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ようこそ、ハルミのカオスな日常へ!  作者: あじせ
家庭内混乱マニュアル:初心者版!
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第68話 夜中の差し入れ

【午前1時】上司が仕事に行っている間に彼の家に行ったら…夕食を作る羽目になった!?


— 午前1時3分


普通ならこの時間にはみんな寝ているはずなのに。


…少なくとも私はそう思っていた。


疲れ切った社長。


散らかった部屋。


終わりのない仕事。


そして突然――


「手伝いに来たよ!」


深夜の訪問。


料理を始める。


コンロに苦戦する。


でもなぜか、すべてがうまくいった。


仕事は終わった。


しかし――


その夜、一番大きな変化は部屋の中ではなく、


誰かの心の中で起こったのかもしれない。

 


圭の部屋。


 


悪くない。


 


ただ。


 


少しだけ。


 


狭い。


 


寝室と。


 


リビング。


 


壁より。


 


気合いで。


 


分かれていた。


 


部屋の真ん中。


 


小さな机。


 


今日も。


 


限界。


 


その上には。


 


開いたファイル。


 


書類。


 


山。


 


付箋。


 


床まで。


 


ぺたぺた。


 


キャップのないペン。


 


疲れ切った。


 


ノートパソコン。


 


そして。


 


もっと疲れた。


 


圭。


 


右手。


 


キーボード。


 


かたかた。


 


左手。


 


頭。


 


支える。


 


落ちそうだった。


 


空腹。


 


眠気。


 


疲労。


 


全部。


 


まとめて。


 


やってきた。


 


圭。


 


ゆっくり。


 


瞬き。


 


それでも。


 


最後の仕事。


 


終わらせようと。


 


必死だった。


 


社長には。


 


時々。


 


どうしても。


 


「今じゃないとダメ」


 


そんな仕事が。


 


降ってくる。


 


時計を見る。


 


午前。


 


一時三分。


 


「……」


 


『長い夜だな』


 


少しだけ。


 


考える。


 


『何か』


 


『食べに行こうかな』


 


また。


 


考える。


 


『……』


 


『いや』


 


『明日でいい』


 


『生きてたら』


 


その瞬間――


 


ピンポーン♪


 


インターホン。


 


鳴った。


 


圭。


 


「……」


 


驚く元気も。


 


残っていなかった。


はるみ。


 


コンロ。


 


じーっ。


 


見つめる。


 


つまみ。


 


回す。


 


押す。


 


もう一回。


 


回す。


 


押す。


 


「……」


 


つかない。


 


「うぅ……」


 


小さく。


 


つぶやく。


 


「圭さんの」


 


邪魔は。


 


できないし……」


 


もう一度。


 


挑戦。


 


くるっ。


 


ぎゅっ。


 


「……」


 


やっぱり。


 


つかない。


 


「これ……」


 


「コンロ?」


 


「それとも」


 


「謎解き?」


 


首。


 


かしげる。


 


その時。


 


後ろ。


 


すっ。


 


気配。


 


はるみ。


 


気付かない。


 


一歩。


 


また一歩。


 


圭。


 


静かに。


 


近付く。


 


仕事。


 


途中。


 


それでも。


 


放っておけなかった。


 


はるみ。


 


もう一度。


 


つまみへ。


 


手を伸ばす。


 


その瞬間。


 


後ろから。


 


すっ。


 


大きな手。


 


伸びる。


 


「!」


 


はるみ。


 


びくっ。


 


振り向く。


 


「ひゃっ!」


 


圭。


 


すぐ後ろ。


 


ものすごく。


 


近かった。


 


少し。


 


前かがみ。


 


寝ぐせ。


 


少しだけ。


 


残っている。


 


目の下。


 


濃いクマ。


 


疲れ切った顔。


 


それなのに。


 


なぜか。


 


一瞬だけ。


 


はるみの頭。


 


『……クマさん』


 


そんな言葉が。


 


浮かんだ。


 


でも。


 


そのクマは。


 


抱きつかなかった。


 


ただ。


 


手を伸ばして。


 


カチッ。


 


コンロ。


 


二秒で。


 


火がついた。


「あっ……!」


 


はるみ。


 


少しだけ。


 


慌てる。


 


「ご、ごめんなさい!」


 


「仕事」


 


「邪魔しちゃいましたよね……」


 


圭。


 


首を振る。


 


「大丈夫です」


 


「ちょうど」


 


飲み物を。


 


取りに来ようと。


 


思っていたので」


 


そう言いながら。


 


小さな冷蔵庫。


 


開ける。


 


かちゃっ。


 


中。


 


缶ビール。


 


一本。


 


取り出す。


 


はるみ。


 


ぼーっ。


 


見ていた。


 


少しだけ。


 


前かがみ。


 


シャツ。


 


少しだけ。


 


しわしわ。


 


髪。


 


少し乱れている。


 


眠そう。


 


疲れている。


 


それなのに。


 


『……』


 


『なんか』


 


『かっこいい』


 


一秒。


 


思考停止。


 


『……』


 


『え?』


 


『なんで?』


 


頭の中。


 


ぐるぐる。


 


『違う違う違う!』


 


『何考えてるの私!?』


 


『上司だよ!?』


 


『……』


 


『でも』


 


『ちょっとだけ』


 


『かわいいかも』


 


ぶんぶんっ!


