第87話 絶対に仲が悪い二人
【緊急速報】絶対に仲が悪い二人、なぜか一緒に暮らしている!?
― 月城サイコと清水いつき、口喧嘩しながら生活だけは完全に夫婦レベル!? ―
高峰町。
夜。
静か。
とても。
静か。
……静かすぎる。
危険だった。
サイコ。
車。
運転中。
ハルミとの夕食を終えて。
まだ。
ちょっとだけ。
テンション高め。
鼻歌。
ふんふん。
今日のこと。
昔のこと。
いろいろ。
考えながら。
帰宅途中。
その時。
歩道。
何か。
見えた。
「……」
人。
だった。
ただし。
完全に。
敗北している。
髪。
ぼさぼさ。
肩。
だらーん。
手。
食べ物の袋。
清水いつき。
サイコ。
「……」
確認。
そして。
キキィィィッ!!
急ブレーキ。
いつきの。
真横。
ぴたっ。
窓。
開く。
「乗って。」
いつき。
「……」
ゆっくり。
顔。
向ける。
サイコ。
見る。
車。
見る。
また。
サイコ。
見る。
「……」
何も。
言わない。
乗った。
ドア。
閉める。
その瞬間。
サイコ。
「なんで食べ物買ってるの!?」
開始。
すでに。
喧嘩腰。
「家に食べるものあったでしょ!」
「卵!」
「鶏肉!」
「冷蔵庫に!」
いつき。
シート。
沈む。
魂。
半分。
ない。
「卵。」
「二つとも腐ってた。」
「……」
「鶏肉は。」
「見つからなかった。」
「はぁ!?」
サイコ。
即。
「どういうこと!?」
「鶏肉あったでしょ!?」
「なかった。」
「絶対あった!!」
いつき。
袋。
ちらっ。
「まあ。」
「ハンバーガー食べたかったし。」
サイコ。
口。
開く。
反論。
しようとする。
「……」
でも。
頭の中。
『……』
『私も。』
『ハンバーガー食べたかった。』
「……」
閉じた。
無言。
ハンドル。
くるっ。
「シートベルト。」
「はい。」
カチッ。
二秒後。
いつき。
何でもない感じで。
「誰と出かけてたの?」
「……」
ものすごく。
自然。
自然すぎる。
むしろ。
怪しい。
サイコ。
ゆっくり。
顔。
向ける。
「……誰だと思う?」
「知らない。」
「友達。」
一拍。
「女友達。」
「……」
「何その顔。」
「別に。」
サイコ。
ふんっ。
そして。
突然。
ため息。
「はぁぁぁ……」
空気。
変わる。
少し。
深刻。
サイコ。
俯く。
「私。」
「ちょうど。」
息抜きしたかったの。」
いつき。
「……?」
「最近ね。」
「リクが。」
「ひどいの。」
いつき。
少し。
真面目に聞く。
サイコ。
「攻撃的。」
「依存。」
「重い。」
「ずっと。」
「私のこと追いかけてくる。」
「家の中。」
「どこ行っても。」
「ずっと。」
一拍。
「……息苦しい。」
サイコ。
完全に。
疲れ切った女性。
いつき。
ぱちっ。
「……」
考える。
そして。
「リクって。」
「まだ二か月じゃなかった?」
「……」
深刻な空気。
死亡。
サイコ。
「そうだけど!!」
「二か月でも!!」
「情緒的に依存してくるの!!」
腕。
組む。
怒っている。
相手。
子猫。
いつき。
窓。
見る。
「……そう。」
理解。
していない。
全然。
していない。
そして。
家。
到着。
玄関。
入る。
靴。
脱ぐ。
照明。
ぱちっ。
静か。
サイコ。
そのまま。
キッチンへ。
冷蔵庫。
開ける。
「……」
止まる。
「……」
中。
見る。
もう一度。
見る。
「……何もない。」
ゆっくり。
リビングを見る。
いつき。
ソファ。
座っている。
ハンバーガー。
もぐもぐ。
静か。
サイコ。
じーーーーっ。
いつき。
もぐもぐ。
目。
合わせない。
妙な。
空気。
そして。
突然。
