表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ようこそ、ハルミのカオスな日常へ!  作者: あじせ
家庭内混乱マニュアル:初心者版!
PR
72/85

第72話 景色でも眺めて、のんびりしよう。

【深夜】「今日は静かな夜」……のはずだった!?上司、まさかのお泊まり決定!!


— 深夜二時。


ようやく仕事を終えた黒沢。


待っていたのは、

大沢ハルミの"命がけ"の運転と、

なぜか睨んでくる近所の黒猫。


無事(?)に辿り着いた先は、

ハルミの家。


子どもたちを起こさないよう、

静かに過ごす二人だったが――


「今日はもう、仕事は見ません。」


疲れ切った上司は、

ソファでそのまま夢の中へ。


久しぶりの静かな夜。


……そう思っていたのは、

この時だけだった。

 


二人は。


 


半分眠ったまま。


 


マンションの階段を。


 


ゆっくり降りていく。


 


春海。


 


両手には。


 


大きな荷物。


 


黒沢。


 


目元パックは。


 


さっき外したばかり。


 


額には。


 


冷却シートが。


 


まだ少しだけ。


 


曲がって貼られている。


 


外へ出ると。


 


春海が。


 


嬉しそうに。


 


指をさした。


 


「ほら!」


 


「私の車!」


 


黒沢。


 


視線を向ける。


 


……


 


止まる。


 


一度。


 


まばたき。


 


もう一度。


 


見る。


 


春海の"車"は――


 


エンジン。


 


ハンドル。


 


そして。


 


気合い。


 


それだけで。


 


動いているような。


 


車だった。


 


塗装は。


 


もう何年も前に。


 


人生を諦めている。


 


ドアは。


 


閉まるというより。


 


「一応閉めますね。」


 


くらいの。


 


やる気。


 


シートカバーだけが。


 


車全体の精神を。


 


支えていた。


 


沈黙。


 


「……。」


 


「これが。」


 


「君の車?」


 


黒沢。


 


ものすごく。


 


言葉を選んだ。


 


「はい!」


 


「燃費もいいし!」


 


「コンパクトだし!」


 


「あと。」


 


「スピリチュアルです!」


 


「……。」


 


「スピリチュアル?」


 


春海。


 


真顔。


 


「祈らないと。」


 


「動きません。」


 


また。


 


沈黙。


 


黒沢。


 


深く。


 


息を吸う。


 


「……。」


 


「やっぱり。」


 


「私の車で行こう。」


 


「えー?」


 


「数分ですよ?」


 


「私の車で。」


 


即答。


 


春海。


 


二秒。


 


考える。


 


「……。」


 


「よーち。」


 


二人は。


 


地下駐車場へ。


 


降りていく。


 


真っ暗。


 


春海。


 


足元すら。


 


よく見えない。


 


その時。


 


ピッ。


 


黒沢が。


 


リモコンキーを押す。


 


次の瞬間――


 


ぱっ。


 


ライト点灯。


 


春海。


 


思わず。


 


目を細める。


 


そこにあったのは。


 


真っ黒な。


 


大きな車。


 


静か。


 


なのに。


 


ものすごい。


 


存在感。


 


高そう。


 


というより。


 


近寄るだけで。


 


怒られそう。


 


そんな空気。


 


春海。


 


ぽかん。


 


見上げる。


 


「……。」


 


「これ。」


 


「私が運転するの?」


 


黒沢。


 


あっさり。


 


うなずく。


 


「十分くらいですから。」


 


「大丈夫ですよ。」


 


春海。


 


(大丈夫かなぁ。)


 


少しだけ。


 


不安。


 


それでも。


 


助手席側へ。


 


回ろうとして――


 


「あ。」


 


黒沢。


 


首を振る。


 


「今日は。」


 


「僕は助手席です。」


 


鍵を。


 


春海へ。


 


渡す。


 


春海。


 


受け取る。


 


「……。」


 


「責任重大だ。」


 


運転席へ。


 


座る。


 


シート。


 


ふかふか。


 


ハンドル。


 


ぴかぴか。


 


車内。


 


いい匂い。


 


(すごい……。)


 


(高級車って。)


 


(こんな感じなんだ。)


 


黒沢。


 


助手席。


 


シートベルト。


 


かちゃり。


 


「アクセルは――」


 


ブォォォォォン!!


 


春海。


 


もう踏んでいた。


 


車。


 


勢いよく。


 


前へ。


 


「きゃあああっ!?」


 


慌てて。


 


急ブレーキ。


 


ガクンッ!!


