コマ漫画をPixivに投稿しました!ぜひぜひ遊びに来てください~!!♡
Pixiv:
https://www.pixiv.net/en/users/121622272
また次回もよろしくお願いします~!!♡♡