サイコ。
「思い出した!!」
いつき。
ぴくっ。
「私!!」
「あなたに怒ってたんだった!!」
いつき。
目。
閉じる。
「……面倒くさ。」
「何それ!?」
サイコ。
どんっ。
「なんで!!」
「ハルミちゃんが戻ってきたって!!」
「私に言わなかったの!?」
いつき。
「俺――」
「近所なんでしょ!?」
「なんで言わないの!?」
「私!!」
「今日!!」
「今日だよ!?」
「ハルミちゃんとご飯食べたんだから!!」
「しかも!」
「ずっと前から帰ってきてたんでしょ!?」
「何十年も!!」
いつき。
「数か月。」
訂正。
正直。
サイコ。
「細かい!!」
冷蔵庫。
もう一度。
開ける。
そして。
「……あっ!!」
何か。
発見。
「ほら!!」
「鶏肉あるじゃん!!」
容器。
取り出す。
どんっ。
ラベル。
大きく。
『リクのごはん』
いつき。
「……」
目。
見開く。
「それ。」
「俺に食べろって言ったの?」
「鶏肉だよ!!」
「『リクのごはん』って書いてあるけど!?」
「リク用だから!」
「でも普通の鶏肉!!」
「人間も食べられる!!」
「嫌だよ!!」
「なんで俺が猫の飯食うんだよ!?」
「猫のご飯じゃない!!」
「鶏肉!!」
「猫のために作ったんだろ!?」
「そう!!」
「じゃあ猫の飯じゃん!!」
「違う!!」
「だったら!」
「『鶏肉』って書けよ!!」
「でも!」
「リクのご飯なの!!」
「……」
いつき。
深呼吸。
「本当に。」
「面倒くさい。」
サイコ。
「あなたの方が!」
「面倒くさい!!」
沈黙。
いつき。
ハンバーガー。
もぐっ。
サイコ。
ふんっ。
そして。
突然。
話題。
変更。
完全に。
「ねえ。」
「明日。」
「金曜日。」
「私、仕事。」
いつき。
「俺も仕事。」
サイコ。
「できる日だけね。」
「……」
いつき。
目。
細い。
「土曜日。」
「家の買い物しないと。」
いつき。
「あ。」
「じゃあ土曜日。」
「俺、暇だ。」
「……」
サイコ。
見る。
「今。」
「買い物するって言ったよね?」
「……」
いつき。
見る。
サイコ。
見る。
視線。
語る。
『一緒にスーパーなんて絶対行かない。』
サイコ。
無視。
「まあ。」
「ハルミちゃんの買い物も。」
「手伝うかもしれない。」
いつき。
「俺に。」
「休みはないの?」
「……」
サイコ。
ゆっくり。
振り返る。
「好きな時間に起きて。」
「在宅で。」
「自分で時間決めて。」
「まだ休み欲しいの?」
「バカンス?」
いつき。
「俺の仕事。」
「そういう言い方するなよ。」
サイコ。
「仕事じゃなくて。」
「勉強でしょ。」
「仕事もしてる。」
「勉強もしてる。」
「二十六歳で。」
「まだファッションの勉強してる人に。」
「文句言われたくない。」
「……」
いつき。
沈黙。
刺さった。
少し。
サイコ。
気にしない。
すでに。
予定表モード。
「それで。」
「日曜日。」
「メイちゃんの。」
「サプライズ誕生日会。」
一拍。
「ハルミちゃんの娘の――」
止まる。
自分で。
言って。
自分で。
混乱。
「……」
「私。」
「今。」
「ハルミちゃんの娘って言った?」
いつき。
「落ち着け。」
「落ち着け!?」
サイコ。
振り返る。
「想像できる!?」
「あの。」
「小さかったハルミちゃんが!!」
「今!!」
「二人の子どものお母さん!!」
いつき。
少し。
考える。
「そんな言い方されたら。」
「俺まで感動してきた。」
「でしょ!?」
サイコ。
さらに。
「だから!」
「日曜日は!」
「朝早く!」
「ハルミちゃんの家に行く!」
いつき。
「うん。」
「あなた。」
「送って。」
