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ようこそ、ハルミのカオスな日常へ!  作者: あじせ
家庭内混乱マニュアル:初心者版!
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65/66

第65話 問題は誰かが走り出した時に始まる

【怪談】「ネズミ」と言うと現れる猫がいるらしい


―― 指名手配犯より怖いものが近所にいました ――


無事に終わったはずだった。


書類も解決。


父親の問題も解決。


たぶん解決。


きっと解決。


しかし――


新たに浮上したのは、


まさかの近所の都市伝説。


ネズミを見つける。


「ネズミだ」と言う。


すると現れる。


謎の黒猫。


しかも。


家を壊す。


怖い。


色々と怖い。


そしてハルミはまだ知らない。


本当の問題はこれから始まることを――!!

 


その頃――


 


黒沢圭。


 


車を運転していた。


 


法定速度で。


 


ほぼ。


 


たぶん。


 


きっと。


 


おそらく。


 


少しだけ違った。


 


でも今は重要じゃない。


 



 


数時間前。


 


昼休み。


 


黒沢。


 


書類の入ったファイルを抱えていた。


 


目的地。


 


大沢はるみの家。


 


理由。


 


仕事。


 


まともだった。


 


珍しく。


 


「これ渡して戻るか」


 


独り言。


 


小さい声で。


 


そして。


 


インターホン。


 


ぴんぽーん。


 


数秒後。


 


扉。


 


開く。


 


そこにいたのは――


 


タケルだった。


 


パジャマ。


 


寝癖。


 


隈。


 


でも。


 


元気そう。


 


普通に。


 


とても。


 


黒沢。


 


瞬き。


 


一回。


 


二回。


 


そして。


 


「……治ったのか?」


 


タケル。


 


首を傾げる。


 


「何がですか?」


 


沈黙。


 


黒沢。


 


さらに眉をひそめる。


 


「入院してたんじゃないのか?」


 


沈黙。


 


タケル。


 


停止。


 


完全停止。


 


「あ」


 


思い出した。


 


朝の出来事を。


 


電子レンジ。


 


ぴっ。


 


ぴっ。


 


ぴっ。


 


病院。


 


偽装。


 


大沢はるみ。


 


犯罪者予備軍。


 


全部思い出した。


 


タケル。


 


遠い目。


 


黒沢。


 


嫌な予感。


 


急成長。


 


「……待て」


 


低い声。


 


とても。


 


「誰も病気じゃないのか?」


 


タケル。


 


焦る。


 


ものすごく。


 


「いや」


 


「その」


 


「違うんです」


 


違わなかった。


 


ほぼその通りだった。


 


完全に。


 



 


数分後。


 


全部説明した。


 


会社。


 


書類。


 


親権。


 


父親。


 


逃亡犯。


 


そして。


 


大沢はるみ。


 


単独突撃。


 


沈黙。


 


黒沢。


 


黙って聞いていた。


 


最後まで。


 


一言も挟まず。


 


ただ。


 


段々。


 


表情が消えていった。


 


怖かった。


 


とても。


 


「……それで」


 


タケル。


 


少し後退る。


 


本能だった。


 


生存本能。


 


「どこですか?」


 


黒沢。


 


聞いた。


 


静かに。


 


怖く。


 


とても。


 


「隣町です」


 


「住所は?」


 


タケル。


 


教える。


 


即座に。


 


命が惜しかった。


 


本当に。


 


黒沢。


 


ファイルを閉じる。


 


バン。


 


少し強かった。


 


かなり。


 


「ありがとうございます」


 


「黒沢さん――」


 


もう遅かった。


 


玄関。


 


開く。


 


閉まる。


 


消える。


 


速かった。


 


とても。


 


タケル。


 


一人。


 


玄関。


 


ぽつり。


 


「……大丈夫かな」


 


沈黙。


 


考える。


 


数秒。


 


そして。


 


結論。


 


「どっちがだろう」


 


分からなかった。


 


本当に。


 


その頃。


 


黒沢圭。


 


運転中。


 


機嫌。


 


最悪。


 


とても。


 


信号。


 


赤。


 


止まる。


 


イライラ。


 


青。


 


進む。


 


イライラ。


 


全部。


 


イライラ。


 


「何考えてるんだ」


 


独り言。


 


小さく。


 


でも。


 


かなり本気だった。


 


「一人で行くな」


 


ハンドルを握る。


 


少し強く。


 


「逃亡犯だぞ」


 


さらに強く。


 


「何で相談しないんだ」


 


沈黙。


 


