第84話 遅すぎた先生
【緊急速報】親友との感動の再会が、とんでもない誤解で大崩壊!?
― 大沢ハルミ、十年ぶりの親友に「13歳で子どもを産んだ」と疑われる!! ―
懐かしい母校で始まる、子どもたちのための大切な面談。
そこへ現れたのは――
ハルミの大親友・月城サイコ!!
十年ぶりの再会。
感動の抱擁。
涙の友情――
……になるはずが。
「13歳で子ども産んだのぉぉぉぉぉ!?」
開始0秒で、とんでもない誤解発生!!!
説明するハルミ。
聞かないサイコ。
止める校長。
そして積もりに積もった――
十年分のゴシップ欲!!
しかし、本当の事情を知ったとき――
この面談はさらに大きく動き出す。
果たしてハルミは、無事にすべてを説明できるのか!?
親友との再会、感動より先に大混乱スタート!!
校長は電話を手に取った。
番号を押す。
その間。
ハルミは校長室の椅子に座り――
平静を装っていた。
装っていた。
だけだった。
全然。
落ち着いていない。
「もしもし」
校長はいつもの真面目な声で言った。
「今すぐ校長室に来てください」
電話の向こう。
疲れ切った声。
『校長先生ぇ……無理です……』
『もう勤務時間、終わってるんですけど……明日じゃダメですか?』
校長。
瞬きすらしない。
「ダメです」
「少しデリケートな話です。保護者の方が来ています。子どもたちの状況について確認する必要があります」
沈黙。
その直後。
ガサッ!
バタバタバタッ!
急に聞こえ始める足音。
バッグを動かす音。
そして――
バサバサッ!
たぶん。
書類。
落ちた。
『……デリケートって』
声。
ちょっとだけ。
元気になった。
興味。
出たらしい。
校長は淡々と続ける。
「あなたと同じくらいの年齢の若い女性です」
「十三歳の男の子は、今まで一度も学校に通ったことがありません」
「もう一人、九歳の女の子も同様です」
「……」
電話の向こう。
完全なる沈黙。
『……え』
間。
『ちょっと待ってください』
さらに。
沈黙。
『……校長先生』
「年齢の計算はしなくていいです」
『はいはいはいはい!!』
コツコツコツコツ!
ヒールの音。
バッグの中で鳴る鍵。
首から何かぶら下がっている音。
ネックレスではない。
そして。
やたら感情豊かな呼吸音。
『校長先生……これ、どのくらいかかります?』
『私、お腹空いてて……そこのハンバーガー買って帰ろうかなって――』
「あなたの職がかかっています」
「……」
沈黙。
『……汚い手を使いますね、先生』
「早く来なさい」
ぷつっ。
通話終了。
校長は電話を置いた。
そして校長室へ戻る。
ハルミ。
首を傾げる。
「遅刻魔なんですか?」
「いつもです」
「よかったぁ~。なんか実家に帰ってきた気分です」
「……」
校長。
笑わない。
ハルミ。
「……」
恥ずかしくなった。
仕方なく。
部屋を見る。
賞状。
写真。
表彰状。
……写真。
写真。
さらに写真。
「……」
ハルミ。
目を細める。
そこに写っている人物。
自分。
自分。
また自分。
学生時代の。
自分。
いっぱい。
ハルミ。
ようやく気づく。
『私!?』
「……先生」
「なんですか?」
「私、知らなかったんですけど」
ちょっと得意げ。
「そんなに私のファンだったんですね」
校長。
小さく笑った。
「あなたがこの学校にしてくれたことを考えれば」
「思い出くらい残しておくのは当然でしょう」
「……」
ハルミ。
瞬き。
一回。
二回。
「……私、何したんですか?」
校長。
今度は。
小さく笑う。
「大沢さん」
「はい」
「本当に何も覚えていないんですね」
「……はい」
「その話は、また今度にしましょう」
「えぇ……」
そして。
その話は。
本当に。
そこで終わった。
――15分後。
校舎の外。
一人の女性教師が。
ものすごい勢いで。
校庭を歩いていた。
開きっぱなしのバッグ。
斜めになったファイル。
首から下がったホイッスル。
自販機で買ったばかりのコーヒー。
コツ!
コツ!
コツ!
コツ!
ヒールが。
地面を。
怒っているみたいに叩く。
短い髪は。
ちょっと乱れている。
表情。
全員に命令したい。
でも。
十二時間寝たい。
そんな顔。
「もぉ~……私、何したっていうのよ……」
ぶつぶつ。
「退勤直前の会議なんて犯罪でしょ……」
ぴたっ。
考える。
「……私が市長になったら」
突然。
真剣。
「『帰る時間になったら帰らなければならない法』作ろ」
バッグ。
直す。
コーヒー。
落としかける。
「あぶなっ!」
キャッチ。
「……これで緊急じゃなかったら、絶対文句言う」
深呼吸。
すぅー。
はぁー。
校長室。
到着。
ドアの前。
止まる。
そして。
ガラッ!!