 


頭。


 


勢いよく。


 


振る。


 


『起きて!』


 


『春海!!』


 


『徹夜で』


 


『おかしくなってるだけ!!』


 


圭。


 


缶。


 


持ったまま。


 


振り返る。


 


「春海さん?」


 


「えっ!?」


 


「何か」


 


「言いました?」


 


「い、いえ!!」


 


「何にも!!」


 


笑顔。


 


ものすごく。


 


ぎこちなかった。


 


圭。


 


少しだけ。


 


首をかしげる。


 


「……そうですか」


 


缶。


 


軽く。


 


持ち上げる。


 


「飲みます?」


 


はるみ。


 


また。


 


固まる。


 


「い、いえ!」


 


「あとで運転しますから!」


 


圭。


 


「ああ」


 


小さく。


 


うなずく。


 


「そういえば」


 


「車」


 


「運転するんですね」


 


「会社では」


 


見たことが。


 


ありませんでした。


 


はるみ。


 


えへへ……。


 


照れ笑い。


 


「き、緊急の時だけです」


 


(緊急=車が動いた時)


 


圭。


 


ふっ。


 


ほんの少しだけ。


 


笑う。


 


本当に。


 


少しだけ。


 


そして。


 


何も言わず。


 


机へ。


 


戻っていった。


圭。


 


机へ。


 


戻る。


 


ノートパソコン。


 


ぱたぱた。


 


キーボード。


 


また。


 


鳴り始める。


 


かたかた。


 


かたかた。


 


部屋。


 


静か。


 


聞こえるのは。


 


キーボードの音。


 


それと。


 


キッチンから。


 


野菜を切る音。


 


とん。


 


とん。


 


とん。


 


はるみ。


 


鼻歌。


 


ふんふん♪


 


機嫌。


 


とても。


 


良さそう。


 


圭。


 


少しだけ。


 


手を止める。


 


耳を澄ます。


 


「……」


 


また。


 


仕事へ。


 


戻る。


 


十分後。


 


キッチン。


 


いい香り。


 


少しずつ。


 


部屋に。


 


広がる。


 


圭。


 


お腹。


 


ぐぅぅぅ……。


 


正直。


 


限界だった。


 


でも。


 


手は。


 


止めない。


 


「……」


 


『あと少し』


 


『これだけ』


 


『終わらせる』


 


自分に。


 


言い聞かせる。


 


その時。


 


はるみ。


 


ひょこっ。


 


机の横から。


 


顔を出す。


 


「圭さん!」


 


圭。


 


視線だけ。


 


向ける。


 


「はい?」


 


「あと」


 


「どれくらいですか?」


 


圭。


 


画面を見る。


 


少しだけ。


 


考える。


 


「……」


 


「十分」


 


「くらいです」


 


はるみ。


 


ぱぁっ。


 


笑顔。


 


「やった!」


 


「じゃあ!」


 


「ちょうど出来たてが食べられますね!」


 


その一言。


 


圭。


 


少しだけ。


 


目を丸くする。


 


出来たて。


 


最近。


 


いつ。


 


食べただろう。


 


思い出せない。


 


気付けば。


 


コンビニ。


 


カップ麺。


 


冷めた弁当。


 


そればかり。


 


「……」


 


小さく。


 


息を吐く。


 


誰にも。


 


聞こえないくらい。


 


静かに。


 


「……楽しみです」


 


ぽつり。


 


つぶやいた。


はるみ。


 


にこっ。


 


笑う。


 


「よーし!」


 


また。


 


キッチンへ。


 


ぱたぱた。


 


小さく。


 


走っていく。


 


圭。


 


その背中を。


 


少しだけ。


 


見送る。


 


「……」


 


また。


 


パソコンへ。


 


向き直る。


 


かたかた。


 


かたかた。


 


書類。


 


一枚。


 


完成。


 


保存。


 


送信。


 


「……」


 


終わった。


 


ゆっくり。


 


背もたれへ。


 


もたれる。


 


目を閉じる。


 


ふぅ……。


 


深く。


 


息を吐く。


 


その時。


 


「圭さーん!」


 


キッチンから。


 


元気な声。


 


「ご飯できましたよー!」


 


圭。


 


目を開ける。


 


部屋中。


 


温かい匂い。


 


ふわっ。


 


広がっていた。


 


さっきまで。


 


書類だらけ。


 


仕事だけの部屋。


 


だったはずなのに。


 


今は。


 


料理の匂い。


 


誰かの鼻歌。


 


