第69話 「あーん」の法則
【最新ニュース】午前1時、社長宅が突然我が家みたいに!?
―夜食、掃除、そして謎の「食理論」が絡む深夜の大騒動―
午前1時。
社長のケイは仕事に追われている。
散らかった部屋。
山積みの書類。
…少なくとも、そう見えた。
そして――
「食べる時に口を開けるのは誰?開けないのは誰?」というジレンマが爆発!?
気づけば、部屋には温かいご飯が。
小さな笑み。
そして、ほんの少しだけ、「歓迎」の雰囲気が漂っている。
…ケイはこの夜を無事に過ごせるのか?
圭のキッチン。
狭い。
本当に。
狭い。
でも。
春海には。
関係なかった。
いつの間にか。
小さなキッチンは。
即席料理フェス会場。
ふんふん♪
鼻歌。
にんにく。
とんとんとん。
玉ねぎ。
とんとん。
目。
少し痛い。
涙。
でも。
楽しそう。
「ふんふ〜ん♪」
一方。
圭。
書類。
確認。
修正。
プリンター。
ウィィィィン。
紙。
まとめる。
ホチキス。
ぱちん。
付箋。
ぺたっ。
深呼吸。
仕事。
終わらない。
その頃。
春海。
第二段階。
卵。
ぽとん。
もう一つ。
ぽとん。
小麦粉。
さらさら。
混ぜる。
くるくる。
野菜。
また切る。
とん。
とん。
ふんふん♪
ここまでは。
普通だった。
でも。
突然。
歌い始めた。
ポルトガル語。
小さな声。
少しずつ。
リズムに乗る。
鍋を混ぜながら。
小さく。
ステップ。
調味料。
一つ。
二つ。
三つ。
……
まだ出てくる。
圭。
仕事。
続行。
……しようとした。
でも。
気になる。
何を歌っているのか。
全然。
分からない。
でも。
なんだか。
楽しそう。
ふと。
キッチンを見る。
「……」
荷物。
多い。
調味料。
並んでいる。
掃除用品。
モップ。
ほうき。
いい匂いのスプレー。
そして。
「……」
「踏み台?」
折りたたみ式。
ちゃんと。
開いている。
荷物置き。
代わりらしい。
春海。
片耳だけ。
イヤホン。
歌う。
味見。
踊る。
また歌う。
午前一時半。
上司の家。
本人。
ものすごく。
自然だった。
圭。
一度だけ。
瞬き。
そして。
また。
仕事へ。
……。
でも。
部屋には。
小さく。
ブラジルの音楽が。
流れ続けていた。
しばらくして。
圭。
仕事。
終わる。
春海も。
料理。
完成。
くるっ。
振り向く。
どやっ。
「できました!」
「よそいましょうか?」
圭。
うなずく。
「お願いします」
春海。
お皿。
取り出す。
まず。
ご飯。
どん。
もう少し。
どん。
「……」
さらに。
どん。
揚げ魚。
一切れ。
二切れ。
三切れ。
大きな。
お肉。
どんっ。
満足。
「よし!」
トロフィーみたいに。
差し出す。
圭。
見つめる。
「……」
「すごい」
「おいしそうです」
春海も。
座る。
圭。
ご飯。
一口。
もぐ。
止まる。
「……」
「このご飯」
「少し違いますね」
春海。
停止。
頭の中。
カチッ。
『しまった』
『考えてなかった!!』
『ブラジル風ご飯!!』
にんにく。
玉ねぎ。
炒める。
香り。
日本とは。
全然違う。
春海。
口を押さえる。
「ご、ごめんなさい!」
「夢中になってて……」
圭。
少しだけ。
笑う。
「大丈夫です」
「見た目からして」
「おいしそうです」
春海。
復活。
ぱあっ。
笑顔。
圭。
もう一口。
……。
春海。
じーーっ。
見ている。
圭。
少しだけ。
緊張。
『……』
『なんで』
『そんなに見るんだろう』
『ちゃんと噛もう』
『ご飯』
『ついてないよね』
一方。
春海。
『どうしよう』
『口に合わなかったら!?』
『もうご飯ない!!』
『二度と』
『食べてくれなかったら!?』
二人とも。
違う意味で。
緊張していた。
その時。
春海。
「あっ!」
圭。
ぴたっ。
スプーン。
止まる。
「……」
『何か』
『忘れてた?』
春海。
立ち上がる。
ぱたぱた。
キッチンへ。
戻る。
すぐ。
帰ってきた。
お皿。
両手で。
持っている。
色とりどり。
野菜。
盛りだくさん。
「これも!」
「作ったんです!」
圭。
見る。
「……」
「野菜なのに」
「おいしそうですね」
春海。
えへへ。
照れ笑い。
小さな机。
今。
限界。
大皿。
二つ。
野菜。
書類。
付箋。
ペン。
置く場所。
ほとんど。
なかった。
圭。
野菜。
一口。
もぐ。
……。
もう一口。
もぐ。
「……」
「おいしいです」
春海。
ぱあっ。
「本当ですか!?」
「はい」
「ご飯も」
「この野菜も」
「すごく」
「好きです」
春海。
胸を張る。
「子どもたちも」
「大好きなんですよ!」
「たまに」
こういうご飯を作ると、
みんな。
いっぱい。
食べてくれるんです♪
圭。
ご飯。
ふぅ。
ふぅ。
冷ます。
魚。
切る。
「そういえば」