「……」
いつき。
「車は?」
「修理。」
「エアコン。」
「……」
いつき。
ゆっくり。
サイコを見る。
「お前の車。」
「作られた時代に。」
「エアコン。」
「ついてなかっただろ。」
「……」
「直すも何も。」
「直すものがない。」
サイコ。
「だから!」
「なんか。」
「風が出るやつ!」
「つけてもらうの!」
「……」
「換気的な。」
「換気的?」
いつき。
眉。
寄せる。
「絶対ぼったくられるぞ。」
「もう。」
「別の車買った方が早い。」
サイコ。
「ちょうどいいじゃん。」
「……何が。」
「あなたが送る。」
「家に帰る。」
「そのあと。」
「また来る。」
「だって。」
「あなたもパーティー参加するから。」
「……」
いつき。
一拍。
「分かった。」
サイコ。
「あと。」
突然。
冷蔵庫。
見る。
「私のビール飲んだ?」
いつき。
「二本しかなかったから。」
「飲んだ。」
「買い足した。」
サイコ。
冷蔵庫。
開ける。
確認。
「……」
銘柄。
見る。
「ふーん。」
「ちゃんと私の好きなやつ。」
いつき。
即。
声。
真似。
「『ふーん。ちゃんと私の好きなやつ。』」
サイコ。
「真似しないで!!」
いつき。
「ふーん。」
「いつき。」
「……」
沈黙。
いつき。
胸。
押さえる。
突然。
大げさ。
「名前で呼ぶのは。」
「反則。」
「心に響く。」
サイコ。
「はぁ!?」
一音ずつ。
「い。」
「つ。」
「き。」
「何か仕事探してこーーーい!!」
べーっ。
舌。
出す。
いつき。
「……」
べーっ。
返す。
サイコ。
「……」
深呼吸。
指。
びしっ。
「もう。」
「家の支払い。」
ちゃんとしてもらうから。」
いつき。
「してるけど。」
サイコ。
「じゃあ。」
「今月の買い物。」
「半分。」
いつき。
「もう半分払ってる。」
「……」
「じゃあ電気代!」
「俺。」
「全部払ってる。」
「……」
サイコ。
少し。
焦る。
「ネット!!」
「それも。」
「……」
沈黙。
サイコ。
ぱちっ。
ぱちっ。
そして。
今さら。
「……」
「あなた。」
「何の仕事してるんだっけ?」
いつき。
「仕事して。」
「別分野の専門課程もやってる。」
「……」
沈黙。
長い。
かなり。
長い。
サイコ。
じーーーーっ。
いつき。
見る。
分析。
計算。
再計算。
「……ふーん。」
くるっ。
「じゃ。」
「いいや。」
そのまま。
寝室へ。
「おやすみ。」
バタン!!
ドア。
閉まる。
いつき。
リビング。
一人。
ハンバーガー。
静寂。
人生。
「……」
ぼそっ。
「あいつ。」
「やっぱり。」
「頭おかしい。」
そのまま。
ソファ。
ごろん。
目。
閉じる。
数秒。
寝た。
早い。
その頃。
寝室。
サイコ。
「……」
まだ。
起きていた。
ベッド。
座る。
天井。
見る。
「……」
「ハルミちゃんのこと。」
「教えてくれても。」
「よかったのに。」
一拍。
「……バカ。」
でも。
口元。
ほんの少し。
ふっ。
小さな。
笑顔。
本人も。
たぶん。
気付いていない。
そして。
照明。
ぱちっ。
暗くなる。
絶対に。
仲が悪い。
二人の。
夜は。
そうして。
静かに。
終わった。
読んでいただき、本当にありがとうございます~!!♡♡
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皆さんからいただく評価は、
「もっともっと面白い作品を作りたい!」
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また次回もよろしくお願いします~!!♡♡