食器の音。


 


小さな生活の音。


 


少しだけ。


 


家。


 


らしかった。


 


圭。


 


静かに。


 


立ち上がる。


 


「……」


 


「いただきます」


 


まだ。


 


食べてもいないのに。


 


そんな言葉が。


 


自然と。


 


口から。


 


こぼれた。


 


はるみ。


 


くすっ。


 


笑う。


 


「まだですよ!」


 


「ちゃんと」


 


「座ってからです!」


 


圭。


 


少しだけ。


 


照れたように。


 


咳払い。


 


「……そうでした」


 


二人。


 


小さな机。


 


向かい合う。


 


時計。


 


午前一時。


 


もう。


 


三十分を。


 


過ぎていた。


 


狭い部屋。


 


散らかった書類。


 


終わった仕事。


 


湯気の立つ夜食。


 


そして。


 


その夜だけは――


 


圭の小さな部屋は。


 


ほんの少しだけ。


 


寂しく。


 


なかった。


二人。


 


向かい合って。


 


夜食。


 


いただきます。


 


「……」


 


少しだけ。


 


静か。


 


でも。


 


気まずくは。


 


なかった。


 


はるみ。


 


にこにこ。


 


料理を。


 


取り分ける。


 


「お口に」


 


合うといいんですけど……」


 


圭。


 


一口。


 


食べる。


 


もぐ。


 


止まる。


 


もう一口。


 


もぐ。


 


「……」


 


はるみ。


 


どきどき。


 


返事。


 


待つ。


 


圭。


 


ゆっくり。


 


顔を上げる。


 


「……」


 


「おいしいです」


 


その一言。


 


はるみ。


 


ぱぁっ。


 


笑顔。


 


「本当ですか!?」


 


「よかったぁ!」


 


心から。


 


安心した。


 


圭。


 


少しだけ。


 


笑う。


 


「最近」


 


こんな温かいご飯。


 


食べてなかったので」


 


はるみ。


 


少しだけ。


 


困った顔。


 


「それ」


 


全然。


 


良くないですよ?」


 


「ちゃんと」


 


食べないと」


 


「体」


 


壊しちゃいます」


 


圭。


 


苦笑い。


 


「……はい」


 


珍しく。


 


素直だった。


 


食事。


 


終わる。


 


食器。


 


さっと。


 


片付ける。


 


はるみ。


 


慣れた手つき。


 


洗い物。


 


あっという間。


 


圭。


 


止めようとした。


 


「春海さん」


 


「そこまで」


 


しなくても――」


 


「ダメです♪」


 


即答。


 


「せっかくですから!」


 


その笑顔。


 


圭。


 


何も。


 


言えなかった。


 


数分後。


 


玄関。


 


はるみ。


 


靴。


 


履く。


 


「それじゃあ!」


 


「帰りますね!」


 


圭。


 


ドアまで。


 


見送る。


 


「今日は」


 


本当に。


 


ありがとうございました」


 


はるみ。


 


えへへ。


 


照れ笑い。


 


「また」


 


困ったら」


 


呼んでください!」


 


圭。


 


少しだけ。


 


笑う。


 


「……」


 


「できれば」


 


午前一時以外で」


 


はるみ。


 


一秒。


 


止まる。


 


時計を見る。


 


「……」


 


「わぁっ!!」


 


「もうこんな時間!?」


 


本人。


 


今。


 


気付いた。


 


「急いで帰ります!」


 


ぺこっ。


 


頭を下げる。


 


「おやすみなさい!」


 


ばたん。


 


ドア。


 


閉まる。


 


部屋。


 


静か。


 


また。


 


一人。


 


圭。


 


ゆっくり。


 


部屋を。


 


見渡す。


 


整理された薬。


 


片付いた机。


 


買い置きされた食材。


 


まだ残る。


 


料理の香り。


 


そして。


 


さっきまで。


 


聞こえていた。


 


春海の鼻歌。


 


もう。


 


聞こえない。


 


「……」


 


静かに。


 


ソファへ。


 


座る。


 


小さく。


 


息をつく。


 


誰もいない。


 


はずなのに。


 


部屋は。


 


少しだけ。


 


温かかった。


 


圭。


 


ぽつり。


 


つぶやく。


 


「……また」


 


「来てくれると」


 


いいな」


 


その願いは。


 


もちろん。


 


本人には。


 


聞こえていなかった。





読んでいただき、本当にありがとうございます!♡♡


もし作品を楽しんでいただけましたら、評価(★)をいただけると嬉しいです!


皆さんからいただく評価は、「もっと面白い作品にしたい!」と考えるための大切な励みになっています


(´▽`)


Pixivではキャラクターデザインやイラストも投稿しています!


最近は春海をいつもと少し違うタッチで描いたイラストも公開しましたので、よければぜひ遊びに来てください!


Pixiv:

https://www.pixiv.net/en/users/121622272


また次回もよろしくお願いします!♡

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