「家はどうですか?」
「今日は」
みんな。
楽しみにしていますか?」
その瞬間。
春海。
母モード。
発動。
「もちろんです!」
「芽衣ちゃんも!」
「ぐらぐらの歯」
全然怖がらなくなったんですよ!」
「私だったら」
絶対。
泣いてます!」
「それに!」
「最近は」
新しい野菜が届くと、
すぐ畑に行くんです!」
圭。
ふっ。
少しだけ。
笑う。
「じゃあ」
「ヒロシおじさん」
まだ元気なんですね」
春海。
ぴくっ。
「もちろんです!」
「……そういえば」
「昔」
先生の点数のために、
よく畑へ行ってましたよね」
春海。
「違います!!」
即答。
圭。
じーっ。
疑いの目。
「本当に?」
「ほ、本当です!」
「畑が好きだっただけです!」
「……」
「たまたま」
成績も。
良かっただけで!」
圭。
「なるほど」
「便利な」
偶然ですね。
春海。
「もう!」
二人。
くすっ。
笑った。
笑い。
少しずつ。
落ち着く。
その時。
圭。
気付く。
「……」
春海。
また。
こっちを。
見ている。
正確には。
お皿。
じーーっ。
見る。
圭。
首をかしげる。
「……」
「お腹」
空いてます?」
春海。
ぶんぶんっ。
「えっ!?」
「いえ!」
「全然!」
「ほんとに!」
その瞬間。
ぐぅぅぅ……
部屋。
静か。
だから。
よく響いた。
春海。
停止。
圭。
眉。
少しだけ。
上がる。
春海。
小さく。
ため息。
「……」
「空いてます」
素直だった。
圭。
スプーン。
持つ。
一口。
すくう。
春海の前へ。
そっと。
差し出す。
「……」
「あーん」
春海。
ぱくっ。
もぐ。
もぐ。
「ん~!」
幸せそう。
圭。
少しだけ。
驚く。
「?」
「どうしました?」
春海。
真剣。
ものすごく。
真剣。
少しだけ。
考える。
「圭さん」
「はい?」
「気付いたことが」
あります」
圭。
急に。
不安になる。
「……」
「嫌な予感がします」
春海。
こくっ。
うなずく。
「"あーん"って」
言いながら。
食べさせる人。
いるじゃないですか?」
「いますね」
「でも」
「口を一緒に開ける人と」
「開けない人が」
いるんです!」
圭。
「……?」
春海。
説明。
続ける。
「この前」
芽衣ちゃんに」
食べさせてた時」
私も」
一緒に」
口を開けてたんです!」
「あーん♪」
自分でも。
口。
ぱかっ。
「そしたら」
武琉くんが」
『それ変だよ』って」
言うんです!」
「だから」
最近」
観察してたんです!」
「人によって」
違うんですよ!」
「圭さんは」
開けませんでした!」
沈黙。
三秒。
圭。
春海を見る。
まるで。
珍しい。
新種の生き物を。
見つけた。
そんな顔。
「……」
「やっぱり」
皆さん」
少し変です」
春海。
肩。
すくめる。
「かもしれません♪」
春海。
ふと。
思い出す。
「そうだ!」
圭。
顔を上げる。
「はい?」
「仕事は」
終わりましたか?」
「終わりました」
その瞬間。
春海。
ぱあっ。
「よーーし!!」
元気いっぱい。
立ち上がる。
圭。
「……」
嫌な予感。
ものすごく。
した。
春海。
袖。
くるくるっ。
まくる。
やる気。
満タン。
「じゃあ!」
「次は!」
「お片付けです!!」
圭。
「……」
部屋を見る。
机。
書類。
床。
袋。
キッチン。
ほうき。
モップ。
掃除道具。
折りたたみ椅子。
「……」
見ているだけで。
疲れた。
春海。
もう。
動いている。
ふんふん♪
また。
鼻歌。
薬。
まとめる。
調味料。
並べる。
袋。
たたむ。
圭。
その姿を。
ぼんやり。
眺める。
「……」
疲れている。
はずだった。
でも。
今日は。
少しだけ。
違う。
仕事。
終わった。
温かい。
ご飯。
誰かの。
鼻歌。
部屋。
少しずつ。
片付いていく。
そして。
目の前には。
楽しそうに。
笑う。
春海。
圭。
小さく。
息を吐く。
「……」
『もしかして』
『今日なら』
『生き残れるかも』
そんなことを。
少しだけ。
思った。
読んでいただき、本当にありがとうございます~!!♡♡
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皆さんからいただく評価は、
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と思える大切な励みになっています
(´▽`)
Pixivではキャラクターデザインやイラストも投稿しています!
最近は、春海をいつもと少し違うタッチで描いたイラストも公開しましたので、よかったらぜひ遊びに来てください~!
Pixiv:
https://www.pixiv.net/en/users/121622272
また次回もよろしくお願いします~!!♡♡