そして。


 


一番腹が立った部分。


 


思い出す。


 


電子レンジ。


 


ぴっ。


 


ぴっ。


 


ぴっ。


 


黒沢。


 


目を閉じる。


 


一瞬だけ。


 


「そこじゃない」


 


問題はそこじゃない。


 


たぶん。


 


いや。


 


絶対違う。


 


でも。


 


それも十分問題だった。


 



 


その頃。


 


はるみ。


 


平和だった。


 


ものすごく。


 


歩いている。


 


普通に。


 


隣。


 


柴田涼司。


 


普通じゃない。


 


でも。


 


本人達は普通だった。


 


完全に。


 


駅へ向かう道。


 


人がいた。


 


たくさん。


 


でも。


 


妙だった。


 


すれ違う人。


 


避ける。


 


視線。


 


逸らす。


 


距離。


 


取る。


 


自然に。


 


ものすごく自然に。


 


はるみ。


 


気付く。


 


そして。


 


少し考える。


 


さらに考える。


 


そして。


 


言った。


 


「……」


 


「すごいですね」


 


柴田。


 


見る。


 


はるみを見る。


 


「何が?」


 


「皆さん」


 


「道を空けてくれます」


 


沈黙。


 


柴田。


 


前を見る。


 


そして。


 


一言。


 


「慣れだ」


 


それだけだった。


 


説明ゼロ。


 


はるみ。


 


さらに混乱。


 


「へぇー」


 


全然理解していなかった。


 


でも。


 


納得したことにした。


 


得意だった。


 


そういうの。


 



 


駅が近付く。


 


あと少し。


 


本当にあと少し。


 


その時だった。


 


突然。


 


急ブレーキ。


 


ギギギギギッ!!


 


道路。


 


響く。


 


大きな音。


 


はるみ。


 


飛び上がる。


 


文字通り。


 


少し。


 


「ひゃあっ!?」


 


車。


 


止まる。


 


勢いよく。


 


ドア。


 


開く。


 


バン!!


 


そして。


 


聞こえた。


 


怒っている声。


 


ものすごく。


 


聞き覚えのある声。


 


「大沢――!!」


 


はるみ。


 


停止。


 


嫌な予感。


 


急成長。


 


過去最高。


 


「……あ」


 


終わった。


 


たぶん。


 


何かが。


 



 


黒沢。


 


車から降りる。


 


速い。


 


とても。


 


顔。


 


怖い。


 


とても。


 


はるみ。


 


後退る。


 


本能だった。


 


生存本能。


 


「く、黒沢さん!?」


 


黒沢。


 


止まらない。


 


一直線。


 


そのまま――


 


柴田へ向かう。


 


はるみ。


 


思考停止。


 


柴田。


 


無表情。


 


そして。


 


次の瞬間。


 


ドゴォン!!


 


「えっ」


 


沈黙。


 


「えっ」


 


もう一回。


 


沈黙。


 


壁。


 


割れた。


 


少し。


 


いや。


 


かなり。


 


黒沢の顔も。


 


たぶん。


 


少し。


 


柴田。


 


瞬き。


 


一回。


 


そして。


 


感想。


 


「……元気な子だな」


 


違った。


 


色々。


 


全部違った。


 


はるみ。


 


完全停止。


 


脳。


 


処理不能。


 


今日はそういう日だった。


 


今日はそういう日だった。


 


完全に。


 


はるみ。


 


まだ止まっていた。


 


脳。


 


処理中。


 


黒沢。


 


壁から顔を剥がす。


 


ゆっくり。


 


本当にゆっくり。


 


そして。


 


深呼吸。


 


一回。


 


二回。


 


三回。


 


落ち着く。


 


ものすごい速さで。


 


怖かった。


 


とても。


 


柴田。


 


その様子を見ていた。


 


少し感心しながら。


 


「……君」


 


黒沢を見る。


 


真っ直ぐ。


 


「誰だ?」


 


黒沢。


 


姿勢を正す。


 


もう息も乱れていない。


 


顔だけが少し大変だった。


 


「大沢さんの上司です」


 


静かな声。


 


でも。


 


圧がすごかった。


 


とても。


 


「黒沢圭です」


 


柴田。


 


数秒見つめる。


 


そして。


 


少しだけ笑った。


 


「そうか」


 


沈黙。


 


二人。


 


見つめ合う。


 


はるみ。


 


見ている。


 


怖かった。


 


なんとなく。


 


でも怖かった。


 


そして。


 


黒沢。


 