 


あと数十センチで。


 


壁。


 


黒沢。


 


「…………。」


 


春海。


 


にこっ。


 


親指。


 


ぐっ。


 


「大丈夫です!」


 


「私に任せてください!」


 


黒沢。


 


少しだけ。


 


春を見る。


 


「……。」


 


「大沢さん。」


 


「僕のサングラス。」


 


「かけてます?」


 


「うん!」


 


「でも。」


 


「まだ。」


 


「夜ですよ。」


 


春海。


 


即答。


 


「おしゃれ!」


 


黒沢。


 


(理由になってない。)


 


心の中だけ。


 


つぶやく。


 


春海。


 


バック。


 


ガコンッ。


 


少しだけ。


 


勢いがいい。


 


それでも。


 


何とか。


 


駐車場を。


 


脱出した。


 


黒沢。


 


右手は。


 


シートベルト。


 


左手は。


 


自分の理性。


 


必死に。


 


握っていた。


 


「……。」


 


「普段から。」


 


「運転は。」


 


するんですか?」


 


「緊急の時だけ!」


 


「今回は。」


 


「緊急なんですか?」


 


春海。


 


真剣。


 


うなずく。


 


「もちろん!」


 


「超緊急!」


 


黒沢。


 


窓の外を見る。


 


(……。)


 


(もう。)


 


(何も聞かないでおこう。)


 


十分ほどして――


 


住宅街。


 


深夜。


 


静か。


 


車は。


 


ゆっくり。


 


春海の家の前へ。


 


止まった。


 


黒沢。


 


小さく。


 


息をつく。


 


(生きてる……。)


 


春海。


 


満面の笑み。


 


「着きました!」


 


「無事に!」


 


「はい。」


 


黒沢。


 


その"無事"に。


 


少しだけ。


 


引っかかる。


 


二人は。


 


車を降りる。


 


その時。


 


塀の上。


 


一匹の黒猫。


 


じっ――。


 


車を見る。


 


春海を見る。


 


黒沢を見る。


 


また。


 


黒沢を見る。


 


沈黙。


 


黒沢。


 


猫を見る。


 


猫。


 


目をそらさない。


 


(……。)


 


(責められてる。)


 


そんな気がした。


 


「……。」


 


「猫にも。」


 


「怒られてる気がします。」


 


春海。


 


猫を見る。


 


「あー。」


 


「あの子は。」


 


「みんなに。」


 


「ああいう顔します。」


 


「安心してください。」


 


黒沢。


 


(安心……。)


 


(していいのかな。)


 


心の中だけ。


 


首をかしげる。


 


春海。


 


玄関の鍵を。


 


そっと開ける。


 


からん。


 


小さな音。


 


「しーっ。」


 


人差し指を。


 


口元へ。


 


「子どもたち。」


 


「寝てます。」


 


黒沢。


 


小さく。


 


うなずく。


 


二人は。


 


忍者みたいに。


 


静かに。


 


家へ入った。


 


春海。


 


荷物を。


 


キッチンへ。


 


運ぶ。


 


そして。


 


押し入れから。


 


ふとんを。


 


一組。


 


取り出した。


 


「今日は。」


 


「ここで寝てください!」


 


「広くはないですけど。」


 


「ゆっくり休めますよ。」


 


黒沢。


 


ソファへ。


 


腰を下ろす。


 


その時。


 


机の上。


 


書類。


 


ファイル。


 


付箋。


 


全部。


 


目に入る。


 


まるで。


 


「あと少しだけ。」


 


そう。


 


呼ばれているようだった。


 


黒沢。


 


じっと見る。


 


書類も。


 


じっと。


 


そこにある。


 


静かな。


 


にらめっこ。


 


数秒後。


 


黒沢。


 


ぷいっ。


 


顔をそらす。


 


「……。」


 


「今日は。」


 


「見ません。」


 


そう言って。


 


ソファへ。


 


ごろん。


 


五秒後。


 


すぅ……


 


寝息。


 


完全に。


 


眠っていた。


 


春海。


 


くすっ。


 


小さく笑う。


 


子どもたちの部屋へ。


 


そっと入る。


 


布団を。


 


かけ直す。


 


二人の寝顔を見て。


 


優しく。


 


微笑んだ。


 


「おやすみ。」


 


小さく。


 


つぶやく。


 


そして。


 


自分も。


 


リビングで。


 


横になる。


 


家の中は。


 


静かだった。


 


久しぶりに。


 


何も起こらない。


 


そんな夜に。


 


なるはずだった。




読んでいただき、本当にありがとうございます~!!♡♡


もしこの作品で少しでも笑顔になっていただけたら、★で応援していただけると、とっても嬉しいです!


皆さんからいただく評価は、

「もっともっと面白い作品を作りたい!」

と思える大切な励みになっています


(´▽`)


Pixivではキャラクターデザインやイラストも投稿しています!


Pixiv:

https://www.pixiv.net/en/users/121622272


また次回もよろしくお願いします~!!♡♡

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