勢いよく開けた。
「遅くなってすみませーん、校長せ――」
止まった。
ハルミ。
背中を向けている。
振り返る。
「……」
「……」
目。
合う。
沈黙。
二人とも。
目。
見開く。
ハルミ。
小さな声。
「……嘘」
教師。
小さな声。
「……嘘」
半秒。
ハルミ。
立ち上がる。
抱きしめようと。
一歩。
教師。
バッグ。
ポイッ!!
コーヒー。
ポイッ!!
まるで。
スローモーション。
感動的な。
再会――
に。
なるはずだった。
教師。
飛んだ。
「ハルミィィィィィィィィィ!!!!!」
「サ、サイコちゃ――!?」
「十三歳で子ども産んだのぉぉぉぉぉぉ!?!?」
「はああああああああ!?!?」
「なんで私に言わなかったのよぉぉぉぉ!!」
がしっ!!
肩。
掴む。
ぶんぶんぶんぶん!!
「いつ!? いつ産んだの!?」
「日本に戻ってきたなら連絡しなさいよ!!」
「っていうか子ども二人いるって何!?」
「なんでそのまま外国行ったのよぉぉぉぉ!!」
「ちょ、待っ、説明させ――!!」
「しかも学校に一回も通わせてないってどういうこと!?」
「ハルミ何したの!?」
「それで日本から逃げたの!?」
「死ぬ!! 私もうすぐ死ぬから!! 落ち着いてぇぇぇ!!」
「私だって気になりすぎて死ぬところだったわよぉぉぉ!!」
「月城先生」
「それで父親は誰!?」
「月城先生」
「まさか私の知ってる人!? ねえ!? 誰!?」
「月城!!」
校長。
立ち上がる。
「離しなさい!!」
「……あ」
ようやく。
止まる。
校長。
二人を。
引き離す。
自分の服。
整える。
深呼吸。
「あなたはまだ、何も事情を聞いていません」
「……」
「……」
――場面転換。
5分後。
三人。
座っていた。
全員。
髪。
乱れている。
全員。
呼吸。
整えている。
沈黙。
ハルミ。
服。
直す。
サイコ。
コーヒー。
両手で持つ。
まるで。
精神安定剤。
校長。
学校の威厳を。
必死に。
取り戻している。
サイコ。
ちらっ。
ハルミを見る。
目。
細い。
そこに含まれているもの。
裏切られた気持ち。
好奇心。
ドラマ。
そして――
十年分のゴシップ欲。
「……私たち」
サイコ。
ゆっくり。
口を開く。
「十六歳まで一緒に学校通ってたよね?」
「……うん」
「なのに」
じーーーっ。
「その間に子ども産んで」
「……」
「私に一っっっっっ言も言わなかったってこと?」
「だから――」
サイコ。
胸に手。
悲痛な顔。
「失望したわ、ハルミちゃん……」
「あなたがそんな子だったなんて……」
「いやいやいやいや待って!?」
ハルミ。
口を開く。
閉じる。
また開く。
「……落ち着こう?」
校長。
机に両手を置いた。
「私から説明します」
二人。
同時に。
校長を見る。
「話は」
校長。
静かに言った。
「そういうことではありません」
「……」
沈黙。
サイコ。
ゆっくり。
前のめり。
「……じゃあ」
目。
キラッ。
「どういうことですか?」
校長。
深く息を吸う。
そして。
「最初から説明しましょう」
ハルミ。
ごくっ。
唾を飲む。
その瞬間。
気づいた。
もしかすると。
この面談の。
本当に大変なところは――
まだ。
始まってすらいなかった。
読んでいただき、本当にありがとうございます~!!♡♡
少しでも皆さんを元気にできたり、
ちょっとでも笑っていただけていたら、とっても嬉しいです!(´▽`)♡
そしてぜひ、
「このキャラクターたちって実際どんな見た目なの?」
と思ったら、イラストも見に来てください~!!
物語を読みながら、みんなの姿をもっと楽しく想像していただけるように、
キャラクターデザインやイラストも自分で描いています!✧
Pixivはこちらです♡
Pixivでキャラクターたちを見る
遊びに来ていただけたら、すっごく嬉しいです!!♡
それでは、また次回お会いしましょう~!!
またね~~!!(´▽`)ノ♡