はるみの腕を掴む。


 


「帰ります」


 


即決だった。


 


ものすごく。


 


「えっ」


 


「帰ります」


 


「えっ」


 


「帰ります」


 


決定事項だった。


 


完全に。


 



 


駅へ向かう道。


 


早足。


 


黒沢。


 


ものすごく早い。


 


はるみ。


 


引っ張られる。


 


小走り。


 


「く、黒沢さん!!」


 


返事なし。


 


「黒沢さん!!」


 


返事なし。


 


「黒沢さ――」


 


「何考えてるんですか」


 


止まる。


 


突然。


 


はるみ。


 


驚く。


 


黒沢。


 


振り返らない。


 


でも。


 


怒っていた。


 


ものすごく。


 


「一人で行くんですか」


 


「だって――」


 


「逃亡犯ですよ」


 


「でも――」


 


「何かあったらどうするんですか」


 


沈黙。


 


はるみ。


 


少しだけ眉をひそめる。


 


黒沢。


 


続ける。


 


「どうして言わなかったんですか」


 


「どうして相談しなかったんですか」


 


「どうして――」


 


言葉。


 


止まる。


 


ほんの少しだけ。


 


そして。


 


小さく。


 


本当に小さく。


 


「一人で行くんですか」


 


もう一回。


 


同じ言葉だった。


 



 


はるみ。


 


黙る。


 


数秒。


 


考える。


 


そして。


 


静かに言った。


 


「私の仕事だからです」


 


沈黙。


 


黒沢。


 


止まる。


 


完全に。


 


はるみ。


 


真っ直ぐ前を見る。


 


珍しく。


 


ふざけない。


 


笑わない。


 


「私が決めたことだから」


 


「私がやるんです」


 


風。


 


吹く。


 


少しだけ。


 


「タケルくんも」


 


「芽衣ちゃんも」


 


「私が引き受けました」


 


黒沢。


 


黙って聞く。


 


最後まで。


 


「だから」


 


はるみ。


 


少し笑った。


 


寂しそうに。


 


少しだけ。


 


「その責任は私のものです」


 


沈黙。


 


長かった。


 


とても。


 


そして。


 


黒沢。


 


ゆっくり振り返る。


 


その言葉。


 


その顔。


 


その雰囲気。


 


全部。


 


昔と同じだった。


 


あの日と。


 


あの頃と。


 


同じだった。


 


だから。


 


何も言えなかった。


 



 


しばらくして。


 


はるみ。


 


肩の力を抜く。


 


そして。


 


いつもの顔。


 


いつもの笑顔。


 


「でも!」


 


黒沢。


 


嫌な予感。


 


すごかった。


 


「助けに来てくれてありがとうございました!!」


 


満面の笑み。


 


百点満点。


 


「嬉しかったです!!」


 


黒沢。


 


顔を逸らす。


 


即座に。


 


「……帰りますよ」


 


耳。


 


少し赤かった。


 


たぶん。


 


気のせいだった。


 


きっと。


 



 


数時間後。


 


夜。


 


はるみ。


 


家の前。


 


ほうき。


 


手に持つ。


 


落ち葉。


 


掃除中。


 


平和だった。


 


とても。


 


さっきまでの騒動。


 


嘘みたいに。


 


「ふんふふーん♪」


 


機嫌も良い。


 


その時。


 


「こんばんはー!!」


 


聞き覚えのある声。


 


はるみ。


 


振り返る。


 


宇多だった。


 


近所の人。


 


そして――


 


この町で最も情報伝達速度が速い生物。


 


たぶん。


 


「宇多さん!」


 


「聞いた!?」


 


「何をですか!?」


 


宇多。


 


近付く。


 


すごく。


 


怪談を話す顔だった。


 


完全に。


 


そして。


 


小声で言った。


 


「ネズミよ」


 


沈黙。


 


はるみ。


 


瞬き。


 


宇多。


 


さらに小声。


 


「黒猫よ」


 


さらに沈黙。


 


はるみ。


 


何も分からない。


 


全然。


 


でも。


 


数分後。


 


彼女は知ることになる。


 


近所にいるのは。


 


ネズミだけじゃない。


 


もっと厄介な存在がいることを――





読んでいただきありがとうございます!♡


もしよければ、ポイントを入れていただけると、とても励みになります~!


(´▽`)


キャラクターデザインやイラストはPixivにも投稿しています!

ぜひ遊びに来てください!


Pixiv:

https://www.pixiv.net/en/users/121622272


また次回もよろしくお願いします!♡

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